非現実的世界で、日常とかけ離れた宇宙という空間。
“左も右も、初恋とはちょっと違う”と、“〜ない”が連発ですが、言葉以上に溢れ出る感情から、とにかく“イイ感じ”としか表現しようがないのでしょう。
その漠然としていて、曖昧な表現に、より興味を掻き立てられます。
更に続く“空気が読めない、いや、そこには空気がなかった”という、独特なのに素朴な言い回しは奥田民生ならではです。
歌詞その2
月は銀河に浮かぶ小島 白くかがやく船で行く
月の砂漠で君とダンス ウサギに負けず高く跳ぶのさ
出典: Feel So Moon/作詞:奥田民生 作曲:阿部義晴
歌詞を勝手に解釈その2
楽曲のタイトルにも含まれている“Moon=月”がここで登場します。
月が小島であったり、ロケットは白くかがやく船であったり、跳びはねるウサギ(コミック内でもウサギが登場)など、自分が幼い頃に抱いていた月への印象が蘇りました。
と、同時に『宇宙兄弟』の主人公である南波兄弟の幼い頃と変わらぬ月への思いと、その夢へと向かう旅の途中なのだろうと感じざるを得ません。
Aメロ、Bメロの歌詞でも、表現しきれない感情に幼さを感じられましたが、前半部分では幼少期の南波兄弟が描かれているのかもしれません。
歌詞その3
宇宙の七不思議は聞いている
なんでも七つにまとめてんじゃない
知りたいことだらけ 謎だらけ Feel So Moon
出典: Feel So Moon/作詞:奥田民生 作曲:阿部義晴
歌詞を勝手に解釈その3
後半に入ると、現実的に月と向き合っている様子も見受けられます。
実際に目の当たりにした結果、七不思議は“七つどころではなかった”のでしょう。
“知らないことだらけ→知りたいことだらけ”というこの箇所から、月に対しての探求心が探究心へと変化した様子が窺えます。
歌詞その4
月は銀河をつなぐ港 科学を乗せた船で行く
月の木陰でギターを弾いて 君に届けと歌を歌うのさ
叫ぶのさ 跳ぶのさ 飛ぶのさ
出典: Feel So Moon/作詞:奥田民生 作曲:阿部義晴
歌詞を勝手に解釈その4
前半のサビでは、幼少の頃の南波兄弟を思い浮かべる内容でしたが、大人になり、再び夢へと歩き出した南波兄弟が垣間見られます。
宇宙への第一歩は月という感覚から、銀河をつなぐ港なのでしょう。
楽曲を締めくくるこのサビで主人公は、科学を乗せた船にのっています。
『宇宙飛行士になる』という夢を実現させたのは明らか。
憧れだった月でウサギのように跳ぶのです。
白くかがやく、科学を乗せた船で飛ぶのです。
楽曲とPV、どちらも主役である
なぜ惹かれてしまう?
この楽曲を耳にする人の中には、『宇宙兄弟』を知らない人も存在するのは明確でしょう。
宇宙や月に対して専門的過ぎたり、『宇宙兄弟』に偏り過ぎてしまうと、作品を知らない人は蚊帳の外となってしまい、楽曲がすんなり入ってくることは難しいかもしれません。
しかし、宇宙を知らない私たちが月を連想することのできるシンプルな言葉選びだからこそ、自然とその光景を思い浮かべることができます。
そしてPVを観ることによって、『宇宙兄弟』が楽曲を構成する一員として、ユニコーンが『宇宙兄弟』の一員として、この作品が成り立っているという感覚に陥るのです。