イントロのサンプリング音声の連打から一転、ハウステイストを匂わせるピアノシンセと、ラテンを匂わせるホーンセクションが聴こえてきます。

CAPSULEがホーンセクションって、すごく新鮮。これまでにないアップチューンに仕上がっています。

このあたりまでアルバムを聴き進めると、収録されている楽曲の多様さに驚かされます。1枚のアルバムのはずなのに、オムニバスでも聴いているような錯覚を覚えそう。

CAPSULEって?

CAPSULE中田ヤスタカこしじまとしこによるユニットです。2013年まではcapsule(小文字表記)でしたが、中身はどちらも同じですよ。

中田ヤスタカはむしろ、CAPSULEのメンバーとしてよりもPerfumeきゃりーぱみゅぱみゅの音楽プロデューサーとしての知名度が高いかもしれません。ドラマLIAR GAME」の音楽も担当していましたね。

要するに、日本の現代音楽シーンにおける第一人者であり、ヒットメイカー、そしてプロデューサー、というすごい人なんです。まさにカリスマ!

こしじまとしこはボーカル担当、「こしこ」の愛称でも親しまれています。ショートボブがトレードマークでぱっと見はかわいらしい雰囲気ですが、クールな歌声がエッジのきいた中田ヤスタカのサウンドと組み合わさると、もう絶品。かっこよすぎます。

これまでのCAPSULEの活動

アルバム情報

「WORLD OF FANTASY/capsule」の収録曲を全曲レビューしてみた!歌詞あり♪の画像

CAPSULEはこれまでに7枚のシングル、15枚のアルバムに加え、3枚のベストアルバムをリリースしています。

今回紹介する「WORLD OF FANTASY」は累計で12枚目のアルバムにあたり、2011年にリリースされました。

このアルバムはオリコン週間チャートで第3位にランクインしていて、この順位はCAPSULEの歴史の中でも最高の順位。まさにCAPSULEの歴史を語る上で外せない1枚、というわけ。

WORLD OF FANTASY収録曲

1. OPEN THE GATE
2. WORLD OF FANTASY
3. I JUST WANNA XXX YOU
4. STRIKER
5. KEEP HOPE ALIVE
6. I WILL
7. WHAT iS LOVE
8. I CANT SAY I LIKE YOU
9. PRIME TIME
10. CLOSE THE GATE

出典: https://www.amazon.co.jp/WORLD-FANTASY-capsule/dp/B004HA59M8

タイアップ情報

「WORLD OF FANTASY/capsule」の収録曲を全曲レビューしてみた!歌詞あり♪の画像

CAPSULEのタイアップとして最も有名なのは、ドラマLIAR GAME」ではないでしょうか。

コミックが原作の「LIAR GAME」(原作:甲斐谷忍、集英社)を実写化したこのシリーズは人気を集め、ドラマシリーズが2本、劇場版が2本製作されています。

LIAR GAME、日本語で嘘つきのゲームというタイトルの通り、この作品では知恵を巡らせて相手を出し抜きゲームの勝利を目指す、いわゆる頭脳戦がたくさん登場します。

敵の作戦に出し抜かれた時の危機感や焦り、ピンチから一転、大逆転の秘策で敵を出し抜くスリルや爽快感を、CAPSULEのクールな楽曲が見事に演出したわけですね!

他にも、各局の番組テーマソングやCMタイアップなども多数。

アルバム「WORLD OF FANTASY」からは2曲がタイアップに使用されています。

WORLD OF FANTASY パイオニア カロッツェリア「サイバーナビ」CMソング
PRIME TIME バンタンデザイン研究所CMソング

出典: https://ja.wikipedia.org/wiki/CAPSULE

アルバム「WORLD OF FANTASY」全曲レビュー!

OPEN THE GATE

アルバムの1曲目にふさわしいタイトル。このゲートを開けば、ファンタジーの世界(WORLD OF FANTASY)が広がっている…そんな期待を感じずにはいられません。

途切れ途切れのような、それでも辛うじてメロディを作っているような、そんなメロディが続きます。CAPSULEの中でも特に音数が少ない曲で、まるでメロディがメロディでなくなる寸前まで音を削ぎ落していったよう。

メロディをなさない音の粒と、音が連なってできたメロディの、そのギリギリの狭間を表現したかったのかもしれません。

WORLD OF FANTASY

2曲目はタイトルナンバー。

歌詞は短くて、1曲を通してこのリフレインになっています。

I stand alone
Waiting for a Long Time
I feel free. come on
Live in a world of fantasy

出典: http://j-lyric.net/artist/a023238/l02c1c6.html

イントロは、まるでフラッシュライトの色が次々に変わるよう。

同じ音程で3回。それだけではメロディにはならないのかもしれませんが、3連続の音が次々に違う音程で聴こえてくると、なんだかメロディが形作られてくるような感覚になります。

次第にビートやベースの音が合わさり、単調な音の組み合わせが重厚なメロディに。そこにこしじまとしこのボーカルが、心地よい浮遊感をもって漂ってきます。

CAPSULEの楽曲で、その曲の中であるモチーフが繰り返し使われる、というのは非常によくとられる手法ですが、これほどシンプルなモチーフを使っている曲は珍しいですし、それがアルバムのタイトルナンバーというのが驚き。

シンプルな音が集まってメロディになることの面白さ。まさにファンタジーのような、そんな面白さを追求したかったのかもしれません。