でもね僕思っているよあなたの事
今日の夜だって
出典: 新しい歌/作詞:アマダシンスケ 作曲:アマダシンスケ
歌っている今この瞬間は、歌詞の内容やメロディーだけに集中している「僕」。
自分の歌詞に何ひとつ嘘がないからこそ、没頭できるのでしょう。
しかし歌から離れた場所では、別のことも考えます。
別のこととは「あなた」のこと。
「あなた」から見た「僕」は、音楽にばかり傾注して自分に目もくれないように感じてしまうのかもしれませんね。
もしかすると、2人の間には物理的な距離があるのではないでしょうか。
例えば、夢を叶えるために「僕」は上京し、故郷に「あなた」を置いてきてしまった可能性があります。
音楽のために上京してきたけれど、決して「あなた」のことを忘れたわけではないのです。
音楽から離れてホッとひと息ついたとき、思い浮かぶのは「あなた」のこと。
準備はしておくよ
なぜか待ちの姿勢となってしまう「僕」。
そこには大きな理由があるようです。
後ろめたさから消極的に
あなたから電話がかかって来るのを僕は待っているんです
出典: 新しい歌/作詞:アマダシンスケ 作曲:アマダシンスケ
この歌詞を読んで疑問に思う方もいるのではないでしょうか。
なぜ自分から電話をかけないのでしょうか。
「音楽ばかりではなくあなたのことも考えているよ!」と電話で、声で、誰にも負けない口で伝えたらいいのです。
しかし「あなた」からの連絡を待ってしまいます。
部屋の中でギターを爪弾きながら、光らないスマホをじっと見ている光景が浮かびますね。
きっと彼は、少し後ろめたさがあるのでしょう。
音楽で生きていきたいという夢と「あなた」の存在を秤にかけたわけではありません。
どちらも大切ですが、しかし音楽方面のチャンスがあるなら絶対に逃したくないと思うのは当たり前。
やらずに後悔するよりやって後悔する、というものですね。
彼女は明るく送り出してくれたのだとしても、後ろめたいですね。
彼女を一緒に連れてくるほどの生活力はないのですから。
それゆえに、あっけらかんと「元気?」なんて連絡できずにいるのでしょう。
小さな頃の思い出を今 あなたに歌っている
出典: 新しい歌/作詞:アマダシンスケ 作曲:アマダシンスケ
2人は幼馴染なのかもしれません。
幼い頃の出来事、多感な時期に向かっていく2人の距離感、全てが忘れたくない思い出です。
光らないスマホの向こう、「あなた」も電話を待っていてくれたらいいなと期待しているのでしょうか。
誰もいない部屋で、楽しかったあの頃の時間をメロディーに乗せています。
「あなた」に届いたらいいなと願いながら。
あなたの望みをすべて叶えたい
夢で逢えたらあなたはどこへ行きたいと言うの?
出典: 新しい歌/作詞:アマダシンスケ 作曲:アマダシンスケ
距離があってすぐには逢えません。
せめて夢の中に出てきてくれたら、「あなた」の願いを聞いてあげられるのにと思っているようです。
離れてしまった今、彼女が希望する行き先が想像できないのでしょう。
ここまで読み解いた「夢」は、眠りながら見る「夢」でした。
しかし「夢」にはもうひとつ意味があります。それは曲の冒頭に出てきた「夢」。
つまり、「僕」が目指す目標、将来の夢のことですね。
もし音楽の道で成功できたら、彼女を自分の隣に連れてくることができたら、彼女はどこに向かいたいと言うのか。
「僕」の進む道を一緒に歩んでいきたい、と言うかもしれません。
準備だけしとくよ会いに行く
あなたに
出典: 新しい歌/作詞:アマダシンスケ 作曲:アマダシンスケ
夢の中で「逢えたら」と歌っていましたが、ここで「会いに行く」と書かれています。
これはどういうことでしょうか。
「逢う」は偶然顔を合わせる意味、「会う」は予定した上で顔を合わせるという意味があるようです。
夢で逢いたいと思っても簡単に逢えるはずがありませんので「逢う」を使っているのでしょう。
偶然逢えたら、彼女の望みを聞いてあげたい。きっとその望みは故郷にいる彼女の望みとイコールなのです。
逢って、聞いて、叶えるために会いに行く。いつでもこれができるように心構えをするよ、ということですね。
そしてもうひとつの「夢」。
将来の夢に辿り着き、彼女を隣に連れてくることができたら、彼女は「一緒に生きていきたい」と言うかもしれません。
その時のために「僕」は音楽で生活できる力をつける必要があります。
少しの蓄えも必要かもしれません。
いつか来る日のために少しずつ生活を整え、迎えに行く。
こういった意味ではないでしょうか。