中森明菜『難破船』は○○からのラブコールで誕生！？自身が歌いながら涙することもある歌詞の意味を紐解く

あなたと別れてたった1人で歩く街は、誰もが私なんかに目もくれず自分の帰るべき場所へ向かって足を急がせます。街には失恋なんか溢れているから、傷ついた心を慰めてくれる言葉などもありません。

私の恋だって、そこらへんに転がっているよくある失恋話とたいして違いなんてない。けれど、実際に体験している本人にとっては夢も希望も何もかもが消えてしまうくらいの孤独を感じているのでしょう。

街を1人目的もなくふらふらとあるく姿は、まさに”難破船”のようですね。

愛する人との別れを選びたくなかった主人公でしたが、別れは唐突にやってきたようです。

別れ方に関する描写は歌詞中にはありません。

ただ、主人公の焦燥感から想像すると、納得できた別れ方ではなかったのでしょう。

恐らく男性は逃げるように主人公の元から去っていったのかもわかりません。

何かから早く逃れたい、という一種の恐怖観念のようなものから。

一緒に暮らしていて気まずい思いの連続だったのでしょう。

思うようにならないときのいら立ちや怒り。

それをなじり、自分が悪いと泣きやまぬ主人公。

あれだけ優しかった男性が全く笑わなくなってしまった。全てはいたらない自分のせいだと。

そんな主人公の態度が男性には重く感じられ、やがて絶望的な思いに至ったのかもわかりません。

結局、主人公の女性は捨てられたかのような別れを味わったのです。

若い男女の恋愛は、まだあまりにも幼な過ぎたのかもわかりませんね。

「難破船」という楽曲は、別れの辛さを痛切に表現した失恋ソングの名曲です。

自身を「難破」に例えてどん底まで落ちてゆく心の痛みを切々と歌い上げています。

そもそも多くの人は難破してゆく船に乗り合わせた経験はないでしょう。

そこにはこれから命を失ってゆく絶望だけがある世界です。

そんな希望も夢もない状況を当代きっての歌姫、中森明菜がこの曲を歌いあげました。

記事の冒頭にも紹介しましたとおり、明菜さんにとって当時の状況は最悪です。

「破局」という現実が嫌というほどその身に降りかかっていたのですから。

それを知ってか、この曲の提供者「加藤登紀子」が救いのメッセージを手向けてくれたのかも分からないのです。

「世の中、広いよ。愛する人は1人だけじゃないよ」、と。

2人には音楽をつきつめた者同士だからわかる領域があったのでしょう。

加藤登紀子さんは明菜のミュージシャンとしての可能性に大きく期待していたはずです。

それがよりによって周囲が認めないような相手と恋に落ちるとは。

案の定、それが原因で彼女の輝きが失せていってしまっている。

早く、目を覚まして元の歌姫に戻ってほしい。

多くのファンが思っていた願望を加藤登紀子さんはこの曲を提供することでかなえたかったのかもわかりません。

芸能界の大先輩からの心からの救いの手だったのでしょう。

「難破船」の主人公の女性は架空の女性なのですが、明らかに「中森明菜」にピッタリはまってしまいます。

この楽曲が救いになったかどうか。それは時間が解決してくれるのかもしれませんね。

いかがでしたか？

中森明菜の低音が魅力的に響く「難破船」。愚かだとわかっていても、あなたへの愛が止まらず泣きすがりたい気持ちを懸命に抑えているような歌詞が共感できますね。

叶わぬ愛が溢れた名曲「難破船」は桃井かおりや華原朋美もカバーしています。情感籠った中森明菜の声とはまた違った表現を楽しんでみてください。

恋の痛手を痛切に表現した楽曲。まだまだ他にもありますよ。

こんな曲もいかかがでしょうか？