必要な人間と不要な人間
指先 占う
選ばれない 花びらは何方
爪先で競う 目は離さない
ほら凛と 淡々と
日々日々 絡まる
また深呼吸 知らないで 触んないで
あべこべに笑う 戸惑ってる
言葉の意味は 内緒
出典: 101/作詞:じん 作曲:じん
昔からじんのファンだったというボーカル・みあ。
アニメ「魔法科高校の優等生」の主題歌にも起用された「101」は、みあがじんに制作を持ちかけたんだそう。
その結果、三月のパンタシアの楽曲の中でも珍しいロック調の楽曲となった「101」。
その主人公は、「魔法科高校の優等生」の主人公・深雪にも重なる部分があります。
「好き」「嫌い」を繰り返しす花占いの中で、望まれているのは「好き」の花びらだけ。
「嫌い」に該当する花びらは、元は同じ花のはずでも、忌み嫌われる存在になってしまうのです。
そんな花占いの花のように、世の中は「必要な人間」と「不要な人間」に分けられているのが現実です。
両者には大きな違いなどないはずなのに、たった少しの差で運命が決められてしまう……。
中身や感情などまるでどうでもいいかのように、淡々と人間を分けていくこの世界。
絡みついてくるようなその呪縛からは、誰も逃れることができません。
自由のない毎日の中で
あぁ 近づいたって 遠くなる
透明な 色で出来た メイ・シンドローム
迷信を 怖がらないで 手を添えて
醒めない 魔法をかけて
出典: 101/作詞:じん 作曲:じん
「魔法」という名の超能力を巡り、拘束された人生から自由になろうとする物語「魔法科高校の優等生」。
主人公・深雪は類まれなる能力を持っており、将来が約束された存在です。
一方、兄の達也は簡単な魔法しか使えず、深雪を守るよう命じられている「囚われの身」。
兄妹はどちらも、自由のない毎日を送っているのです。
あたたかい春の陽気とは裏腹に、何だか気持ちが滅入ってしまいそうな五月病の毎日。
目には見えない「魔法」を恐れることなく、ただの「個性」として見てもらうことができたのなら……。
主人公にとっても、そして兄にとっても、ほんの少し生きやすい世の中になるはずなのです。
花のような主人公の世界
数え切れないほどの願いが胸を刺す
1000000回 願って
1000000度 声に出して
息も止まるくらい ずっと本気で
諦めそうな 想いが
見えない炎に なって
心を 燃やしていくから
出典: 101/作詞:じん 作曲:じん
もはや数え切れないほど、同じ願いを繰り返し思い描いてきた主人公。
その日々は決して平和なものなどではなく、彼女の心の中はもはや諦める寸前のところまできていました。
しかし、何度も願った思いが無駄になることはなく、むしろ彼女の背中を押すことに。
これまで諦めずにいられたのも、それだけ想いが強かったからなのです。
主人公にとっての願いは、守りたい兄と共に自由な世界を生きること。
しかしこの世界に生きる全ての人が、決して譲れない願いを持っているはずです。
何度願っても状況が変わらず、折れそうになる心を抱えて歩き続ける私たち……。
たとえ辛い時でも、背中を押してくれるのは自分自身なのです。
ケンティフォリアの花
1/100の 恋を
100倍して 唱えて
ただの物語で 終わんないように
逃げない足を 蹴って
めげない花 咲くんだ
フレアブルーに 染まっていたんだ
出典: 101/作詞:じん 作曲:じん
主人公を「花」に例えて生まれた楽曲「101」。
作詞を手掛けたじんによれば、これは「ケンティフォリア」という花をイメージして作られたといいます。
「ケンティフォリア」は、なんと花びらが100枚もある優雅な雰囲気の花。
幾重にも重なった花びらが、繰り返し願われた思いの強さを表しているようにも見えます。
1枚1枚の花びらに思いを込めていたら、いつしかそれは100枚にも及ぶほどに。
重なり合った思いは、もはや誰にも止めることはできません。
しかしそんな恋も、周りから見ればただの「よくあること」でしかないもの。
数多くの思いに埋もれてしまわないように、今はただまっすぐに走っていくだけです。
しっかりと「青」を主張しながらも、透明感あふれるイメージのあるフレアブルーの色。
まさに主人公の一途な思いを表しているといっていいでしょう。