第7位~第5位
第7位『茨の海』
第7位は『茨の海』です。
この曲はシングル曲ではありません。
2枚目のアルバム「This Armor」に収録されています。
鬼束さんの歌唱が光る一曲ですね。
コード進行はシンプルながらも、独特の節を入れたメロディーラインが美しいです。
貴方の放り投げた祈りで 私は茨の海さえ歩いてる
正しくなど無くても 無くても 無くても 無くても
出典: 茨の海/作詞:鬼束ちひろ 作曲:鬼束ちひろ
「祈り」を「放り投げる」。
「茨の海さえ」。
一般的に祈りは放り投げません。
また、もし茨の海があるとしましょう。
それでも「さえ」という副助詞をここに配置するのも一般的ではありません。
このような文章の唐突さが、楽曲をより神秘的なものにしていると思います。
第6位『infection』
私の愚かな病は
だんだんひどくなっていくばかり
出典: infection/作詞:鬼束ちひろ 作曲:鬼束ちひろ
主人公は病気に罹っているようです。
それは文字通りの病気ではなく、病的なものに精神が支配されているとでも言うべきでしょうか。
自分自身のダークサイドへ入り込み、そして病を見つける。
その病とはこの世に存在するすべての矛盾、不条理なことです。
自分自身の存在さえ危ういこの世界で、より良く生きていくために何が必要なのか?
主人公は鬼束さん自身だと思います。
鬼束さんは、必死で自分のダークサイドと戦っているのですね。
第5位『私とワルツを』
第5位は『私とワルツを』。
この曲はTVドラマ『TRICK』の主題歌になったことで有名ですね。
哀愁漂うメロディーですが、そこにはひとひらの優しさがあります。
哀しみの果てにたどり着いた至福の時。
そういう情景が浮かぶような曲です。
誰にも傷が付かないようにと
ひとりでなんて踊らないで
出典: 私とワルツを/作詞:鬼束ちひろ 作曲:鬼束ちひろ
ここのメロディーがブルーノートを使っていて、彼女独特の節回しで歌っています。
ブルーノートとは、ある目的の音から少しフラットさせて歌うテクニックです。
ジャンルでいえば、ブルースやロック、ジャズによく使われるテクニック。
それをさりげなく使うところが、鬼束さんが鬼束さんたる所以(ゆえん)だと筆者は思います。
第4位~第2位
第4位『Cage』
第4位は『Cage』。
3枚目のシングル曲です。
アコースティックのバッキングが印象的な楽曲。
それでいていつもの鬼束さんらしく、哀愁あふれるメロディーが曲を引き立たせています。
森のなかで磔(はりつけ)にされる人物を描いたMVも、この曲の発表当時かなり話題になりましたね。
Cege(ケージ)を日本語に訳すと、鳥かごや檻という意味になります。