彷徨い消えてなくなりそうだ...
傷をなめあうハイエナの道の脇で転がって
いったい俺は何を主張しかかげるのか
もう自分では愚かさにすら気付き論す事もなく
欲に意地はりあうことから降りられない
出典: 路上のルール/作詞:尾崎豊 作曲:尾崎豊
己の主張を押し殺そうとする、主人公。
それでもこの世を、生き抜いていかなければならないという様相がうかがえます。
長いものには巻かれてしまうといったところでしょうか。
人は皆、誰かが決めたルールのうえで生きているのです。
夢を抱いていた頃の自分はどこにいってしまったのだろう。
今の自分は何とすり替わり、こうなってしまったのか?
自問自答をただひたすら繰り返す主人公なのです。
ともすれば、生産性の低いモノには見向きもしない人たちを憂いでいるのかもしれません。
世の中に蔓延する利己主義的な風潮。
その境目すら見極めることができず、喪失感でいっぱいなのでしょう。
腐敗した社会の渦へと片足ならず、両足から全身までも埋まってしまいます。
それはまるで、どれだけあがいても抜けられない「アリ地獄」のようです。
愛する人と生きていきたい
何もかもは手に入れられない
疲れにむくんだ顔で笑ってみせるおまえ抱きしめるには
互い失ってしまうものの方が多いみたいだけれど
出典: 路上のルール/作詞:尾崎豊 作曲:尾崎豊
先述の「おまえ」は、自分自身を投影していると解釈いたしました。
しかしこの2行は、ともに生きていく愛する女性を指していると考察します。
卑屈になり、世を渡ろうとする主人公。
その様を目の当たりにし、泣きじゃくる女性の情景が目に浮かぶのです。
泣き疲れ、くしゃくしゃになった表情の彼女を温かく包み込むには荷が重過ぎる。
素直に笑えない今の自分では、目の前にいる「君」ですら守ることができないといっているのでしょう。
このままでは、夢はもとより何もかも全てを逃してしまうと危惧しているのです。
届かない光...
河のほとりにとり残された俺は街の明りを
見つめてた思い出が俺の心を縛るんだ
月にくるまり闇に吠え償いが俺を
とらえて縛るそいつに向って歌った
出典: 路上のルール/作詞:尾崎豊 作曲:尾崎豊
ふと我に返る主人公。
対岸の火事を、どこか他人事のようにボーっと見つめるような感覚なのでしょうか。
あるいは、都会に夢を抱いていた頃の自分を今では羨ましく思えるのかもしれません。
自制心が失われていく有り様が、ヒシヒシと伝わってくるのです。
ゼロからスタートしようとした心は、差し当たりしがらみでしかなかったのでしょう。
がんじがらめに心身とも締め付けられていたのです。
本来の自分を、彷徨いながらも手探りで掴もうとしています。
未だ見えない敵に向かい、届かぬ声を張り上げているのです。
主人公の、悲痛な訴えともいえる想いがこちらにも響き伝わってきます。
1歩前へと歩みだす主人公
俺がはいつくばるのを待ってる全ての勝敗のために
星はやさしく風に吹かれて俺は少しだけ笑った
出典: 路上のルール/作詞:尾崎豊 作曲:尾崎豊
ありとあらゆる、全てのしがらみから吹っ切れた様子の主人公。
眩いネオンにばかり気を取られていたことに、ようやく気づいたのでしょう。
これまで、心にずっしりと重く圧し掛かっていたジレンマ。
それは、極々小さなわだかまりでしかなかったのです。
ふと立ち止まり、周りを見渡します。
なんとなく夜空を見上げると、その先には何よりもキラキラと輝く「光」が目に飛び込んできました。
世知辛い世の中に、ただぶつかっていくだけでは何もなし得ることはできないのです。
そんな自分がちょっとおもしろくなり、はにかんでいるのでしょう。
「おまえ」とは一体誰のことか?
おまえの笑顔を捜している
出典: 路上のルール/作詞:尾崎豊 作曲:尾崎豊