【Mr.Children/ファスナー】歌詞を解釈！”ファスナー”の一言に込められた深すぎる意味とは

ここで「ウルトラマン」から「仮面ライダー」のファスナーに変わりました。

この変更にも意味がありそうです。

仮面ライダーは変身の前後で見た目こそ変わりますが、サイズ感は変わりません。

しかしウルトラマンは通常の人間サイズから、怪獣に匹敵するサイズへと変身します。

仮面ライダーの中から人間が出てくるのと、ウルトラマンの中から人間が出てくるのではショックの大きさが違うのです。

彼の背中には仮面ライダーのようなファスナーがついていると歌われています。

つまり、彼の裏側は彼女の裏側に比べればちっぽけなもの、ということでしょう。

彼のファスナーの奥にあるのは、秘密や裏側というより「本音」です。

彼女が大切だという思いや、彼女を失いたくないという思いはファスナーの奥にあります。

作り物の優しさで彼女のファスナーを閉じてあげた彼、実は自分のファスナーの奥で泣き叫んでいたのです。

だからこそ、苦しいのでしょう。

彼女の背中についているのはウルトラマンのようなファスナーです。

中に閉じ込められている秘密や裏側は想像以上に大きいものであり、知れば大きな衝撃を受けるもの。

彼は、知ってしまった秘密を忘れたいと思っていますし、彼女の背中の奥にある秘密を消してしまいたいとも思っています。

しかし、ファスナーごと秘密を引っ張り出して捨ててしまうことはできません。

秘密は、彼女の持ち物。彼はどうすることもできないのです。

秘密なんて知らなかった、背中の中を見なかったことにしたい彼は、とある方法を思いつきました。

まずは彼の記憶に彼女の秘密をしっかりと刻みつけます。きっと今、この状態にあるのでしょう。

そして彼女の秘密に関する記憶を切り取って、ひと欠片もこぼさないように移動します。

移動した先は、彼の「胸」のファスナーの中です。

背中やスカートのファスナーではなく、胸のファスナー。

ここなら誰かに開かれてしまう心配がありません。開かないように自分の手で守ることだってできます。

彼は彼女の秘密を胸の奥に閉じ込めて過ごすことに決めました。

敬意とは、誰に向けたものなのでしょうか。

恐らくそれは、彼自身に向けた敬意です。

彼女の裏側を垣間見てショックを受けても、それを胸に閉じ込めて忘れる努力をして、彼女を信じ続ける。

何があっても、一途に誰かを愛せる自分に気づいたのです。

そんな自分への敬意なのだと読み取りました。

愛は彼女に向けたものなのでしょう。

胸の中に、彼女の秘密と一緒に彼女への愛を入れました。

彼女に対する強い愛は、秘密を包み込んでさらなる愛に変える力があるのかもしれません。

敬意と愛を胸の中に吹き込んで、彼はファスナーを引き上げました。

恋人との別れの危機に際して、彼は「忘れる」ことを選びました。

自分さえ我慢すればいい、自分が忘れれば何もなかったことにできる。

そうまでしても守りたい関係でした。

ただ、胸の中に入れた記憶はそう簡単に消えません。

それでも彼は彼女を愛し続けるうちに「あんな秘密なんてどうでもいい」と思える時が来るだろうと信じているのです。

彼女に向けた強い思いは今、彼のファスナーの中にあります。

きっと彼女はいつかそのファスナーの中を見ることになるのでしょう。

そこから、二人の本当の幸せが始まるのです。

「Another Story」もまた、別れの危機から幸せに繋がる道を探す一曲。

本物の笑顔とそうでない笑顔、見分けるのは難しいですね。

二人で進んだ道を、自転車で一人で戻る切なさ。

「水上バス」は潮の香りがする川沿いで聴きたいラブソングです。