主人公は自由、そして自信、さらには夢を失ってしまいます。
これもまた、世間の目に長くさらされたせいでしょう。
自分のやりたいことが出来ない。
また自分のやっていることが評価されないかもしれない。
そんな葛藤の中で彼は、本当の自分を失いかけてしまったのです。
社会の中で、こうした無言の圧力は誰にでものしかかります。
不特定多数のコミュニティで生きていく以上は、協調性を無視できないのです。
団体の中で1人だけ勝手なことは出来ません。
周囲を無視して突飛なことをすれば、バッシングを食らいます。
自分の夢ややりたいことを一番にしながら、周囲と和を取り持つのは簡単ではありません。
また中には、夢を諦めさせようとする力が働く場合もあるでしょう。
こうした理由で主人公は徐々に、夢を諦めざるを得なかったと考えられます。
不本意の人生
魂 擦り減らして 目指した物語はどこへいった?
出典: 昇る太陽/作詞:宮本浩次 作曲:宮本浩次
しかし主人公は、そうはいっても今の状態に満足しているわけではありません。
その証拠に、今になっても昔を思い出しては懐かしんでいます。
「あの頃の自分は輝いていた。」
「好きなことが、好きなように出来ていた。」
まるで水を得た魚のように、自由な自分の姿が脳裏に浮かびます。
今の自分と比べると、羨ましくて仕方がないことでしょう。
「またあの時のように、輝かしい時間を過ごしたい。」
主人公はそう思って止みません。
再スタートを切る今
全てのピントが合う
昇る太陽 俺を照らせ 輝く明日へ 俺を導いてくれ
ああ 浮世の風に吹きさらされ 佇む(たたずむ) 俺の咆哮(ほうこう)
出典: 昇る太陽/作詞:宮本浩次 作曲:宮本浩次
そこで出てくるのが懇願するようなフレーズです。
この歌詞は【昇る太陽】のサビにあたります。
「どうか太陽が、自分を導いてはくれないだろうか。」
そんな切実な主人公の願いが感じ取れますね。
宮本浩次ならではのハイトーンで歌い上げる印象的なフレーズです。
バックのメロディも一層盛り上がり、全体的にテンションの上がるパートとなっています。
今まで葛藤し、人生に迷っていた主人公。
しかしここではどこか吹っ切れているようにも見えます。
暗がりのようだった人生が、徐々に日の目を見始めるような印象です。
やはり主人公は、苦悩の末に自分らしい道を進むことを選んだのでしょう。
非常に晴れ晴れとしたメロディがそれを物語っています。
自分が自分らしくいるその上で、再び輝かしい日々を取り戻そうとしているのです。
もう主人公が路頭に迷うことはないでしょう。
太陽は自分そのもの
Do it ! Do it ! Do it ! Do it ! baby
Do it ! Do it ! Do it ! Do it ! baby
出典: 昇る太陽/作詞:宮本浩次 作曲:宮本浩次
この歌詞を和訳すると、「やれ!やれ!」と連呼していることになります。
いわゆるこれは自分への鼓舞でしょう。
自分らしさを取り戻すと誓った以上、後を向くことはありません。
自分らしく、自分のやりたいことをやるのみです。
そこで主人公は自分に対して「やるしかない!」と発破をかけているといえます。
もしくは徐々に自分へ向いてきた太陽が、主人公にそう急かしているとも取れますね。
太陽が「やれ!やれ!」と、主人公を後押ししているという考え方です。
これはどちらが正しいか断言できません。
ただ1ついえるのは、どちらも正しい可能性があるということです。
ここで宮本浩次の音楽活動の様子を見てみましょう。
ここへ来て、今まで以上に宮本は音楽家として脚光を浴びています。
この賞賛や世間の評価が、歌詞でいうところの太陽であるととらえることが出来るのです。
もちろんそれは宮本自身が自分のスタイルを貫き通した結果でもあります。
そのため太陽は宮本自身が招いた、ともいえるのです。
はたまた元々太陽のように輝いていた宮本本人が再び快進撃を始める、という意味にもとれます。
そうなると、太陽とは宮本や主人公そのもののことを指すと考えられますね。
太陽が導く先には…
あふれるエネルギー
You You You You You You
出典: 昇る太陽/作詞:宮本浩次 作曲:宮本浩次
太陽を自らひきつけ、そして照らされている主人公に怖いものはありません。
再び昔のようにエネルギーに満ち溢れ、自信も満々です。
これはまさに今の宮本浩次とぴったりリンクします。
ソロ活動が開始となったことで、より一層自分らしく輝く宮本。
彼からは目に見えるほどの有り余るエネルギーが感じられます。
それもこれも、自由を得たからでしょう。
くすぶっていた時代を超え、己を貫いたからこそ今があります。
「まだまだやってやるぞ!」
という彼の雄叫びが聞こえてきそうです。
また、この部分の歌詞は和訳すると「お前だ!」と連呼しています。
これは他ならない自分に向けられたものでしょう。
「自分が今、やるしかない!」
という意味だと考えられます。