楽曲について
ギターの大村達身が正式加入し4人組となった後の初アルバムである。また、ドラムスの森信行が参加した最後のアルバムでもある。
出典: https://ja.wikipedia.org/wiki/THE_WORLD_IS_MINE
また、2006年に発売されたベストアルバム「ベスト オブ くるり/TOWER OF MUSIC LOVER」。
こちらでも楽曲を聴くことができます。バンドの歴史に刻まれた名曲といえるでしょう。
颯爽と吹き抜けていく爽やかなメロディラインに乗せて、歌詞は別れと感謝の言葉を告げています。
どんな物語が込められているのでしょうか。歌詞を紐解いてゆきましょう。
主人公の思い
別れを考える
サンキューマイガール
今日でさよなら言わなきゃ
どれくらい歩いて来たんだろう
知らなきゃ
出典: THANK YOU MY GIRL /作詞:岸田繁 作曲:岸田繁
感謝の言葉から歌は始まります。
この歌の登場人部は主人公と、彼と長年連れ添った恋人の二人です。
主人公はそんな彼女に感謝を抱くと同時に、別れを告げなくてはならないと言っています。
二人の間に一体何があったのでしょうか。
別れを言おう。そう思いながらも、主人公はすぐ彼女にそれを切り出すことはしないようです。
これまで二人が歩いてきた日々を思い返して、自分たちが時間を積み上げてきた時間を確かめようとします。
別れを告げるなら、自分たちのことをきちんと理解してからだ。
そう思ったのですね。
そんな主人公の様子は、時間を引き延ばしているようにも見えます。
別れを告げることに抵抗があるのです。
停滞した関係
いつだって 暦の上
春が来ない あきらめて忘れた
出典: THANK YOU MY GIRL /作詞:岸田繁 作曲:岸田繁
この春は季節ではなく、恋愛における旬という意味で使われているのでしょう。
恋人同士にとっての春は恋が盛り上がり幸福に満たされている時間ですね。
それがいつまでも来ないと言っています。
二人の関係が停滞したまま、時間だけが過ぎていってしまっているのでしょう。
付き合ってはいるけれど恋人らしい感情を抱いていない。
主人公たちの関係はそのようなものなのかもしれません。
一緒にいるうちにいつか好きになるかもしれない。そんな気持ちから始まった関係なのでしょうか。
ともあれ、どれだけ時間が経っても主人公の中に好きという感情が生まれることはなかったのです。
それでも関係を切ることができず、ずるずると続いていったのでしょう。
彼女の決断
言えない言葉
サンキューマイガール
今日もさよなら言わなきゃ
いけないな今日も泡になって消えてた
出典: THANK YOU MY GIRL /作詞:岸田繁 作曲:岸田繁
別れを告げよう。主人公が毎日のようにそう思っているようです。
今日こそは言わなくては。という気持ちから、何度も言おうとして言えなかったことが窺えます。
そして、今日も同じ結果に終わったのでしょう。
泡とは儚いもの、壊れやすいもののたとえです。
主人公の中に沸き上がった別れを告げよう、という感情が消えてなくなってしまったことを意味します。
どれだけ心に思っても、いざ彼女を前にするとその感情が消え失せてしまうのです。