一生懸命であるということ

東京スカパラダイスオーケストラ【風のプロフィール feat.習志野高校吹奏楽部】歌詞の意味を解釈!の画像

悩んでたときは
目も合わなかったね
走ってた 僕ら
前を向いていただけさ

出典: 風のプロフィール feat.習志野高校吹奏楽部/作詞:谷中敦 作曲:NARGO

私たちは何かに悩んでいるときこそ視野が狭くなってしまいます

本当はこうしたときこそ広い視野で大切なことを隅から隅まで見つけてゆくことが大切なのにです。

誰と一緒にいるのかさえ分からなくなっていますからお互いの存在を認知していません。

それでも悩んでいることこそ懸命に生きていることの証でもあります。

一生懸命生きている訳ですから自分のことだけで精一杯かもしれません。

目の前に積まれた課題が膨大すぎてどこから手を付けようと悩んでいるときなども視野は狭くなります。

今回、スカパラと夢の共演を果たした習志野高校吹奏楽部の部員たちがまさにそうした存在でしょう。

課題曲をクリアするために精一杯練習するのですが自分のパートで手一杯な人もいるはず。

吹奏楽は周りの楽器の音にきちんと耳を傾ける必要があります。

その理屈は分かっていても自分のパートに没入してしまう

学園生活や職場でもこうした傾向は敷衍できるでしょう。

精一杯だしまだ若いのですからそれが普通のことかもしれません。

アンサンブルを意識しよう

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スカパラのように手練れた演奏家集団はこうした時期を乗り越えています。

アンサンブルにとって大事なことは何か、その精髄を知り尽くしたプロフェッショナルです。

そのスカパラがでも若かったし一生懸命だったから僕も同じだったよと歌ってくれます。

底抜けに優しいスカパラの真摯さに心を打たれるのです。

私たちはアンサンブルというものにもっと気を使ってもいいかもしれません。

個人個人が好きに音楽を鳴らすのも自由でしょう。

しかしときにアンサンブルという概念で難しい局面を乗り越えてゆかないといけないときもあります。

たとえば地球的な課題になっている温暖化対策などはどうでしょうか。

パリ協定に則って世界中が歩調を合わせなければいけません。

しかし超大国こそアンサンブルという概念がなくノイズを鳴らします

異論というものは確かに大事でノイズも必要なときがあるでしょう。

しかし世界中の科学者が一致して温暖化に警鐘を鳴らしているときにアンサンブルを乱す。

こうしたエゴイスティックな態度を超大国が選択するとハーモニーは破綻します。

一生懸命な姿であってもエゴイスティックな頑張り方はいいものではありません。

視野を広く持つためのレッスンになる言葉を「風のプロフィール」のそこかしこに読み込めます。

国境を超えてゆく

吹奏楽と風との親和性

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この音は風だ
時代も越えて
世界中を吹き抜ける
共鳴しながら
笑顔を運ぶ
神さまはきっと
人の心の中

出典: 風のプロフィール feat.習志野高校吹奏楽部/作詞:谷中敦 作曲:NARGO

吹奏楽ほど音楽が風であることを意識させられるものはないかもしれません。

息を吹き込むことで鳴り響く楽器が主体なのですから風との親和性をより感じるでしょう。

ただ、音というものは空気の振動のような形で人々に届きます。

魂を宿したものでも風のように物理的な現象であるのが音楽の正体です。

メディアに記録すれば時代を超えて遺ることも可能でしょう。

記録されなくても記憶されれば口伝てで音楽は後世に遺ります。

私たちは膨大な音楽の遺産を知っているのです。

そして今生まれたばかりの音楽も後世に遺ることも知っているでしょう。

「風のプロフィール」はスカパラの30周年記念という意味だけではなく後世に遺したいです。

いつの時代のリスナーの心も震わせられるはずでしょう。

「風のプロフィール」の歌詞はシンプルです。

演奏・伴奏のカタルシスの方が生命かもしれません。

吹奏楽は翻訳を必要としないでしょう。

容易に国境を超えて響き渡るのです。

世界に響かせるために音楽を鳴らすんだというのはあらゆる音楽家の野望であり夢でしょう。

「天使たちのシーン」との相似性

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私たちは他人の意見に耳を傾けるように音楽を聴くことがあります。

表現者がいても受け手がいないと音楽は成り立ちません。

楽器は何もできないと思っているリスナーも音楽に貢献しているのです。

音楽というものは聴覚を揺らす現象ですが魂や心にダイレクトに届く印象があります。

私たちの鼓膜でさえ楽器の一部なのかもしれません。

そしてその内容に共鳴する魂や心だって音楽にとって大事な共振をするものです。

聴いていて幸せな気分になったり気分があがるというのはちょっとした奇跡でしょう。

スカパラは音楽の受け渡しの際にも心のうちにある神様の存在に光を当てます

宗教的な神様とは違ってこの存在は普段から光を当てられて敬われてはいません。

信仰の対象ではない神様なのです。

私たちよりも少し賢いくらいの存在であり個人の心のうちにしかいません。

偶像化されることもなくときには意識さえされないのです。

それでもこの神様が私たちに奇跡を呼び込んでくれます

他者との共鳴である音楽というものを私たちに教えてくれるのです。

小沢健二が真夜中にスティーリー・ダンを聴きながら信じた神様のようなもの。

小沢健二名曲「天使たちのシーン」とスカパラの運命はとても大事なものです。

両者の盟友関係の中でこの神様という概念の正体に近付ける気がします。

最後に 「風のプロフィール」と未来

隠れたアンサンブルの姿

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風のプロフィール
今日も誰かが
名もなき風を吹かせる
淀みなく流れる
川のように 優しさで
合流しよう
時を越え 響かせる
勇気がある
君のこと ぼくが 信じよう

出典: 風のプロフィール feat.習志野高校吹奏楽部/作詞:谷中敦 作曲:NARGO

いよいよクライマックスです。

最後に至ってタイトルを回収します。

風にはそれぞれの人の履歴のようなものが反映していると歌うのです。

ただ記名はされていません。

どこかの誰かが吹かせたという事実だけがあるのです。

私たちはその「風のプロフィール」を誰かからの便りのようなものとして受け取ります。

風を吹かせるという言葉には誰かが音楽を鳴らしているという意味もあるでしょう。

その音楽を私たちは受け取ります。

その在り方はコミュニーケーションの姿そのものです。

私たちは無意識にコミュニーケーションを交わしているのでしょう。

日頃、優しさというものを意識していない人も誰かの風を受け止めている可能性があります。

生きている限り私たちは誰かとコミュニーケーションせずにはいられません。

その姿は異なる水の流れがあちらこちらから注がれて社会という大河になるのと似ているのでしょう。

ここにも実はアンサンブルという概念が隠されているかもしれません。

細かな水の合流というものは共同で同じ楽曲を演奏するのとどこか似てはいないでしょうか。