本心としては平和な日常を何より望んでいるのでしょう。
でも、自分の生きる運命を選ぶことすらできない…。
抗うこともできずに過酷なストーリーに巻き込まれていく登場人物の想いが綴られています。
前述したように「からくりサーカス」は人間味が描かれた作品。
登場人物の「愛」や「絆」「葛藤」が描かれており、この人間味の部分を表現した歌詞なのだと思います。
愛はやがて怒りに
涙痛み触れた
愛も痛みになった
何を代償そんなに欲しいの
悲しみ怒りくれた
誰のため 頑張った
悲鳴で何もききとれない
出典: Over me/作詞:ロザリーナ 作曲:ロザリーナ
物語が進む中で様々な人物が犠牲となりました。
それぞれが全力で自分の命を全うし、感動を与えます。
「愛」は生きるうえでの大きなエネルギー源になりますね。
でも、「愛」すら「痛み」に変貌してしまった…。
「愛」と「痛み」には関連性があると思います。
思い入れが強いほど、失ったときや踏みにじられたときの「痛み」は強烈になるでしょう。
そしてどうしようもない「痛み」はついに「怒り」へと変換されました。
やり場のない葛藤と底無しの悲しみが、限界まで膨らんだ感情を「怒り」という形で爆発させたのでしょう。
絶望に満ちた世界感が伝わってくる表現です。
何のために抗う?
運命からの脱却
もういいかい?
もういいよ
もうどうでもいいんだ
わからないんだ
出典: Over me/作詞:ロザリーナ 作曲:ロザリーナ
かくれんぼの言い回しを引用しています。
もう諦めてしまおうか…。
もう解放してほしい…。
そんな弱った精神状態が読み取れるフレーズです。
「からくりサーカス」のあらすじ説明で前述した「運命」からの脱却というテーマと関連していますね。
望んでいなくてもレールが敷かれたように進んでいく物語。
「嫌だ」と言っていても、待ってはくれないのです。
「なんで自分だけ」と嘆いても、事態は収束しないでしょう。
無理矢理にでも「運命」に抗うほかありません。
大切なものを守るため
だから全部全部なくなって
そう願う日もあるけど
でも全部全部大切で
僕は戦ってるんだ
出典: Over me/作詞:ロザリーナ 作曲:ロザリーナ
失われた数々の命を悔やんでいます。
何もかも失ってしまったという表現からは、深い絶望が読み取れますね。
「願い」は冒頭のフレーズに繋がるのだと思います。
本当は大好きな人と平和に暮らしたいだけなのに。
戦いたくて戦っている訳ではないのに。
そして「戦いから脱落したらどうなるんだろう?」と思考を巡らせたのかもしれません。
ここで諦めたら大切な皆を失うことになってしまう…。
それだけは嫌だ。
このように、なぜ自分が戦っているのか目的を思い出し、覚悟を決めたのでしょう。
虚無感の正体
一方通行の愛?
見返りなどいらないのに
何を求めているの?
こっち向いてよ
もっと側にいたいのに
もういいかい?
もういいよ
もうどうでもいいんだ
わからないんだ
出典: Over me/作詞:ロザリーナ 作曲:ロザリーナ
このフレーズからは想い人へ語り掛けているような印象を受けます。
「からくりサーカス」では愛情に関する描写もあり、登場人物の想いが反映されているのかもしれません。
無償の愛と、「見返り」の必要な制限付きの愛。
近くにいたいのに、距離を感じる。
愛情が一方通行になっていることがうかがえますね。
愛は心を強くするといわれていますが、ここでは愛が満たされない虚無感が歌われている気がします。
孤独が感じとれるフレーズですね。
心の支えがないから
誰のためだって言ったって
いつだって僕のためで
頑張って考えたって
1番がないから
出典: Over me/作詞:ロザリーナ 作曲:ロザリーナ
心の中を支配する虚無感が垣間見えます。
支えなしに生きている自分を客観視したのでしょう。
必死に「人のため」と振る舞っているけど実は偽善で、全て自己満足のエゴなのかもしれない…。
自分自身の正当性を疑っているのではないでしょうか?