多感だった幼少期

結婚と決闘を間違えていた?

母親はふと思いあたった
もしかしておまえ決闘と言いたいの
小さな男の子はまちがいに気がついて気をとり直して
そうだよと胸をそらした

出典: 結婚/作詞:中島みゆき 作曲:中島みゆき

若いお母さんは自分の子供に言い聞かせます。

言葉を間違えているだけだろう、と。

そう諭された男の子は間違いを素直に認めます

お母さんの前では反抗するなんてこと、絶対にやらない。

それが男の子のポリシーだったからです。

しかし、本当に結婚と決闘を間違えていたのでしょうか?

このあたりがこの歌詞を紐解くカギになりそうですね。

多感だったみゆきさんの心がみえた一瞬

若いお母さんは心配して間違いを指摘しました。

自分の子供が今からそんなことを言うなんて、この先が思いやられる。

早めにそんな思いはなくしてしまわないと。

それは普通のお母さんが思う、ごく自然な子供への愛情のはずです。

しかし、仮に男の子がみゆきさんの事だったとしたら。

多感な少女時代を過ごしたみゆきさんにとって結婚の価値観を理解するのはたやすかったのでしょう。

そして自分にとって最も居心地のいい相手を見つけたのかも分かりません。

それを「決闘」という言葉に置き換えて諦めさせられます。

頭の回転の早い当時のみゆきさんにとって、わざと結婚を決闘と間違えておいたのです。

そうしておけば大好きなお母さんを困らせずに済むから。

しかし、この当時の体験がトラウマになってみゆきさん自身の結婚観に影響したのかも分かりません。

ただ、歌詞からはものわかりのいい男の子の反応がみえるだけです。

男の子の反応はみゆきさん自身の気持ちの代弁として今も生きているのでしょう。

若い母親が話しやめてしまった理由とは

若い母親はみゆきさんのお母さん?

翌日若い母親がオフィスでその話を披露した
若くない男の社員が呟いた
同じ場合もあると
結婚と決闘
結婚と決闘
まだ若い母親は話しやめてしまった

出典: 結婚/作詞:中島みゆき 作曲:中島みゆき

歌詞は最後のフレーズに入ります。

昨日、起こった出来事を若いお母さんは職場の同僚に話をしました。

すると年配の男性の同僚が気になることを言ってきたのです。

つまり結婚生活は戦いだと。

それを聞かされた若いお母さんは話をすっかりやめてしまうのです。

まるで何か思い当たる節があるかのように。

この最後の歌詞でこの曲の全体像がつかめる感じですね。

やはり男の子はみゆきさん。若いお母さんはみゆきさんの母親なのでしょう。

そして同僚として登場した男性は、みゆきさんのお父さんかも分かりません。

全てはみゆきさんの思い出話から展開された物語なのです。

結婚に絶望感を抱いてしまった

歌詞に登場した若いお母さんは、同僚の発言で話をやめてしまいました。

それはみゆきさんの家庭が古き時代の亭主関白の家だったからかも分かりません。

当時の父親像は、厳粛で戒律に厳しく時に手を上げることもある。

つまり、妻は夫に対して口答えは一切ならない、絶対服従という思想だったのです。

幼かったみゆきさんは母親のそういった態度をみて、幼心に結婚というものを悲観したのかもしれません。

だから主人公である若いお母さんは話をやめてしまったのでしょう。

それだったら同じ同姓同士なら仲良くできるのでははないのか?

みゆきさんは幼心にそう思ったのでしょう。

果たして結婚とは、戦いなのか?

歌詞からはこれ以上の推測はできません。

ただ、結婚に対して明るいイメージを持てなくなった要因になってしまったのかも分かりませんね。

結婚とは?

「結婚」はまだ幼かった中島みゆき自身の回顧録として歌詞を読み解けばすんなりと入ってゆけます。

みゆきさんは幼心に、夫に対して苦労する妻という座の存在意義に疑問を呈していたのでしょう。

だから結婚という社会通念に肯定的な気持ちになれなかったのかも分かりません。

本来、結婚とは夫と妻が手を握り合って人生を切り開いてゆくもの

そこには絶え間ない笑顔と幸せで暖かい家庭が築けているはずです。

しかし全てのカップルがそのような結婚生活を送れる保証はありません。

結婚を幸せの代償と取るか。それとも戦いの場と取るか。

自身の母親を通してみゆきさんは後者の選択をしてしまったのかも分かりませんね。

もし、中島みゆきさんが本当の結婚をしていたら、この「結婚」という楽曲はまた違ったメロディで発表されたでしょう。

最後に

今回は中島みゆきさんの「結婚」という楽曲を取り上げて歌詞の解説を行いました。

この曲は「短篇集」というアルバムにひっそりと収録されています。

本来ならもっと告知すれば話題性のある隠れたヒット曲になっていたかも分かりません。

しかし、みゆきさんにとったらこれでいいのでしょう。

この曲をアルバムに収録する踏ん切りがついただけでも大進歩でしょう。

この曲を聴いた方々が、それぞれの思いを込めればいいだけですね。

人生の機微を歌いあげたら超天才の中島みゆきさんの楽曲、まだまだ他にもありますよ。