ファンの間でも人気上位の楽曲

激しさと切なさを兼ね備えた「TIME」というバラード

B'zのファンの間でも特に人気が高い楽曲です。

美しい光景から時間の概念に疑問を抱くように、ダイナミックに推移する歌詞に注目してみてください。

タイトルや歌詞から時間について歌っていることはわかると思います。

しかし、もっと具体的に情景を浮かべるとどうなるでしょうか?

この記事では歌詞を徹底考察し、曲が表現するシーンや本質に迫っていきます。

青春と高慢さを歌う1番

1番Aメロは周囲が見えなような青春

こんな晴れた日は二人で
丘に登ろう
港が見渡せる丘に
どんな空が思い浮かぶ
教えておくれ
キスしたい気分さ

出典: TIME/作詞:稲葉浩志 作曲:松本孝弘

恋人と過ごす青春の1幕が浮かび上がってきます。

相手の目には空が映っていないのでしょう。

なぜなら歌詞の主人公の胸に抱かれているからです。

目の前に青空が広がっているのはわかっているにも関わらず、胸の中で相手に問い直しています。

目隠しのようなシンプルな遊びですが、お互いの心象風景を観察できるような行為ですね。

大切な人がいる人は試してみてはいかがでしょうか。

楽曲Aメロ部分の光景は映画のタイタニックの船首での有名なワンシーンと通底する部分があると思います。

映画の場合は、眼前に広大な海原があるにも関わらずお互いの存在しか気にしていないという表現です。

この楽曲ではそれが青空に置き換わっています。

きっと恋人が目を開けた瞬間に映るのは主人公の顔でしょう。

このときに青い空と主人公の存在が一致するのです。

歌詞に自信と若さゆえの高慢さが共存しています。

未来から語りかける1番Bメロ

何もない午後の入り江を
往く船をただ見つめていた

出典: TIME/作詞:稲葉浩志 作曲:松本孝弘

Bメロが過去形になっているので、Aメロは過去の想い出だったとわかります。

たとえどこにいようと、お互いの存在があればそれで満足だった。

そんな過去をしみじみと想い出しているのでしょう。

もしかすると、今は同じ場所でひとりで立っているのかもしれません。

同じ場所の未来と過去。側から消えてしまった影。

映画ドラマの回想シーンのように、過去から未来へ映像が切り替わっていくようです。

時空を超えた願いを叫ぶ1番のサビ

どうすれば時が戻る
眩しい太陽の下で
どれだけ涙流れても
静かに海は広がる

出典: TIME/作詞:稲葉浩志 作曲:松本孝弘

ひとりで青空を眺め、立っている場所を地球規模の視点で俯瞰しているようです。

願いが叶わないと知り、消え去りたいような想いがあるのでしょう。

普通なら気分がいいはずの天気。

しかし陽射しに照らされて、主人公はまるで苦行に耐えているような心境なのです。

そして彼の問いかけに、大地も海も太陽でさえも応えてくれません。

究極の孤独なのです。

言葉を対立させて衝撃を深めている

サビは言葉が選び抜かれています。

それぞれのワードが上手く関連しあっているのです。

まず、目からこぼれ落ちる涙ひとつとっても、時の流れを表しています。

主人公の願いとは対照的に、時間が進んでいく様子が小さな世界で描かれているのです。

しかし、涙は太陽で蒸発するのでこちら組み合わせではタイムバックを想起することができます。

さらに、涙は一筋の小さな川と捉えることもできるでしょう。

詩的に解釈すれば、たくさん流れ落ちれば海に辿り着く可能性もあるのです。

ただ、歌詞では海が動じる様子がまったくありません。

すべてのワードが巧みに入り乱れ、主人公の願いに「NO」と応えているようです。

自分が流す涙でさえも彼に味方してはくれません。

ただのちのち、この究極の孤独が歌詞の奥深さを提示してくれるような気がします。

2番では再び過去(回想)に戻る