2017年リリース【Here】
マクロスシリーズ最年少の歌姫
2016年に放送されたテレビアニメ「マクロス△」には、ワルキューレという音楽ユニットが登場します。
その中のボーカルの1人、美雪・ギンメールの歌唱を担当することになったJUNNA。
当時はまだ14歳だったため、マクロスシリーズ最年少の歌姫と呼ばれました。
彼女の魅力は何といっても力強い歌声。
まだ未成年ながら大人な雰囲気を醸し出し、見事な歌唱力で音楽業界を賑わせています。
そんな彼女は、2017年にソロデビューを果たし、1stシングル【Here】をリリース。
テレビアニメ「魔法使いの嫁」
JUNNAの【Here】が起用されたテレビアニメ「魔法使いの嫁」。
この物語は、ヤマザキコレが描いた同名の漫画をアニメ化したもの。
略称「まほよめ」として親しまれており、2019年には演劇化もするなど益々人気が急上昇しているアニメです。
あらすじはWikipediaで以下のように説明されています。
生まれつき人ならざるものを見ることができるため他人からも家族からも疎まれ、不幸と孤独にまみれて生きてきた羽鳥智世は、自暴自棄となり謎の男が薦めるままイギリスに渡り、闇のオークションに「商品」として身を委ねる。その会場でチセは骨頭の人外エリアス・エインズワースに500万ポンドで落札される。
出典: https://ja.wikipedia.org/wiki/魔法使いの嫁
人身売買で落札されてから、不遇な過去から立ち上がり、自らの居場所を求めようともがく主人公。
【Here】はそんな主人公の気持ちに寄り添い、アニメとマッチした歌詞になっています。
絶望から始まる物語
それでは早速、歌詞について解説していきましょう。
1番の歌詞では、アニメの主人公チセの絶望を表現した内容。
悲しい過去を持つ主人公はどのような気持ちを抱えていたのでしょうか。
あまりにも切ない心情に胸が苦しくなるはずです。
真っ暗な闇
瓦礫の胸 息もできない
降り出す雨 眠るように暗い
この世界を生き抜くのならば
どんな花を飾ればいいの
信じたいくせに 信じられずに
出典: Here/作詞:岩里祐穂 作曲:白戸佑輔
アニメで主人公は自らの持つ力を父と弟に拒絶され、そのことで精神不安に陥った母に殺されかけます。
罪を犯したわけでもないのに、血の繋がった家族に全力で自分を否定される…。
そんなことをされたら自分自身も愛せなくなり、生きていくのも辛くなってしまうでしょう。
1〜2行目はそんな主人公の絶望が比喩を用いて表現されています。
確かに息をしているはずなのに、水に溺れているような感覚。
自分の目に映る全てが闇に包まれたような世界で、主人公は生きているのです。
それでも、その闇からどこかに連れ出してほしいという気持ちが残っているのでしょう。
最後の行からは誰かに頼りたい、愛されたい…でも誰も信じられないという葛藤が感じられます。
新たな世界からの呼び声
無力で無意味な自分が
それでも心で泣くんだ
こっちへおいでと声が聞こえる
無限で無謀な明日が
それでも何処かで待つから
たった一つたった一つの
たった一人たった一人の
私は此処
出典: Here/作詞:岩里祐穂 作曲:白戸佑輔
絶望に包まれていた主人公ですが、ここで事態が少し変化します。
自ら行った人身売買で魔法使いエリアスに落札され、力を認めてもらった主人公。
人身売買は自らを捨てるような行為ですが、それは決して全てを諦めているわけではありません。
本当に絶望を終わらせたいのなら、人は死を選ぶはず。
その選択を取らなかったのは、人身売買によって誰かのもの・誰かのためになりたかったのだと推測します。
歌詞の3行目に出てくる「声」は、そんな主人公の気持ちを分かっているエリアスのものではないでしょうか。
新たな世界に導かれることになった主人公。
どんな明日が待ち受けているのかは想像もつきません。
それでも、「これまでの絶望よりはましだ」と一歩を踏み出そうとする主人公の様子が感じられます。