理想の意味

あれ、なに、わからないよ
それ、なに、甘い理想に
落ちる

出典: 不可幸力/作詞:Vaundy 作曲:Vaundy

その「あれ」が何を指しているのか、彼自身にも分かっていないようです。

2行目の言葉から分かるのは自分にとっての「理想」に関係しているということ。

ここでは恐らく「理想」に振り回されながら心身が疲弊していく様子を描いているのではないでしょうか。

なりたい自分になれないということは私たちの心を不安にさせます。

自分の未来はもしかしたら明るくないかもしれない。

思い通りにいかないのではないかといった不安を払拭するため、「理想」ばかりを追い求める。

しかしそれによって、今の自分を否定して心は傷ついていくのです。

残酷な世界

世界の仕組み

welcome to the dirty night
みんな心の中までイカレちまっている
welcome to the dirty night
そんな世界にみんなで寄り添いあっている
welcome to the dirty night
みんな心の中から弱って朽ちていく
welcome to the dirty night
そんな世界だから皆慰めあっている

出典: 不可幸力/作詞:Vaundy 作曲:Vaundy

ダークなメロディに乗せて歌われる英詞。

この部分を和訳すると「ようこそ、汚れた夜へ」という意味となります。

汚れた夜というのは治安の悪い裏路地のような底知れぬ怖さが感じられる言葉です。

そして2行目の「イカレる」という表現からは人間の狂気を感じます。

しかし不安が増大していくと人間は狂気に陥ってしまうのかもしれません。

だからこそ、そうならないために寄り添いあう人々。

しかしそれは相互に依存しているような状態ともいえます。

健康的とはいえず、お互いを支え合っているようで実はお互いを傷つけ合っているのではないでしょうか。

そうすると6行目で書かれているように少しずつ人々は弱っていきます。

この世界の残酷な仕組みを主人公は解き明かそうとしているのでしょうか。

依存し合いながら、そんな自分たちを慰め合っている。

それがこの世界に生きる人々の生きるための術なのだといいたいのでしょう。

追い詰められる心

あれ、なに、わからないよ
それ、なに、辛い日々に
沈む

出典: 不可幸力/作詞:Vaundy 作曲:Vaundy

毎日が辛く、日常が自分の心を追い詰めていくのを感じているのでしょう。

そんな日々の中で段々と落ち込んでいく自分の気持ち。

誰もがそんな日々の中でお互いをどうにか救い合い生きている。

そこにあるのは一体どのような理由なのでしょうか。

その理由に対しての明確な答えは次以降の歌詞パートで判明していきます。

救い合う理由

「愛」を求める理由

Vaundy【不可幸力】歌詞の意味を徹底解釈!なぜみんな同じ理由を持つ?世界を美しいと歌う真意はの画像

愛で
揺れる世界の中で僕達は
キスをしあって生きている
揺れる世界の中を僕達は
手を取り合っている

出典: 不可幸力/作詞:Vaundy 作曲:Vaundy

前述した歌詞パートまではどこか世界を皮肉っぽく捉えていた彼。

しかしここでは世界に溢れる「愛」に言及しています。

この愛こそがこの世界において皆が様々なものを求める理由なのだというのでしょう。

前述したパートまでは愛というものがもたらすネガティヴな面を描いていたのではないでしょうか。

つまり私たちが普段抱えている劣等感や不安や底知れぬ欲望などの気持ちのことです。

負の側面ともいえますが、それは愛によって生じるある種の副作用だと言えるでしょう。

この歌詞パートでは本来の愛がもたらす効用について話しているのではないでしょうか。

つまり、世界の不安定さの中で私たちは弱りながらもどうにか生き延びている理由。

どうにか私たちがこの世界に留まり続けているのは他者との関係によって救われているから。

そこにいつもある感情が愛です。

大切な人と手をつなぐことやキスをすることで気持ちを通じ合わせ、お互いを救い合える。

私たちは愛に振り回されながらもいつも救われているのです。

美しい世界

なぁ、なんて美しい世界だ
僕ら何度裏切りあっていても
まぁ、なんとか手を取り合うんだ
まるで恋愛映画のラストシーンのような

「愛で」

出典: 不可幸力/作詞:Vaundy 作曲:Vaundy

今まで世界を嘆いた主人公がここでは世界の美しさを歌っています。

彼が世界を美しいと歌うのは何故でしょうか。

このパートの2〜3行目にその心境が語られています。

私たちは生きていく中で様々な要因によって大切な人と仲違いしてしまうこともあるでしょう。

しかしそれでもいざとなれば、お互いに協力し合う。

憎み合うのではなくお互いを赦し合いながら不安定な世界を生き抜いていこうとするでしょう。

そこには必ず愛が存在し、私たちはその得体の知れない感情に救われています。

主人公が伝えたいのは世界には厳しさや醜さばかりではなく、優しさや救いも存在しているということ。

そして最終的にそれは私たちの心に光となって降り注ぎ、影を取り除いでくれます。

どれだけネガティヴな感情でも愛さえあれば必ず大丈夫になれる。

そんな無敵ともいえる愛が存在しているこの世界は美しい

彼はそういいたいのではないでしょうか。