幻想的な楽曲
hideの音楽性を感じられる
2008年にリリースされたアルバム【HIDE YOUR FACE】。
X JAPANのメンバーであることを全く感じさせないテイストの曲が収められています。
hideが昔から愛してきた音楽の数々を実感できるのです。
特に、【TELL ME】と【50%&50%】は、hideの軌跡を語る上で欠かせません。
そして、このたび紹介する【A STORY】も。
本作は、hideがHIDEの名義で作詞と作曲を担当し、新たな一面を垣間見せています。
ファンに衝撃を与えた一作なのです。
では、気になる箇所を確認していきましょう。
時空を超えて

イントロ、アコースティックギターと工場特有の金属音が静かにメロディーを奏でます。
幻想的な雰囲気を漂わせる中、ドラムの音色が鳴り響き、物語の始まりを告げる。
壊れた時計が話しかけるよ
出典: A STORY/作詞:HIDE 作曲:HIDE
冒頭に配された“時計”は、時間の流れと共に、物語のナビゲーターを意味しているようです。
“時計”が“壊れた”ことによって生じる時空のねじれ。
そのねじれの影響でタイムリープする主人公。
“時計”は、壮大な物語をスタートさせるきっかけとなったのでしょう。
主人公の行く末を見守り、その足跡を私たちに伝えようとしている様子が“話しかけ”から窺えます。
タイムリープする主人公
突然の出来事に呆然と
全ての物も人も目を閉じて
全部夢だと
目覚めたとき思いたいと
出典: A STORY/作詞:HIDE 作曲:HIDE
タイムリープは、架空の出来事。
主人公は、自身がタイムリープするとは思ってもみなかったのではないでしょうか。
突如として自身の瞳に映る“物”や“人”、その“全て”が自身の生きる時代とは全く異なっていた時。
直ぐに事態を飲み込めず、否定しようとするでしょう。
これは“全部夢”なんだ。目覚めたら元の世界に戻っているはず。
自身を言い聞かせ、心を落ち着かせようとしています。
時計の役割
なぜ、主人公は、タイムリープしたのか。
その答えは、きっと“時計”が知っているのでしょう。
“時計”は、時の流れを司ることが役目。
人々の往来、時代の変遷を管理する中、タイムリープの必要性を感じているのかもしれません。
この人物は、この時代での経験によって躍進するのではないか。この能力は、この時代で役立つだろう。
色々な考えのもと、主人公をタイムリープさせたのではないでしょうか。
宿命という言葉があるように、前世から人間の巡り合わせは定められています。
しかし、生まれた瞬間から走るレールが決まっていては、面白みがありません。
“壊れた”は、ただのバグではないのです。
その時代その人にとって善い変化をもたらすため、“タイムリープ”を発動させるサイン。
そのような意図を歌詞から推測できます。