2人にとって約6年ぶりに訪れたであろう母校での撮影。
様々な青春時代がフラッシュバックしたことでしょう。
川崎総合科学高等学校は15階建て、高さ66mもある高層ビル。
屋上から見えるのは多摩川を挟んだ東京の高層ビル群、そして眼下に広がる川崎工業地帯。
まるで岡崎京子の名著「リバースエッジ」の世界です。
MVでは屋上にヘリポートが設置されていることが確認できます。
したがって一般生徒は立ち入り禁止だったのかもしれません。
もしかしたらこっそりと屋上に上がって授業をサボったこともあるのかも...。
「SHISHAMO」が「柳葉魚」だった頃
在学中、柳葉魚(ししゃも)名義でコピーバンドをしていたあの頃。
2人は懐かしの部室や教室を見て回ったのでしょうか?
当時のベーシストは松岡ではなくオリジナルメンバーの松本彩でした。
その頃2つ年下の松岡は地元の大阪で過ごしていました。
もちろんSHISHAMOの存在を知ることはなかったはずです。
彼女にとっても初めて訪れたであろうSHISHAMOの聖地、2人とは違う感慨を胸に抱いたのでしょう。
MVでは時折ストップモーションと共に画面がセピア色に塗り潰されます。
3人の、いえ4人の甘酸っぱい思い出がそこに凝縮されているような演出です。
『OH!』の歌詞もチェック!
青春の瞬き...
ずっと続くわけじゃないんだよ
今過ごしてるこの時間は
もう二度と帰ってくることのない今を
周りの目気にして無駄にすんなよ
出典: OH!/作詞:宮崎朝子 作曲:宮崎朝子
本稿では『OH!』のMVを中心に紹介する予定でした。
しかし歌詞の内容があまりにも素晴らしいので少しだけ触れておこうと思います。
『OH!』の主題は一言でいえば「青春の瞬き」といったところでしょう。
限りある青春時代を悔いの残らないように、目標に向かってただ我武者羅に走れ!
『OH!』は10代を音楽に捧げてきた先輩としてのSHISHAMOが若者に贈るメッセージソングです。
君の全力を笑うな!
クールじゃなくていいんだよ
君の全力を笑うやつ
見向きもせず走り続けたら
きっと誰よりカッコイイ君になれるでしょう
出典: OH!/作詞:宮崎朝子 作曲:宮崎朝子
勉強でも音楽でもスポーツでも何でもいい。
やりたいことをただひたむきに頑張る姿は何よりも崇高です。
しかし周囲にはそんな姿を馬鹿にする人たちが一定数存在します。
多感な時期を過ごす少年少女にはそんな悪意に対する耐性がありません。
しかしSHISHAMOは知っています。
頑張る人を笑う人たちは本当はあなたのことが羨ましいんだと。
君だけは君を恥じるなよ!
空気なんて読まなくていいんだよ
君だけは君を恥じるなよ
君は君のままで 熱くあれよ
出典: OH!/作詞:宮崎朝子 作曲:宮崎朝子
MVの中でSHISHAMOは伝わってほしい言葉をあえて画面に表示します。
その中でも誰の心にも響いてしまうのがCメロのこのフレーズです。
誰にも理解されなくても決して自己否定をしてはいけない。
夢を語ることを良しとしない“空気”が社会には蔓延しています。
しかし同調圧力に屈していてはその“空気”に飲まれてしまうのです。
だからせめて自分だけは自分の道を見誤らないようにしよう。
SHISHAMOは自身の弱い心も一緒に鼓舞するようにそう歌うのです。