福岡出身、個性派四人組ロックバンド、ポルカドットスティングレイ


超個性派四人組ロックバンドポルカドットスティングレイ

福岡出身の彼らから発せられる音楽は、この世代のバンドにはあまりないような複雑さを持っています。それでいてキャッチーなメロディーがファンの心を掴んで離しません。

破天荒で、みんなバラバラなことをしているように感じさせながらもしっかりとまとまっている、そんな面白さを持っています。

紅一点のギターヴォーカルの雫、彼女が全ての楽曲の作詞作曲を手がけます。

アルバムジャケットのイラストやグッズデザインも彼女の手によるものです。

また、ユニークなMVで定評があるポルカドットスティングレイですが、なんとそのMVのシナリオも彼女が担当しているということ。

音楽とは別にゲームディレクターとしての顔も持つという彼女の多彩な才能が、音楽面以外にも存分に発揮されているようですね。

YouTubeからブレイク!

半年で100万回以上の再生回数を叩き出した「テレキャスター・ストライプ」

ポルカドットスティングレイは2016年、インディーズ時代にYouTubeで公開した 「テレキャスター・ストライプ」のMVが大きな話題を呼び、一躍脚光を浴びることになりました。

コインランドリーを舞台に繰り広げられる、ポルカドットスティングレイ独特の世界はネットを中心に大きな話題を呼びました。

このMVは公開から約半年で100万回以上再生され、これがバンドのブレイクの起点となったのです。

それ以降も曲のクオリティの高さはもちろんのこと、見ている人を飽きさせない、個性的なMVを公開し、多くの人をポルカドットスティングレイの世界の虜にしてきました。

”ホラー脱出ゲーム”がテーマの「シンクロニシカ」のMV

今回ご紹介する「シンクロニシカ」。このMVも、ファンの期待を裏切ることのないユニークなものとなっています。

なんとそのテーマは”ホラー脱出ゲーム”。もちろんシナリオは雫担当です。

異人館のような邸宅に迷い込んだメンバーが、次々出される謎を解きながら進んでいく、ポルカドットスティングレイらしい面白さ満載のMVに仕上がっています。

雫が探偵に扮していたり、メンバーが寿司職人になっていたり、また全員がおばけに変身していたりと見どころ満載、一瞬たりとも目が離せません。

リードギターのエジマハルシがガンガン弾きまくっているのもロック好きにはたまらないですね。

キュートなMVをご覧あれ!

様々な解釈が可能な歌詞

「シンクロニシカ」の歌詞の世界

ここからは、「シンクロ二シカ」の歌詞を見ていきましょう。

歌詞はテーマはと聞かれたら答えられるくらいのテーマとしては持っているけれど、全体的にふわっとしたもの、聴く人の解釈次第でどうとでも取れるもの、というスタンスで作詞しているという雫。

この曲の歌詞も、色々な受け取り方ができる、ポルカドットスティングレイ独特の不思議な世界観の歌詞となっています。

匿ってくれ
Even if you never believe in me
ああ こんな世界にいるのは
やめにして、さあ
跪いてくれ

匿ってくれ
Even if you never believe in me
ああ こんな世界にいるのは
やめにして、さあ
声を頼りに

出典: シンクロニシカ/作詞:雫 作曲:雫

”こんな世界”とは、いったいどんな世界なのでしょうか。

自分を信じてくれない相手に、匿ってくれと頼むほど、その世界は辛いのでしょうか。

信じてくれなくてもいいからと、切実に願っているようです。

それに対して、語りかけられた相手は反応します。

そんな世界にいるのはやめてしまえ、と。跪いてくれたら、その世界から引っ張り出せると。

この声を頼りに、こっちへ来いと。

おそらく”こんな世界”とは、この世。私たちが現在生きているこの世界。

もう生きていくのは辛いと、神に祈っているのではないでしょうか。

跪いて、神に助けを求め、神の声に耳を傾けているように思えます。

”赤”に見出すものは……

隣の花が赤くないか?
尾びれも背びれも持ってないんだ
最初から

感覚を凝らしてくれ
その正体がきみの中で段々と
水を背にして本当を歌って頂戴
淡々とオレンジが
死んでいるきみを
囲い込めて燦々と
積もる恐怖でその盲を癒すとしようか

出典: シンクロニシカ/作詞:雫 作曲:雫

最初から、泳ぐための機能を持ってない自分。

”隣の芝生は青い”とはよくいいますが、それよりももっと鮮やかに劣等感を描き出す、”赤”という描写。

人の持っているものは、より美しく、素晴らしく思えてしまう様子が描かれているのでしょう。

それに嫉妬する気持ちも、”赤”という描写に込められているのではないでしょうか。

本当は、尾びれや背びれに代わるものを自分も手にしているのに。

それは周りから見たら、羨まれるものかもしれないのです。

感覚を研ぎ澄まして、考えてみるのです。

その劣等感の正体を見極めるために。

少しずつ明らかになるその正体に、恐れおののきながらも向き合って、さらけ出すのです。

そして、その恐怖を手放して。

押し込めて、殺してきた自分を、オレンジ色の光を放って燃え尽きようとしている恐怖心や劣等感が明るく照らし出します。