しかし、最近の曲でも歌詞が過激だとバッシングを受けるものがあります。この時代でもこれだけ炎上したのですから、現代だったら発売できなかったかもしれませんね。

令和の今ではとても受け入れられない中身?

それでは「関白宣言」の歌詞を1番から改めてみていきたいと思います。

その前にこの楽曲が発売された当時の背景を少しばかり振り返ります。

「関白宣言」の発売は1979年。現在からもう40年以上も前の楽曲なのです。

当然ながら40年も経てば社会状況は大きく変わります

特に当時にはまだ「戦後」という意識が残っていました。

この意識は時代が平成になるまで根強く残っていたのです。

そう、昭和は戦争があった時代です。

その時から脈々と続く既成概念が人々の頭の中にあったのです。

それは「男尊女卑」。

今の時代ならば明らかにセクハラ、パワハラで一刀両断にされる考え方。

それが男女を通じて当たり前でした。

そして男性が家庭内でも亭主関白でいられたのは会社の雇用形態です。

終身雇用年公序列給与。そして退職金年金

これらの存在が亭主を関白ぶらせる背景になっていたのです。

そして女性の社会進出はこの当時はまだまれでした。

重要なポストは軒並み男性です。つまり「男社会」だったのです。

こういった背景を頭に入れていればこの曲をもっと気楽に楽しめると思いますよ。

亭主関白宣言

関白宣言その1

お前を嫁にもらう前に 言っておきたい事がある
かなりきびしい話もするが 俺の本音を聴いておけ
俺より先に寝てはいけない
俺より後に起きてもいけない
めしは上手く作れ いつもきれいでいろ
出来る範囲で構わないから
忘れてくれるな仕事も出来ない男に
家庭を守れるはずなどないってこと
お前にはお前にしか できないこともあるから
それ以外は口出しせず黙って俺についてこい

出典: 関白宣言/作詞:さだまさし 作曲:さだまさし

それでは1番の歌詞からです。

主人公は亭主関白を標榜する普通のサラリーマン男性です。

主人公はめでたく妻をめとりました。

当時は恋愛結婚がもう主流です。

しかし、家庭に入った妻に対しては様々な条件がのしかかります。

それが主人公の要求する関白宣言の第1です。

料理や起床時間に対して結構、細かく要求しています。

それ以外にも要求はあったでしょう。

家の掃除、お風呂、洗濯など。家事一切を奥さんに押し付けます。

しかし、それに対して奥さん側から不満の言葉は歌詞にはありません。

恐らくそうすることが夫婦円満の基本だという風潮があったからでしょう。

関白宣言その2

1番の歌詞は後半に入って主人公の胸の内が明かされます。

それは家を守ることへの責任感です。

亭主は外に出たら仕事。それしかないということです。

昔は男は外に出たら7人の敵がいるといわれていました。

中途半端な気持ちで妻をもらって夫婦になったのではない、という主人公の気概を感じますね。

奥さん側からみたらそれは当然の話です。

男が外で仕事のできない人間だったら愛想を尽かされていたでしょう。

もしかしたら結婚にもOKサインを出さなったかもわかりません。

そして亭主らしい奥さんへの配慮も忍ばせていますが、最終的にはこの一言で片付けます。

「黙って俺についてこい」と。

これが当時の多くの亭主の基本ポリシーといえるでしょう。

まさに「風呂!飯!寝る!」を地で行くような勢いです。

夫婦とは

嫁姑問題

お前の親と俺の親と どちらも同じだ大切にしろ
姑小姑かしこくこなせ たやすいはずだ愛すればいい
人の陰口言うな聞くな それからつまらぬシットはするな
俺は浮気はしない たぶんしないと思う
しないんじゃないかな ま、ちょっと覚悟はしておけ
幸福は二人で 育てるもので
どちらかが苦労して つくろうものではないはず
お前は俺の処へ 家を捨てて来るのだから
帰る場所は無いと思え これから俺がお前の家

出典: 関白宣言/作詞:さだまさし 作曲:さだまさし

2番の歌詞をみていきましょう。

新妻が亭主側の家庭に入って最も頭を悩ます問題。

それが「嫁姑」問題です。

この問題は40年前はもちろん、今の時代においても夫婦関係に大きな問題を投じます。

特にもし同居などしてしまったら、最悪でしょう。

そこに小姑まで現れたらこの世の地獄かもわかりません。

ただ、主人公はそのあたりを配慮して妻にヒントを与えています。

姑や小姑を愛せと言っているのです。

確かにそれが出来たら苦労はしません。

妻を召使い代わりにする姑たちを果たして愛せるか。

しかし、当時はこの問題、ダイレクトに自身に襲ってきました。

だから、知らず知らずのうちに妻側も鍛えられたのでしょう。

何事も逃げていては上達しません

こちらがペースをつかむコツを会得すればあとは楽になりますからね。

主人公の妻に対する責任感

それから主人公は女関係についても多少の予防線を張っています

当時のサラリーマン。付き合いや夜の接待は茶飯事です。

必然的にそういったお店の女性と知り合いになります。

まあ、そこでモテるかどうかは別にして主人公は自身の覚悟を妻にハッキリ言っています。

そのあとに、「愛している人間はお前だけ」。と告白しています。

妻としては主人公の話を信じるしかありません。

でも、恐らく主人公は浮気をできないでしょう。

そして妻にそんな心配もかけないでしょう。

それは主人公にとって妻こそがこの世で最愛の人、そのものだからなのです。

幸福は二人三脚で作ろうとする主人公の心意気を、妻が嘘とは思えないと確信したからです。

嘘をつくのが下手な人は安心という確信を得たのでしょう。