覚醒前夜のラストナンバー

4thアルバム「AwakEVE」収録曲

UVERworld【YURA YURA】歌詞解説!「強くて美しい」と歌う意図は?汚れた世界で何を見るの画像

今回ご紹介するのはUVERworld【YURA YURA】

4thアルバム「AwakEVEのフィナーレを飾る楽曲です。

覚醒前夜を意味するアルバムタイトルに込められたのはファンやリスナーに向けたTAKUYA∞の想い。

「アルバムを聴いた人自身が、良い方向へ自分が変われる1枚になって欲しい」という、TAKUYA∞の想いも込められている。

出典: https://ja.wikipedia.org/wiki/AwakEVE

当時の彼らを象徴する代表曲も収められ、UVERworldオリジナルアルバムの中では一番のセールスを記録

UVERworldというバンド自身の覚醒を色濃く感じさせる1枚です。

そのラストナンバーにふさわしい【YURA YURA】。

戻れないことを覚悟して YURA YURAと揺れる至純の光で
最後の言葉を探す 美しさの中で

出典: YURA YURA/作詞:TAKUYA∞ 作曲:彰,TAKUYA∞

この歌詞からはじまる楽曲はストリングスに包まれたバンドサウンドが印象的。

メロディアスな旋律に心が揺り動かされます。

【YURA YURA】という言葉はなにを意味しているのでしょうか。

歌詞を考察していきます。

価値のない世の中

あたりを見渡しても この世にいくらの価値も見当たらない
一瞬で消えるような 浅はかな愛ばかり
嘘をつけば あの世で舌を引き抜かれて償いなんてね
それこそが 償われるべき嘘

出典: YURA YURA/作詞:TAKUYA∞ 作曲:彰,TAKUYA∞

世間に対して満足感があるでしょうか。

ほとんどの人が現状になにかしらの不満を持ち、生きづらさを感じて過ごしているのかもしれません。

ふと気づけば当たり前のように生活している自分の世界がくだらないと感じることも少なくないでしょう。

街に溢れるのは軽い愛の言葉と表面上の薄っぺらい人間関係。

自分を守るための手段としてのみならず、息をするかのごとく自然に口から出る愚かな嘘。

「嘘をついたら地獄で閻魔様に舌を抜かれる」なんて迷信も誰も信じていないことはわかっています。

それすら人間の考えた都合のいい嘘でしかないのです。

嘘をついても罰せられることなく平然と安穏に生きながらえる世界。

まるで虚無感が充満した価値のない空間を漂うように生きているのでしょう。

悲しい歌を求めて

泣く暇も無いくらい 悲しい歌 求めているんだね
時代に似合わない歌を 探して歩く

出典: YURA YURA/作詞:TAKUYA∞ 作曲:彰,TAKUYA∞

世の中には明るい前向きなメロディーが溢れ、応援歌のような背中を後押ししてくれる楽曲が多く存在します。

それでも悲しい歌を聴きたくなるとき、人はなにを求めているのでしょうか。

泣きたい気分なのか、それとも現状の自分と重なり合わせて想いに浸りたいときなのか。

その理由は泣くことを忘れてしまうほど余裕がないことだと提示されています。

普通の生活を送っていてもすり減らされ消耗していく精神。

苦しさともどかしさを自覚しながら。

もしくはそれに気づかないようにしながら。

誰もが毎日を流されるように過ごしています。

感傷に浸っている心の余裕も、時間の余裕もないのでしょう。

泣き出したい衝動を抱えて行き着くのは悲しい歌。

ありふれた前向きな歌は心に響くことはありません。

「いまはそんながんばる気力もない」と自分には不釣り合いに感じることもあるのではないでしょうか。

そう思うと明るい音楽に触れることにも疲れて自然と悲しい歌を求めます。

自分の心とリンクする音楽を探し彷徨い、歌の世界に自分を投影して心の安定を図ろうとしているのかもしれません。

ゆらゆらと

UVERworld【YURA YURA】歌詞解説!「強くて美しい」と歌う意図は?汚れた世界で何を見るの画像

戻れないことを覚悟して YURA YURAと揺れるカゲロウを抜け
右へならえをやめて 隠したナイフを見つめた
胸をえぐる言葉貼り付け 庭で悪魔育つ この街じゃ
最後の言葉もCrying

出典: YURA YURA/作詞:TAKUYA∞ 作曲:彰,TAKUYA∞

それでも不安定な心を抱えてなんとなく前に進んでいくしかありません。

ここでいうカゲロウとは揺らめき立ち上る陽炎だけを表しているのではない気がします。

それはふわふわと心もとなく浮遊する蜉蝣。

どちらも儚く揺らめいている存在です。

ただ虚しく揺らぐ陽炎の中、力ない小さな虫のように漂う姿が連想されます。

いま唯一できるのは、流される足を止めること。

自分の中にある攻撃的な雄心を感じながらもまだどうすることもできない状況が描かれています。

その間にも精神は淀み、ネガティブな感情も成長していってしまう。

おそらくここに存在している限り心が休まることはないようです。

口にすることができる言葉もか細い嗚咽にしか聞こえないかもしれません。