amazarashiの「未来になれなかったあの夜に」を徹底解釈!

青森発のロックバンドamazarashi(アマザラシ)。

未来になれなかったあの夜に」は同名の「amazarashi LIVE TOUR 2019」の為に書き下ろされた曲です。

こちらのライブ映像作品には中野サンプラザ公演の模様が収録。MIDNIGHT SONICでの映像も収められています。

「たられば」「命にふさわしい」「季節は次々死んでいく」「空洞空洞」「ロングホープ・フィリア」など。

全て見どころといっても過言ではありません。

ちなみに完全生産限定盤はジップロックなどの特殊パッケージで、フォトスウェットシャツも付いています。

非常に豪華ですね。

さらにこの曲はデジタルシングルとして先行配信され、横浜流星さんや杉野遥亮さんらが出演するMVも話題。

そんなこの曲の歌詞を掘り下げます。

1番の歌詞を見よう!

誰に向けた言葉?

amazarashi【未来になれなかったあの夜に】歌詞の意味を徹底解釈!この言葉は誰に向けたもの?の画像

「色々あったな」の
色々の一つ一つを
つまびらかにしたくて
ペンを取ったわけですが
もう君の好きにしてよ
僕も大概好きにしてきた
僕の事は忘れて
他に行きたい場所があるんなら

出典: 未来になれなかったあの夜に/作詞:秋田ひろむ 作曲:秋田ひろむ

いつのまにか実際に手で文字を書くよりも、キーボードをタップして入力する機会のほうが多くなっている現代。

そうはいっても習字の筆を持ち出すのは少々改まった雰囲気が漂います。

amazarashiのボーカル兼ギター秋田ひろむさんは新しすぎず古すぎず、ちょうどいい塩梅で言葉を紡ぐ名人。

この曲でも誰かに宛てて言葉を送るため、アナログな方法で手を動かしている様子が伝わってきます。

いや、実際はデジタルな手段で言葉を綴っているかもしれません。

いずれにしても「書く」ことについての表現方法が絶妙という意味です。

そして、なぜ言葉を伝えたいのかというと、些細な日常の出来事として放置されがちな案件を取り上げたいから。

この歌物語の主人公の僕は、どうしても君に伝えたいことがあるようです。

その内容は「別の道を進もう」ということ。

ただし、お互いを束縛しない方向性を選ぶには理由があります。

それが最後の1行です。

離れたがっているのは主人公ではなく、言葉を投げかけている相手だとわかります。

さて、この冒頭の部分で描かれているのは男女の恋愛話なのでしょうか。

あるいは仲間割れかもしれません。

要するに言葉を送る相手が誰なのか、明らかになっていないわけです。

主人公が誰と離れようとしているのかも含め、後々重要なポイントになりますので心に留めておいてください。

今と昔の違い

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名誉ある潔い撤退より
泥にまみれ無様な前進を
尻尾を振る称賛の歌より
革命の最中響く怒号を
あの日の情熱の火はいずこ
悔しさを並べたプレイリスト
そぞろリピート音楽と風景
後悔、浄化する過去の巡礼

出典: 未来になれなかったあの夜に/作詞:秋田ひろむ 作曲:秋田ひろむ

冒頭では男女の別れも想像できる流れになっていました。

ただ、秋田さんがわざわざ言葉を書くことを考えると少々違和感があったはずです。

恋愛に関する問題であれば文書より会話、実際に面と向かって話すほうが伝わりやすくなります。

さらに歌詞の続きを見ると、どう考えてもラブソングではありません。

もっというと家族や友だち、仕事仲間などあらゆる人間関係が当てはまりにくい展開です。

それでも主人公が言葉を伝えようとしている相手が人間なのであれば、唯一考えられるのは自分自身。

「今の自分」が「昔の自分」に向かって言葉を綴っているという解釈です。

さらに主人公は秋田さん自身。

こうして歌詞を書くことによって自問自答しているのではないでしょうか。

昔は「怒り」に端を発するオルタナティブな精神にあふれ、がむしゃらに前を向いていた。

しかし今は「無念」がテーマになっている。だから昔の自分を振り返るという話かもしれません。

サビの歌詞を見よう!

君とは夢のことだった

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まさかお前、生き別れたはずの
青臭い夢か?恐れ知らずの
酒のつまみの思い出話と
成り下がるには眩しすぎたよ

出典: 未来になれなかったあの夜に/作詞:秋田ひろむ 作曲:秋田ひろむ

結局、主人公が語りかけていた相手は人間ではありませんでした。

昔、自分が抱いた夢や理想や希望に向かって言葉を投げかけていたのです。

つまり過去に自ら抱えていた概念を擬人化しているということ。

幼い頃に離れ離れになった家族とばったり遭遇したみたいに驚いています。

それほど近しい間柄だったわけです。

かつて主人公が親近感を覚えていた希望とは具体的に何なのでしょうか。

それはロック魂

昔は自分も反骨精神にあふれていたけれど、今はもう決別する。

ただし、かつて親しんだロック魂はキラキラ輝いていた。そんな話です。

そもそもロックは音楽の系譜として、伝統的なクラシックや大衆性の高いポップスに対抗して生まれました。

メインストリーム(主流)に抗うオルタナティブな魂(スピリット)が土台にあるわけです。

世間に受け入れられないから諦めるより、格好悪い姿を晒しても格闘する。

付和雷同せず、世の中を変えるために叫ぶ。これがロック魂です。

こうした主人公がかつて抱いた野心は過去の話となっているものの、それでも輝いていたことが伝わってきます。

未来になれないとは?

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なじられたなら怒ってもいいよ
一人で泣けば誰にもバレないよ
そんな夜達に
「ほら見たろ?」って
無駄じゃなかったと
抱きしめたいよ
未来になれなかった あの夜に

出典: 未来になれなかったあの夜に/作詞:秋田ひろむ 作曲:秋田ひろむ