(※)記憶の断片を
真実より美しく補正して
そんなこともあったと
いつの日か語りたい
残酷なくらい
ありのままの現実を見せようか?
(悲しくなる)
僕たちの別れと
答え合わせをした未来

出典: 東京タワーはどこから見える?/作詞:秋元康 作曲:本田光史郎

現実の2人の別れ方は、あまり美しいものとはいえませんでした。

最後はダラダラと一緒にいて、愛のない付き合いをしていましたからね。

しかし、主人公は別れた後も恋人に未練を感じています。

だから、2人の別れ方も含め、全てを美化するようになっていったのです。

綺麗な付き合い方をして、最後も綺麗なお別れをした。

そういうことにしておきたかったのでしょう。

そうやって思い込めば、別れたことに対する罪悪感も少しは消えますしね。

補正された思い出の世界に浸っている主人公は、現実を直視する勇気がまだでません。

しかし、どんなに美化された思い出の世界に浸っても現実を変えることはできないのです。

現在も、そして未来も、残酷で悲しい別れ方をしたという事実は残り続けます。

2番~ラストの歌詞

商店街の道からも東京タワーは見えなかった…

正面の空に 確か東京タワー
僕らと並んで立っていた気がした
別のロケーションと勘違いしたのか
帰りの商店街の道
(僕の思い込み)

出典: 東京タワーはどこから見える?/作詞:秋元康 作曲:本田光史郎

「商店街の道」を歩く主人公。

この「商店街の道」もきっと主人公にとって、恋人との思い出の場所なのでしょう。

主人公の中では「この商店街から東京タワーが見える」と記憶していました。

しかし、これも主人公の思い込みだったのです。

思い出を美化しすぎて、東京タワーが一体どこから見えていたのか分からなくなっています。

自分の記憶が真相とは限りません。

ただの思い込みという可能性だってあるのです。

それはきっと恋愛においても同じなのではないでしょうか。

自分の中では順調のように思えたとしても、恋人はそう思っていないかもしれません。

この主人公は現実の2人の関係を美化しすぎて、愛があったのかさえ曖昧になっています。

なんだかとても悲しい状態ですね。

誰のせいでもないと自分に言い聞かせる主人公

誰も悪くはないと
言いたくて (ただの運命)
ここからは見えなかった
愛が今 浮かんだ
幻みたいに

出典: 東京タワーはどこから見える?/作詞:秋元康 作曲:本田光史郎

主人公の中では「別れたのは誰のせいでもない」ということになっています。

2人が別れてしまったのは、運命のせいということにしているのです。

とても都合のよい物語に書き換えて補正していることが分かりますね。

しかし、実際のところどうだったのかは不明です。

もしかしたら、主人公が別れる原因を作った可能性だってあります。

その原因から目を背けるために、こんなに一生懸命思い出補正をしているのかも!?

そんな捉え方をすることもできますね。

でも、嫌だった出来事から逃避するために言い訳したり、美化したりすることは人間よくあることです。

そう考えると、この歌詞の主人公は良い意味で"人間臭さ"があって、なんだか好感を持てる気がします。

愚かな結末と分かってはいるけど…

確かにこの腕
抱きしめてた君だけは嘘じゃない
振り返れば美化され
飾られた昔でも…
自分で何度も
書き直した思い出が切なくて…
(いつの間にか)
偽りはどこかが
わからなくなってしまった

愚かな結末

(※ くりかえし)

出典: 東京タワーはどこから見える?/作詞:秋元康 作曲:本田光史郎

たくさんの思い出補正を重ねた主人公。

しかし、どんなに補正がかかっていたとしても、過去に恋人と一緒にいたことは事実です。

そして、遠い昔は愛し合っていたこともきっと事実なのでしょう。

「この腕 抱きしめてた君だけは嘘じゃない」といっていますからね。

でも、主人公はそれ以外の出来事については曖昧な記憶しか持っていません。

ダラダラと付き合って最後は綺麗ではない別れ方をし、そして今は美化された思い出に浸る日々。

「愚かな結末」と自覚してはいるものの、美化された思い出が心地よくて抜け出せないのでしょう。

おわりに

【東京タワーはどこから見える?(欅坂46)】歌詞を徹底解説!残酷で切ない思い出補正…直視できる?の画像

美化された心地よい思い出の中に浸るという行為。

多かれ少なかれ、誰でも身に覚えがあるのではないでしょうか。

この歌詞を読んでいると、不思議と共感を覚えるような感覚さえします。

それにしても、とっても切ない歌詞でしたね!

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