ロックバンドかアイドルか

激動の邦楽シーン

C-C-B【Romanticが止まらない】歌詞解釈!友達から恋人へ…ドキドキの高音ボイスが止まらないの画像

C-C-Bシングル「Candy」でデビューした1983年、日本の音楽シーンはアイドルの牙城でした。

アートティスト別の売り上げは1位が松田聖子、2位は中森明菜

翌1984年の1、2位も順位は変わらず。

1985年は中森明菜松田聖子の順に入れ替わっただけでした。

さて、3位を見てみると、1983年には前年の中島みゆきに代わり、サザンオールスターズが登場。

1984年にはチェッカーズが取って代わり、彼らは1985年も同順位をキープします。

しかし、チェッカーズが好セールスを記録した背景には、特異な要素もありました。

1980年代前半の彼らは、職業作家が作った歌謡曲を演奏する、アイドルそのものの存在でした。

社会現象ともいえるブームを巻き起こしたのは、そのルックス

音楽性とはあまり関係のない、奇抜なヘアスタイルファッションだったのです。

それは、当時の音楽シーンにおけるアイドル、歌謡曲の引力の強さを象徴したものでもありました。

その1985年が始まったばかりの1月、テレビドラマの主題歌という形で、ある若手バンドの曲が世に出ます。

C-C-Bの「Romanticが止まらない」

彼らもまた、そんな時代の荒波と無関係ではいられなかったのです。

当時はアイドルとして受け止められていたC-C-B。ロックが市民権を得た今、改めて彼らの映像を確かめると、ピュアなロックバンドそのものです。

人気ドラマの主題歌に

C-C-B【Romanticが止まらない】歌詞解釈!友達から恋人へ…ドキドキの高音ボイスが止まらないの画像

デビュー時はCoconut Boysを名乗っていた彼ら。

バンド名をC-C-Bに変えた後の第1弾シングルが、通算3枚目の「Romanticが止まらない」でした。

注目されたきっかけは、1985年1月から3月まで放送されたテレビドラマ

最終話で26.2%の高視聴率を記録した、「毎度おさわがせします」の主題歌に抜擢されたのです。

当初は、チェッカーズの曲を起用する方向で進んでいた、このドラマの主題歌。

さまざまな経緯をたどり、「Romanticが止まらない」がお茶の間に流れることになります。

思春期の男子が異性に抱く好奇心や欲望をコミカルタッチで描いたストーリー。

当時、思春期の真っ只中にあった、200万人を超える団塊ジュニアの心をつかんだのです。

そんな大ヒットドラマの世界観を見事に歌い上げていたのが、この主題歌でした。

「止まらない」という、戸惑いに満ちた言い回しも、思春期特有の感情を代弁していたように思えます。

「Romanticが止まらない」は、C-C-Bにとって最大のヒット曲となりました。

友達から恋人へ

クライマックスから入る歌詞

長いキッスの途中で(Fu-Fu さりげなく)
首飾りを外した(Fu-Fu 指先で)
友だちの 領域(エリア)から
はみ出した
君の 青い ハイヒール

誰かRomantic 止めてRomantic
胸が 胸が 苦しくなる
惑う瞳に 甘く溺れて
Hold me tight せつなさは 止まらない

出典: Romanticが止まらない/作詞:松本隆 作曲:筒美京平

「長いキッス」という歌詞で始まる、「Romanticが止まらない」という曲。

この曲の斬新さを象徴しているポイントは、始まりの歌詞にあります。

歌詞が紡ぐ物語のクライマックスとなる場面は、サビに合わせられるのが一般的。

しかし、この曲ではその場面、つまり「キッス」の場面が冒頭に登場するのです。

さらに、キッスに至るまでのストーリーも、全く描かれていません。

かろうじて読み取れるのは、「友達の領域からはみ出した」というシチュエーションだけ。

2人の間に一体何があったのか、リスナーに胸騒ぎを覚えさせることに成功しています。

分かりやすさが求められる流行歌において、画期的な表現手法でした。

「Romantic」は「せつなさ」に

C-C-B【Romanticが止まらない】歌詞解釈!友達から恋人へ…ドキドキの高音ボイスが止まらないの画像

壁のラジオ 絞って(Fu-Fu しどけなく)
遊びなのと聞いたね(Fu-Fu ささやいて)
言葉では 答えない
抱いた手に 力こめる Tonight

誰かRomantic 止めてRomantic
息が 息が 燃えるようさ

同じ孤独を 抱いて生きたね
今夜一人では 眠れない

誰かRomantic 止めてRomantic
胸が 胸が 苦しくなる

走る涙に 背中押されて
Hold me tight せつなさは 止まらない

出典: Romanticが止まらない/作詞:松本隆 作曲:筒美京平

「キッス」の後の展開からは、高揚感や幸福感といったものは感じられません。

サビの歌詞で繰り返されるのは、「止めて」という悲痛な叫び。

「友だち」を恋人として意識する気持ちにブレーキをかけようとする、頑なな意思です。

激しい動揺がうかがえる心は、彼女に「遊びなの」という疑念を生ませることに。

「Romantic」という甘い言葉はやがて、物悲しさがにじむ「せつなさ」に置き換わります。

なぜ、恋に進展したはずの状況にブレーキをかけなければならないのか。

その理由は最後まで判然としないまま、曲の終盤に歌われるのは「孤独」「涙」といった言葉。

失恋の痛みを歌ったようなニュアンスから、ネガティブな事情があることは推察できます。

最大のヒットを記録

ロックとポップスの融合

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