原作の世界観が盛り込まれている
安藤裕子は「進撃の巨人」を歌詞に落とし込むため、2日で32巻を読み込みました。
そのため、歌詞の中には原作のキャラクターのセリフが入っています。
それだけでなく、原作の雰囲気も盛り込まれています。
「進撃の巨人」の原作ファンやアニメファンは、嬉しくてたまらないでしょう。
アニメのエンディング映像も原作とリンクしており、見る人を感動させました。
「進撃の巨人」The Final Seasonでは、激しい戦争が繰り広げられています。
兵団の人間や民間人の死は、戦争の恐ろしさを私たちの胸に刻み込んできますよね。
【衝撃】には、そんな環境での激情が表現されています。
仲間の意思を受け継いでいく
彼に届けたい気持ち
一秒前の瞬き 取り残された世界
羽撃けるなら彼に伝えて
出典: 衝撃/作詞:安藤裕子 作曲:安藤裕子
TVアニメ「進撃の巨人」The Final Seasonでは、壁の中と壁の外の人間の対比が描かれます。
壁の中に住んでいる人間は、壁の外の人間から悪魔だと思われています。
そんな世界から迫害を受けて、孤立している状況が書かれているのでしょう。
壁の中にいた人たちは、壁の外から侵略を受けるまで平和なひとときを過ごしていました。
主人公であるエレンも、幼馴染であるミカサとアルミンと夢を語り合いました。
エレンの夢は、自由を得ることです。
壁の中に過ごすことに窮屈さを感じていました。
ミカサは、家族同然のエレンを支え、アルミンは壁の外の世界を夢見ました。
そんな幼い頃の楽しい時間は、壁の外の真実を知ると共に一変します。
エレンは自分と仲間の自由のために壁の外にいる人間を攻撃することを選んだのです。
ミカサやアルミンは、エレンとすれ違っていきます。
その様子から、取り残された世界は、壁の中に残ったミカサやアルミンのことを指しています。
彼というのは、エレンのことでしょう。
そこから、壁の外にいるエレンにやめて欲しいと願う様子を表現していると考えられます。
"鳥"が表すものとは
羽根を焦がす無数の鳥が
灰を散らし安らぎ笑う
誰か散らせ
僕がここに居たという証も
骨はどうせ砂と化して消えるのに
出典: 衝撃/作詞:安藤裕子 作曲:安藤裕子
「進撃の巨人」において、"鳥"は自由の象徴になっています。
TVアニメ「進撃の巨人」The Final Seasonの冒頭では、戦争が行われていました。
物語のキーパーソンとなる、ファルコが"鳥"に向けて話しかけていたのは印象的です。
さらに、"鳥"は自由を追い求める調査兵団を表していると考えることもできます。
兵団の紋章には、翼が描かれているからです。
このことから、歌詞は調査兵団のことについて書かれているのでしょう。
リスクを冒し自由を求める調査兵団には、死がまといつきます。
作中でも、死んだ兵士を火葬するシーンは印象的です。
この歌詞は、その死んでいった仲間たちが後に続く仲間達へ笑いかけていると想像できます。
僕というのは、調査兵団の1人でしょう。
自分が死んで体が残らないほど時が経っても、自分の存在は受け継がれるという意味だと考えられますね。
戦う理由
仲間を殺された憎しみ
呑まれて踏まれた仲間の声 終わりにできない理由が
僕らの背中を突き立てる
出典: 衝撃/作詞:安藤裕子 作曲:安藤裕子
この歌詞は、壁の外にあるマーレという国と壁の内側の人間を表現しています。
マーレ側では、エレンに襲われ大勢の市民が亡くなりました。
パニックになった民衆が押し寄せ、ファルコの同期が踏み潰されるという描写もありました。
突然襲われる不幸に人は、理由を求めるものです。
終わりにできない理由は、仲間の死がなぜ起きたのかを知りたいからでしょう。
仲間の死に激昂する感情が、後に引き返せないようにしている様子が伝わってきます。
仲間を守るために敵国を侵略
一方で、エレンにもマーレを襲った理由があります。
壁の内側に住む人間は、壁の外からの侵略を受けようとしていたからです。
壁の内側にある資源や巨人化できる民族に対するなどから、手を組んで滅ぼす予定を立てていました。
話し合えないことを悟ったエレンは、マーレに潜み急襲をかけました。
その行動には、仲間の命を守るという理由があります。
2度壁が破壊され、エレンの母親が死に、調査兵団に入ってからもたくさん仲間が死にました。
エレンは、なぜ殺されなければならなかったのかという問いを抱えていました。
【衝撃】は、戦争が起こる理由を伝えてくれます。
自分の利益のために敵を作り出し攻撃すれば、攻撃されることを繰り返します。
その連鎖を表しているのでしょう。