「スピードと摩擦」は、女子高生が踊りまくる狂気を感じさせるMVでも話題になりました。
焦燥感が爆発するアーティスティックな映像
女子高生がトイレで躍りまくる狂気的な映像で、話題を集めたMV。そのMVを担当したのは本山敬一です。
amazarashiの「穴を掘っている」「季節は次々死んでいく」などのMVも製作しています。
秋田ひろむが伝えた「焦燥感」をテーマとして、40時間以上かけて作られたそうです。
コンテンポラリーダンスで知られる川村美紀子が、女子高生と入れ替わりであらわれる激しいダンスを踊っています。
彼女の担当は振り付けのみの予定でしたが、その「動き」のすごさに本山敬一が圧倒されて出演することになったそうです。
「最後なのでトイレを壊してもらっていいです」と言われ、本当に壊してしまうというエピソードはすごいと思いませんか。
撮影はもちろん1回だけとなり、それであのクオリティですからびっくりします。MVの後半のあたりから、トイレがどんどん壊れていく様子は必見です。
女子高生は誰?
激しい踊りも気になったけれど、あの女子高生が誰か知りたいと思った方もいらっしゃると思います。
あの女子高生は、さまざまなドラマやCMにも出演している月岡里穂です。
MVのイメージを持って公式ホームページを見ると少しとまどいますが、プロフィールにも記載されているので間違いないでしょう。
歌詞の意味を紐解く
行き先のない夢
切れかけた街灯に照らされて
明滅繰り返す人々の影 ゴムの
匂いと空気の湿り気
静寂と呼ぶには甚だ多弁
したがって 定まらぬ視点
星を滑って 東北に流転 蛾が群がって
どうせ無駄だって夢に焼け落ちて
あとは何もねえ
出典: https://twitter.com/sakura39_ai/status/922066046198022144
切れかけた街頭に照らされている人影という不穏な風景は、都会の煩わしさや恐さもあらわしているのだと思います。
そして、この歌詞には上京して挫折を味わい青森県に帰郷した過去を持つ、秋田ひろむの焦りや悔しさといった気持ちがあらわされているのでしょう。
行き先のない 乗車券
此岸の終わりの夕景 地球の裏の
荒野へ 早く連れてってくれ
夏の庭に犬の骨 死屍累々の日付
それを踏んづけて明日へ
気管支炎の音符で 血を吐くまでは
歌え 放射状 北の山背 そこに咲いた花でさえ
冒涜は許されて
出典: https://twitter.com/sakura39_ai/status/922067258121187328
どうすれば良いのかわからず、逃げ出したくなることはあると思います。
そんな時に「スピードと摩擦」の主人公が望むことは、「どこへ」ではなく、知らない「どこかへ」連れてってほしいのです。
何かをしなければいけないと思いながらも、当たり前のように日々は過ぎていきます。生きている実感のない日々は、まるで死んでいると感じているのです。
それを踏みつけて進み、血を吐くまで歌って生きている明日を迎えたいのでしょう。
自分自身への怒り
僕は舌打ちをしたこの街へ いや、舌打ちしたのは街の方で
出典: https://twitter.com/amazarashi_bot/status/859271345674141696
自分が舌打ちをして嫌ったつもりだったけれど、嫌ったのは街の方ではないかとすぐに疑問に思います。
自分に対する不信感から、街から見向きもされない煙たがられる存在なのではないかと考えてしまうのです。
国道沿いのラブホテルトワイライト純潔で
言葉足らずの夜明け 吃音的な世の果て
それを飲み込んでは咽せる
結露に滴るカーテン
命が今焼け落ちて 車道に冬の銀河系
出典: https://twitter.com/Mpista0107N/status/672403563646029825
街に嫌われていると感じているから、街の外れにある国道沿いのラブホテルを選んだのでしょうか。
そして、薄明かりの中でむなしい行為を求めている自分に情けなくなっているのだと思います。濡れたカーテンは、泣き出しそうな気持ちもあらわしているのです。