「あなた」に溺れる「わたし」
Take it off 愛情が足りない
わたしにはあなたしかいないって
出典: [A]ddiction/作詞:Reol 作曲:Giga
2番では、どんどん「わたし」の余裕が剥がれていきます。
Take it offとは、脱いで、という英語のイディオムです。
ここで脱ぐのは「わたし」の心の仮面ではないでしょうか。
愛情不足を嘆くのは、余裕のない姿です。
「あなた」に依存していることがどんどん明らかになるのが2番。
絡めとられたのは「あなた」ではなく「わたし」なのです。
また、付き合い始めの自分の余裕を保てなくなっているともいえるでしょう。
どちらにせよ、1番の時とまるきり逆になっていることがわかります。
「わたし」は「あなた」を追いかけ、どんどん溺れていくのです。
心酔と後悔と陶酔
ああまただわ ワガママ
愛と名付けて また支配する
出典: [A]ddiction/作詞:Reol 作曲:Giga
「また」という表現からも、「わたし」が後悔していることがわかります。
それまでの恋愛経験と同じことをまたやってしまったのでしょう。
つまり、相手に結局依存し、相手に陶酔する。
そして、愛していると自分にいいわけをしながら相手が離れないようにするのです。
わがままや支配、という表現からも、「わたし」は自分の恋愛にいい印象はありません。
しかし、それでも愛してほしくて相手にさらに依存する。
それが「わたし」の恋愛なのです。
愚かしくも愛おしい
Besottedの真意
Our love's continue to further evolve more.
My love is besotted with you.
出典: [A]ddiction/作詞:Reol 作曲:Giga
Cメロ和訳
私たちの愛はとんでもなく遠いところまで発展し続けていくわ。
でも私の愛はあなたに首ったけ、頭がおかしくなるの。
出典: [A]ddiction/作詞:Reol 作曲:Giga
ここでは「Bessotted」という英語が出てきます。
Besottedの意味は恋愛で愚かな行動をするということ。
慎重な行動ができなくなっている状態のことを指す言葉です。
つまり、「わたし」はもう余裕のある行動ができないのです。
もっと愛してほしい。
もっと愛したい。
その2つの感情に揉まれ、ぐちゃぐちゃになった心情が「Besotted」なのです。
迷子の少女
わたし以外いらない そういう言葉は
期待するだけ無駄って知ってしまった
愛し方が解らないよ ねぇ
出典: [A]ddiction/作詞:Reol 作曲:Giga
とうとう最後の方で「わたし」の本心が飛び出します。
「わたし」は恋愛経験が豊富です。
しかし、どうすれば愛することができるのかはわかっていないのです。
ただ望んでいるのは「自分だけを愛してほしい」ということ。
しかし、その方法はわかりません。
途方にくれた「わたし」の心情は「ねぇ」という2文字が表現しています。
曲の最初とはうって変わって、迷子の少女のように立ちすくんでいるのです。
「わたし」と「あなた」の最期
この2人がどんな結末を迎えたのか。
その最後を想像するのは非常に難しく、人によっては解釈が分かれるでしょう。
もしかすると「あなた」は「わたし」を手にかけたかもしれません。
また、両方が命を落とした可能性もあります。
さらに、生きてはいるけれどもう二度と「わたし」は恋をしないかもしれません。
ただ、どの結末にせよ「わたし」は本気で愛したかったのでしょう。
その方法は狂おしく、偏執的で猟奇的な面もあったかもしれません。
しかし、愛とは何も美しく幻想的なものではないのです。
「Addiction」という曲名からもわかる通り、2人の愛の形はまさに中毒的だったのです。