「はるどなり」
ドラマ「アライブ」の主題歌
はるどなりはドラマ「アライブ がん専門医のカルテ」の主題歌として、須田景凪が書き下ろした楽曲です。
ドラマの脚本を読んだ上で書かれた歌詞は、生と死や人生の儚さに焦点を当てています。
「限られた時間をどう過ごすか」。
ドラマのテーマであるとともに、この曲とも深く関わり合ったテーマです。
透き通るような高音が奏でるメロディがどこか切なくて温かい。
生きることの意味を問いかけるような作品となっています。
はるどなりとは
曲名や歌詞の中でも使われている「はるどなり」という言葉。
これは冬の季語である「春隣」からとられている、「春がすぐそこまで来ていること」を表す言葉です。
春は遠くない、けれど未だ冬の寒さの中にある。そんな狭間の季節を表しています。
冬は生命にとって辛く厳しい季節です。その中でやがてくる春への望みを待つ。
須田景凪はこの言葉にどんな想いを乗せたのでしょうか。
あなたに届けたいもの
冬の情景
深く吸い込んだ 冷えた空気を
あなたに見つけて欲しいと願った
出典: はるどなり/作詞:須田景凪 作曲:須田景凪
息を吸うと肺まで冷えそうな、そんな寒さが溢れる冬の光景から歌が始まります。
続けて語られるのは「あなた」への願い。
あなたと呼ばれる人物は、この寒さに触れられない別の場所に居るようです。
一体どこにいるのでしょうか。
次第に心は形を変える
誰も傷付けない事を望んで
出典: はるどなり/作詞:須田景凪 作曲:須田景凪
季節が移ろうように、人の心は変わっていくものです。
自分がおかれている環境や体験してきた経験によって絶えず変化していきます。
自分以外の誰かを傷つけることがないように。
そんな望みによって、変化した心があるようです。
熱を持つ白の呼吸が
幽かに射し込む光が
偽りなく届けば良い
出典: はるどなり/作詞:須田景凪 作曲:須田景凪
冬に吐く息の白さや、分厚い雲の間から差し込む微かな太陽の光。それらが文学的に綴られていますね。
どれも冬のさなかに感じられる一瞬の出来事です。
寒さの中でも心がほっと安らぐような、繊細で美しい冬の情緒。
そういった光景を美しいままにきみに届けたいと主人公は望んでいるのです。
あなたのおかれている状況
主人公の想うあなたの居場所。
歌に込められたテーマや、外の世界に触れられない環境にいることから、おそらく病室であると考えられます。
命に関わる重い病気を患って、長い間入院しているのでしょう。
変化した心は、きっとあなたの心です。
自分の入院によって主人公や周りの人を傷つけないように。
そんな配慮から強い自分であろうと、弱さを見せまいと必死に振る舞うようになったのかもしれません。
苦しみの中で闘うあなたに、自分が見ている冬の景色を届けたい。回復したその人と一緒にこの世界を歩きたい。
主人公はそんな願いを抱いているのです。