君の物で散らかった部屋の片隅だった
恐る恐る針を耳に押し付けて息を呑みこんだ
驚くほど痛くなかった
君とひとつになれた気がした
ひとりじゃない
そう思えた夜だったんだ
出典: ピアス/作詞:平部雅洋 作曲:平部雅洋
ここの歌詞では、彼女とまだ付き合っていたときのことが歌われています。
2人が恋人同士だった頃、主人公の部屋は彼女の物で溢れていました。
そんな部屋でピアスの穴を空けた思い出が蘇ります。
彼女とおそろいの物を身につけるためだけに空けた穴。
きっと主人公は針で穴を空けることに少しの抵抗があったはずです。
しかし、彼女の前でみっともない姿は見せたくないと何でもないフリを装いました。
そうして空いた穴は少しも痛くなく、芽生えたのは君とひとつになれたという充足感だけ。
自分の体に彼女と同じものが付いている。
たったそれだけのことが主人公を幸福な気持ちにしました。
左耳のピアスは、「ひとりじゃない」ことの象徴だったんですね。
共に過ごした日々の証
「一緒になれたこと何か形にしたいよね」
「対になってるのは半分ことかしたいね」
そう言ったからブチ抜いた穴
これからふたりの時間をここに刻もうなんて考えていたんだ
出典: ピアス/作詞:平部雅洋 作曲:平部雅洋
ピアスの穴を空けた思い出と共に彼女が言った言葉も蘇ります。
どうやら、おそろいのピアスを付けようと言い出したのは彼女の方だったようです。
当時の主人公は大切な彼女のお願いを断るわけにもいかず、渋々穴を空けたのかもしれません。
しかし、いざおそろいのピアスを付けてみると彼女との繋がりをより一層強く感じられるようになりました。
左耳に空いた穴は彼女と共に過ごした日々の証。
おそろいのピアスにふたりの愛の日々を刻んでいこう。
そんなことを主人公は本気で考えていました。
そして、今でも同じことを願っているのではないでしょうか?
今は別の男を愛しているの?
恋人と別れたあとに考えること。
それは、彼女には新しい彼氏ができたのではないかということです。
自分はまだこんなにも彼女のことを愛しているのに、向こうは別の男を愛しているかもしれない。
そんな想像を巡らせては落ち込んで、また彼女との思い出に浸っています。
光って見えたのは彼女の方
君の物で散らかった部屋は愛おしかった
何に使うかもわからない物
増えていく感じたまらなかった
君の耳に触れながら「お前のだけやけに光って見える」ってニヤけていた日々は
もう何処へいったんだ
出典: ピアス/作詞:平部雅洋 作曲:平部雅洋
自分の部屋に恋人の物が増えていくと、それだけ相手との距離が近くなったような気持ちになれます。
一緒にいないときだって、自分の部屋は彼女の欠片で溢れている。
そう思えるから主人公は彼女の物で溢れた部屋が好きでした。
部屋が狭くなっても、そんなことは気にならない。
むしろ彼女の存在を感じられる物が増えれば増えるほど幸せが大きくなっていく。
幸福にまみれた日々の中で、主人公は彼女の耳に付いたおそろいのピアスを眺めていました。
彼女のピアスだけ光って見えたのは、彼女の存在が眩しかったから。
2人は互いのピアスを触り合っては、愛を確かめていたのでしょう。
しかし、それももう過去の話になってしまいました。
今でも思い出すこと
イライラしたって意味なくて
ウトウトしたって夢に出て
バカバカしくなってまた泣けてきた
きっと今も綺麗に光っていて
誰かの前でつけているなんて
考えただけで吐き気がした
今だに突き刺す瞬間思い出しているよ
出典: ピアス/作詞:平部雅洋 作曲:平部雅洋
幸せだった頃のことを思い出しては苛立ったり悲しくなったり……。
彼女がいなくなった今でも、主人公の心を掻き乱すのはただ1人だけです。
自分が未練がましく付けているピアス。
それと同じピアスを彼女は別の男の前で付けているのかもしれない。
そんな光景を思い浮かべると気分が悪くなる。
それでも考えずにはいられないのでしょう。
2人でおそろいにしたピアスだったのに、今はもう別々の物に変わってしまいました。
ピアスを付けるため、耳たぶに針を突き刺したあの瞬間。
それは、主人公が君とひとつになれたと信じた瞬間でした。
ピアスに触れる度に感じる想い
片方だけのピアスと1人ぼっちの自分
忘れないように 忘れないように
思い出すように 刻み付けるように
縋り付くように 取り戻すように
痛めつけるように 元に戻るように
出典: ピアス/作詞:平部雅洋 作曲:平部雅洋