THE YELLOW MONKEY 「球根」
イエモンの代表曲のひとつ
「球根」は1998年に発売された、THE YELLOW MONKEYの14枚目のシングルです。
彼らのリリースしたシングルの中で唯一オリコンシングルチャート1位を獲得した作品としても知られ、ファンの間での人気も高い代表曲として有名です。
その斬新で鮮烈な歌詞、熱いサウンドなど、THE YELLOW MONKEYの色気や魅力に満ちた曲となっています。
絶賛の声が多く聞かれる名曲
この「球根」はランキング上の記録だけではなく、その高評価の声からも代表曲として地位が確立されている作品です。
日本を代表する伝説のギタリストhideもこの曲を絶賛していて、その言葉を1998年のROCKIN'ON JAPANの中で語っています。
THE YELLOW MONKEYのボーカル吉井和哉はその言葉に応えるように、hideが亡くなった日のイエモンのライブで演奏された「球根」を、「hideに向けて歌った」と語ったエピソードがあります。
また、作曲者である吉井和哉自身もこの曲を「10年に一度の曲」と語っています。
自らの作品を他の作品と並べてこう評していることからも、どれだけこの「球根」に強い思い入れと自信があるかが分かります。
まさにこの曲はTHE YELLOW MONKEYにとっても特別な一曲と言えるのではないでしょうか。
命の輝きがほとばしるような世界観
髪の毛 手の平 愛の光
夢より まばらな 寂しい熱 Ah
許されない 誰にも 喜ばれない
お前が咲くならば僕は穴掘ろう
世界は壊れそうになった
今、流星のような雨の中
出典: 球根/作詞:吉井和哉 作曲:吉井和哉
独自の世界が形作られていく導入
ゆったりとした曲調の始まりとともに歌われる導入部は、言葉こそ少ないながらも曲の中でのTHE YELLOW MONKEYの世界観を構築していく重要なパートです。
情景的な描写には吉井和哉さんの独自のセンスが溢れていて、大人っぽい色気や柔らかな空気、その中に潜まれている熱が浮かび上がっています。
一見すると意味が繋がらないような言葉の並びですが、それぞれの歌詞のひとつひとつにイメージを印象付ける力があって、曲の風景が色づけされていくようです。
身体で体を強く結びました
夜の叫び生命のスタッカート
土の中で待て命の球根よ
悲しいだけ根を増やせ No La
この真っ赤な情熱が二人を染めた
出典: 球根/作詞:吉井和哉 作曲:吉井和哉
独創的なセンスで描かれる命
そこから続いて歌われるサビでは、この曲のテーマが高々と叫ばれています。
この「球根」のテーマ、それは「命」ではないでしょうか。シンプルで簡潔な曲の中では、命と命の情熱的な交わりやそこからの新しい命の宿りが比喩表現を多用して鮮やかに描かれています。
愛情や哀しみ、痛み、希望など様々な感情が入り交じり、その世界観はとにかく壮大で芸術とまで言えます。
言葉の独特な選び方・表現方法はTHE YELLOW MONKEYの魅力のひとつです。
この曲の中でもそんな彼らの個性は存分に発揮されています。愛の交わりを生々しく描いているその歌詞の中には官能的な響きは薄く、むしろ神秘的な様が覗えます。
光がほとばしるような、視界が熱を帯びて色づくような、そんな風景が絵画を見ているかのような不思議な感動を伴って描写されています。
曲のタイトル通り、まるで球根から芽が出て伸びていく命の神秘をスローモーションで見ているかのような力強さ、熱が感じられます。
強い「生」の力が歌われている歌詞
死ぬか生きるかそれだけのこと
世界はコナゴナになった
でも希望の水を僕はまいて Fu Fu
身体で体を強く結びました
永遠の中に生命のスタッカート Ah
土の中で待て命の球根よ
魂にさあ根を増やして
咲け…花
花 花 花 花 花 花 花
出典: 球根/作詞:吉井和哉 作曲:吉井和哉
魂で歌い上げる情熱的な命の様
曲中で出てくる「生命のスタッカート」という表現は、心臓の鼓動を指しているのではないでしょうか。
そして曲のタイトルでもある「球根」は、新しい命を象徴する言葉であるように思われます。
曲のテーマは「命」でしょうが、そこには様々な意味が込められています。
今生きている命同士の交わり、そこに生まれる熱や輝き、そしてその中から新しく生まれてくる命の熱量。
そんな命の巡りとも言えるような風景が頭の中に浮かんできます。
短い歌詞の中にはこのテーマを訴える中で無駄な表現は一切無く、完璧な世界観が作り上げられています。
シンプルでストレートで、でもその中に壮大なテーマが込められているこの曲を吉井和哉が自ら高く評価するのも分かりますね。