「きみ」も「ぼくら」も同じだということ
ひとりじゃないさ not alone きみは
ひとりじゃないさ not alone ぼくらは
手を握ろう 幸せになろうよ not alone
出典: not alone ~幸せになろうよ~/作詞:権八成裕 作曲:菅野よう子
本作の「サビ」にあたる部分です。
ここで楽曲のタイトルにもなっている言葉が明確に語られます。
震災発生当時、テレビではSMAPメンバーによる「あなたは一人じゃない」というメッセージが放映されていました。
こちらの歌詞はそれにも通じるような、優しくかつ力強いものだと感じます。
またここで注目できるのは「ぼくらは」という言葉。
落ち込む「きみ」を励ます中で、「ぼくら」もそうだとこの主人公は伝えています。
それは、「ぼく」も「きみ」とそう大して変わらなくて、辛いことがあったら同じような悲しみを抱えるということ。
「きみ」のつらい心境は「ぼく」にも痛いほどわかる、ということを伝えているのではないかと捉えることが出来ました。
寄り添うい合うのが「人間」
他人が出遇って ぼくたちは生まれた
だれかを信じる 遺伝子でできてる
世界でいちばんの 悲しみは孤独
空はひとつさ 両手ひろげよう
出典: not alone ~幸せになろうよ~/作詞:権八成裕 作曲:菅野よう子
人と人が出逢い、また人が生れます。
相手の事を思いやり、その人に寄り添うことで私たちはここまで歴史を繋いできました。
この「遺伝子」の描写は「自分以外の人を思う事は人間として自然な行為である」ということを説いています。
それはすなわち「わたしがあなたに手を差し伸べるのは当然であり、逆もまたそうである」ということ。
「世界でいちばんの~」以降の言葉は一人きりで大変な思いをしている人の悲しみを和らげるものです。
まずは「自分は一人ではない」と思うことこそが苦労を乗り越えるための第一歩なのかもしれません。
相手を思うことで見つけた新たな自分
きみを 想いを ぼくがひとりにさせない
痛み よろこび やさしくなりたい
こころに芽生えた ぬくもり抱きしめて
not alone not alone
出典: not alone ~幸せになろうよ~/作詞:権八成裕 作曲:菅野よう子
ここが楽曲のエンディングにあたる部分です。
「こころに~」のところを担当するのは香取さん。
楽曲の最初と最後のボーカルを受け持つ、という演出に心を掴まれます。
こちらの歌詞では「新たな感情に気付いた主人公」に焦点があてられています。
「芽生えた」と語られているように、相手を思うことによってそれまで知らなかった「ぬくもり」を感じることができた彼。
人に寄り添い、いろいろな思いを共有することが自分の心をも豊かにするのです。
本作の主役は「きみ」であり、もう一人の主役は「またひとつ成長できた自分自身」。
「相手を励まし、そして自分自身もまた新たな一歩を踏み出すことができる」という、そんな作品に仕上げられています。
アルバム「SMAP AID」
復興支援を目的としたアルバム
本作のリリース後、2011年の8月にアルバム「SMAP AID」がリリースされました。
「AID」とは直訳すると「助ける」または「支援」など。
こちらは明確に震災を支援するものとして企画され、「not alone ~幸せになろうよ~」も収録されました。
アルバムの売り上げの一部は震災の復興支援に充てられています。
勇気を与えるベストアルバム
アルバム制作にあたり掲げられたのは「聴いてくれる人に勇気を与える」というようなテーマ。
収録される曲は投票によって決められ、内容はベストアルバムに近い構成となりました。
リリースされたアルバムを確認してみると、やはりリスナーを元気づけるような楽曲が多いように感じます。
1995年に発生した阪神・淡路大震災と関係の深いシングル曲「がんばりましょう」。
そして、みんなを笑顔にする「オリジナルスマイル」など、聴いている私たちを前向きな気持ちにさせてくれます。
また、シングル曲「ありがとう」「This is love」は本作にて初めてのアルバム収録となりました。
「世界に一つだけの花」のシングルバージョンもこちらで聴くことができます。
最後に
SMAPのシングル曲「not alone ~幸せになろうよ~」について、ご紹介しました。
相手を思い「ひとりじゃない」と伝える主人公。
そこには、さらに深いメッセージが隠されていると読み解くことができました。
アルバム「SMAP AID」、そして当時のメディア出演など。
震災に向き合うSMAPの姿を前提に置くと、本作の魅力をまた違った形で味わうことができるはずです。
また、下記の記事ではSMAPのシングルとアルバムをランキング形式でご紹介しています。
SMAPのCD!好きな曲は何?人気シングル&アルバムランキングはこちら! - 音楽メディアOTOKAKE(オトカケ)
SMAPのCD『SMAP 25 YEARS』が2017年度上半期1位に輝いた今年、皆が今好きなSMAP曲は何か気になりませんか?ベスト盤以外に一番人気のオリジナルアルバムと一緒に、最新データからランキングをまとめました。一緒に歌える歌詞つき!