美空ひばりの名曲「リンゴ追分」
歌手として、女優として、そして1人の女性として、今なお愛され続ける美空ひばり。
1989年に52歳という若さでこの世を去りました。
現代を生きる者としては短い人生ですが、その中でリリースされた楽曲数は三桁!
再発売を含めれば約340枚にのぼります。
リンゴ追分は美空ひばりの青春期にリリース
今回ご紹介する「リンゴ追分」は、ラジオドラマの挿入歌として1952年に作られました。
美空ひばりは15歳、今でいう中学〜高校生の時期ですから青春真っ只中の頃です。
そんな時代に美空ひばりが歌った「リンゴ追分」は、青春とは無縁の歌詞で構成されています。
「リンゴ追分」はどういった背景で作られた曲なのでしょうか。
美空ひばりとの関係は?歌詞にはどのような物語が込められているのでしょうか。
今も多くのミュージシャンに愛される美空ひばりの関連動画も交えてご紹介します。
「リンゴ追分」は大ヒット曲
今はどの家でもCDを再生できますし、スマホやPCによって「1人1台」音楽プレーヤーを所持している状態です。
しかし「リンゴ追分」リリース当時はまだレコードの時代。
レコードプレーヤーを持っていない家庭もありました。
そんな中でラジオドラマの挿入歌、映画の主題歌に起用された「リンゴ追分」。
戦後間もない昭和27年当時で、70万枚の売り上げを記録したのです。
それまでの記録を塗り替え、最大のヒット曲となりました。
通算売り上げはミリオン到達!
美空ひばりの楽曲の中には、レコード盤でリリースされたものも多く存在します。
しかし、時代を越えて愛される彼女の曲はレコード以外のメディアに移植されてきました。
カセット、CD、デジタル配信と形を変えていったのです。もちろん「リンゴ追分」も例外ではありません。
1952年に初リリース、そして1963年、1991年にも再発売され、通算売り上げは130万枚!
長く愛される楽曲だということが如実に現れています。
多くのアーティストがカバー
「リンゴ追分」は幅広い世代に愛され、多くのアーティストがこの曲をカバーしています。
しかも国内だけではありません、「リンゴ追分」の素晴らしさは海外にも広まっているのです。
日本にもファンが多いジャマイカのスカバンドSkatalitesも、この曲をカバー。
カバー曲としてリリースはしないものの、ライブで取り入れるアーティストもいます。
尺八、ピアノ、ジャズやバンドサウンド、さまざまなアレンジで愛され続けているのです。
「リンゴ追分」が使用されたラジオドラマ「リンゴ園の少女」
「リンゴ追分」はラジオドラマ「リンゴ園の少女」の物語を背景としています。
楽曲の世界観を理解するため、ラジオドラマの内容に少し触れておきましょう。
「リンゴ園の少女」とは
津軽の少女を主人公としたラジオドラマです。
祖父のリンゴ園経営を手伝うマルミはずば抜けた歌唱力の持ち主。
祖父は歌を好まないため、マルミは亡くなった母の墓前で歌を披露していました。
その才能に驚いた近所の女性が、有名作曲家・野村にマルミを紹介し、野村はマルミの能力に驚嘆します。
しかし野村はある事実に行き当たったのです。それは、マルミの母が若かりし頃の自分の恋人だということ。
そしてマルミが、母と野村の間にできた子どもだということも。
祖父は野村を受け入れず、マルミは野村に会うことが許されなくなりました。
その後、祖父が品評会に出すはずだった一級品のリンゴが盗難の被害に。
消沈した祖父を見て歌うことをやめたマルミ。しかしマルミの才能の一番の理解者は祖父だったのです。
祖父は、野村の元で歌を歌うようにとマルミの背中を押しました。