アルバム「present from you」の隠れた名曲
「プレゼント」は2008年に収録されたカップリング集「present from you」に収録されています。
「present from you」はカップリング集ですが、「プレゼント」はこのアルバムが初出となります。
BUMP OF CHICKEN初期に作られながら、カップリングにも、アルバム曲にもなることがなかった「プレゼント」。
実はメジャー2枚目のアルバム「THE LIVING DEAD」にその一部が収録されています。
「THE LIVING DEAD」の中では「Openig」「Ending」という分かれた2曲になっています。
その2曲が「present from you」の中で一つの完成された曲として収録されました。
長い間日の目をみることがなかった「プレゼント」はBUMP OF CHICKENの隠れた名曲です。
それでは早速その歌詞をご紹介していきます。
涙の落ちる音
「君」の涙の落ちる音
お訪ねします この辺りでついさっき
涙の落ちる音が聴こえた気がして
駆け付けたんだけど誰の涙かな
そういや君はずいぶん赤い目をしてるね
出典: プレゼント/作詞:藤原基央 作曲:藤原基央
どこかで涙の落ちる音がしました。
涙の落ちる声が聴こえたような気がした誰かが駆けつけ、問いかけます。
「誰の涙かな?」
その人が話しかけた「君」は「ずいぶん赤い目」をしていました。
そう、その人が耳にした涙の落ちる音は、「君」の流す涙の音でした。
もしかすると、その人は泣いているのは「君」だと最初から気付いていたのかもしれません。
でも、知らない人から「なんで泣いているの?」と聞かれたら「君」がこわがってしまう。
ただでさえ悲しそうに泣いている「君」をさらに追い詰めたくない。
そう思ったその人はあくまでさりげなく「誰の涙かな?」と尋ねたのです。
プレゼントされたのは「物語」
ええと、うん
そうだ いくつかの物語をプレゼントしてあげる
ちゃんと読んでおく事 いいね
それじゃ また後で
出典: プレゼント/作詞:藤原基央 作曲:藤原基央
涙を流す「君」にその人は「物語」をプレゼントします。
そして「ちゃんと読んでおく事」と念を押してその場を去ります。
「それじゃ、また後で」。
そう言い残してその人が去ったあと、「君」は何が起こったのかあっけにとられているでしょう。
突然出会った知らない人からプレゼントされた物語。
それはおそらく本や絵本です。
次に会うまでにそれを読んでおく事と言われたものの、戸惑いを隠せません。
もしかしたら、あまりに突然のことに驚き、涙は乾いているかもしれません。
プレゼントされた物語
この曲に限らず歌詞には様々な解釈があると思います。
私はこの部分、そしてこれに続く部分がプレゼントされた物語の内容ではないかと思いました。
そしてこの物語はプレゼントをした人自身の物語ではないかと。
曲が進むにつれ、この物語は「君」の物語ともリンクしていきます。
今回は解釈の一つの方向としてまずはこの部分をプレゼントされた物語として考察したいと思います。
絶望に心を閉ざす時
世界に誰もいない 気がした夜があって
自分がいない 気分に浸った朝があって
目は閉じてる方が楽 夢だけ見ればいい
口も閉じれば呆れる 嘘は聞かずに済む
出典: プレゼント/作詞:藤原基央 作曲:藤原基央
「世界に誰もいない気がした夜」。
「自分がいない気分に浸った朝」。
絶望感に溢れた朝や夜を越えてきたのでしょう。
世界に誰もいない、自分もいない世界とはどれほど孤独なものなのか想像を絶します。
目は閉じたまま夢だけ見ればいい。
口を閉じればくだらない嘘も聞かずに済む。
この物語の主人公はこれまでの道のりの途中様々な経験をしたのでしょう。
思わず目を背けたくなる光景を目にし、耳を塞ぎたくなるような嘘を耳にしてきました。
そういったものから身を守る術が目を閉じ口を閉じることだったのです。
世界から目を背け耳を塞ぎ、世界を拒むことでなんとか自分を保ってきました。