RADWIMPSの「One man live」とは?
「One man live」は、2009年3月11日に発売されたRADWIMPSの5作目のアルバム「アルトコロニーの定理」に収録された曲です。
人気の楽曲ですが、曲名となっている"ワンマンライブ"とは、一体何を意味しているのでしょうか...?
早速歌詞を解釈し、その意味と、この曲の魅力に迫っていきましょう。
RADWIMPSの「One man live」の歌詞を解釈!
痛みにはさらなる痛みを...そして、傷ついていく
いつの間にか僕らの頭は賢くなっていて
痛みを超えるのには より大きな痛みをと
蚊に刺されたときにはそこを思いっきりつねるんだ
吹き出物が痛いのなら 潰してしまえばいいんだ
だから ただ ただ傷つけてみるけど
出典: One man live/作詞:野田洋次郎 作曲:野田洋次郎
人は生きていく中で幾度となく悲しみ、傷ついていく。
しかし、人間とは学習するもので傷つけられすぎると、さらに自分を傷つけることでその悲しみを越えようとするようになる。
そんな人々の姿を蚊や吹き出物に例えて描写している歌い出しですね。
「僕」もそのやり方に従って、自分のことをただ傷つけて...!?
「ただ」という言葉の繰り返しが何度も自分を傷つけている様子を窺わせますね。
自傷となかなか受け入れがたい行為に走ってしまう「僕」ですが、どうなってしまうのでしょう。
続きの歌詞を見ていきましょう。
痛みを重ねてもその痛みの深さに気づくだけ...じゃあ、どうしたらいい?
そうは言われましてもこれを超えるような痛みなど
どこをどう探してもね なぜか見つからないんだよ
それどころか かえってこの痛みの深さに気づいたよ
今までの悲しさなど 楽しく思えてしまうほど
誰か ただ ただ気づいてと振り絞るけど
出典: One man live/作詞:野田洋次郎 作曲:野田洋次郎
痛みを超える痛みを求めてショック療法のような方法に従って自分の悲しみをごまかそうとした「僕」。
しかし、体を傷つけても、自分の心の傷以上の痛みはみつからなかったのでした。
そのことによって、より自分が今抱えている心の痛みの深さに気が付いてしまった「僕」の症状はますます悪化しているようですね。
今まで生きて来た中で感じた悲しみなど全て楽しかったと思えるくらいの辛さなのに、誰にも気づいてもらえない。
そう何度も振り絞る声は誰かに届くのでしょうか。
同じ力でぶつかっても感じる痛みの大きさが違うように一人一人の悲しみの大きさは違う。
それなのに、とかく私たちは自分の物差しで人を計ってしまいがちです。
そんな盲点をついて、誰かの痛みを代弁するような歌詞に野田さんの凄さが表れていますね。
ただ、自分の心から叫べばいい
今に泣き出しそうなその声が 世界にかき消されてしまったら
僕がマイクを持って向かうから 君はそこにいてくれていいんだよ
君の胸にそれを押し当ててボリュームを最大にまであげて
ハウったってそんなの構わない その音が今 君の声になる
出典: One man live/作詞:野田洋次郎 作曲:野田洋次郎
誰かに助けを求める泣き出しそうな声が世界にかき消されてしまったら、その声をもう一度世界に届けるために「僕」がマイクを持っていくという歌詞。
それは、自分もかつてそうだったように、この曲が今助けを求めている誰かである「君」へと贈る歌だということですね。
そして、「君」はそこにいてくれるだけでいい「君」の胸にマイクを押し当てて「ボリュームを最大にまであげて」しまおうと言っています。
マイクのボリュームを上げすぎるとハウリングを起こすこともありますよね。
ハウリングを起こしてしまうと、例えば言葉や歌も"キーン"となってしまって、聞き取れなくなってしまいますね。
しかし、それでも最大音量で「君」の心の音を伝えようと言っているのは、聞いている人にとっては意味がわからなくてもいいということなのでしょう。
胸に当てて聴こえた音はきっと命の音であり、悲しみに震える今を象徴する心の音、「君」が人生をかけて鳴らす音。
自分にとって伝えたい想いなら、思いっきり伝えたらいいのです。
前の歌詞について、誰かの悲しみを代弁するような歌詞と解釈しましたが、まさに、「君」の声を歌にして届けようとする姿が描かれたサビですね。
これは野田洋次郎さん自身の願いでもあるのかもしれません。
大切な痛みの意味に気づいて
君の早くなってく鼓動がテンポをつくっていく
こうなれば悲しさなども 全て味方につけて
でもところがなんでか 悲しみは後ろ振り返れば
すでに拳を振り上げては声をからしていたんだよ
もしも折れかけたその足に痛みを感じなければ
君は何も知らず 歩き続けるだろう
傷ついたことに気づいてと願う その痛み達は
君を守るためにそこに行ったんだよ
ならば もう もう怖いものはないんだと
出典: One man live/作詞:野田洋次郎 作曲:野田洋次郎