1stアルバム「The BKW Show!!」より
THE ORAL CIGARETTESが事あるごとに掲げてきた「番狂わせ」を表すBKWという言葉があります。
流行りに流されない彼らの、独自のスタイルを感じさせるこの言葉。
これには「音楽シーンに衝撃を与えてやる」と言わんばかりの姿勢を感じさせられます。
売れるバンドというのは、それぐらいの心意気を持って然るべきということでしょうか。
今回はそんなBKWの名前が冠された彼らの1stアルバム「The BKW Show!!」より、「STARGET」という曲を紹介。
この楽曲に込められた番狂わせ精神に迫ります!
選りすぐりの楽曲達
アルバム「The BKW Show!!」は2014年11月12日にリリースされました。
今や日本武道館での公演をも成し遂げてしまう彼らの最初の一歩とも言えるこの作品。
内容は全10曲と、フルアルバムにしては少し少なめな印象を受けます。
これは「詰め込めばいいというものじゃない」という考えによるもの。
数ある楽曲の中から、アルバムを通してストーリーを感じられるような流れを作る10曲を選んだそうですよ。
音楽も配信の時代に入り、1曲ずつ購入する方も増えている昨今。
しかしアーティストにとってアルバムというのはそれを通して一つの作品です。
1曲で聴くのとはまた違うアルバムを通しての楽しみというのも、時代が変わっても色褪せないものではないでしょうか。
「STARGET」から見るTHE ORAL CIGARETTESのくせ者っぷり
「STARGET」は「The BKW Show!!」のリード曲となる1曲です。
楽曲内容にも、バンドの突き進まんとする意志は込められているはずですね!
ここではそんな「STARGET」の楽曲からの印象を挙げていきます。
目まぐるしいバンドアレンジ
焦燥感を煽るようになだれ込んでくる冒頭部分。
二段構えに構成されたイントロの後半部分ではダンスビートを展開。
耳をつんざくようなギターフレーズはギターヒーローが流行った90年代のJ-ROCKシーンを彷彿とさせます。
いきなりから目まぐるしいサウンドを響かせていますね!
1番終わりの間奏などもコード進行に変化を付けたりとストレートにいかないのがこのバンド。
2番のメロ部分でも、1番とはまるで違う曲のような展開が用意されています。
癖の強いヴォーカル
ヴォーカル、山中拓也の歌いまわしも非常に個性的。
彼は自身のルーツにL'Arc~en~Cielを挙げており、歌声にもその影響を感じさせますね。
サビで聴かせる裏声を絡めた妖艶なヴォーカルワークや、怪しげなメロディにはそれが如実に表れています。
だからといって、彼のそれは二番煎じではありません。
聴いてもわかる通り、hydeの歌い方はhydeだからカッコイイんです。
山中の歌はそんなhydeの要素を取り入れつつ、自分色に昇華されたもののように感じます。
ストレートにはいかない楽器隊しかり、山中の独特な歌しかり、くせ者が揃ったバンドだということが伝わってきますね!
突き通したその演奏スタイルが、彼らの意思表示なのではないでしょうか。
怪しげに映し出されるMV
「STARGET」のMVを監督したのはフカツマサカズ氏。
手掛けたアーティストはONE OK ROCKやSCANDAL、SHISHAMOに9mm Parabellum Bulletなど。
現在のロックシーンを牽引する面々が立ち並んでいますね。
そんな氏の手掛けるMVは、THE ORAL CIGARETTESらしさの溢れる内容。
バンドの色を活かした作品に仕上がっていますよ!
サビで聴ける「廻る廻る」の歌詞を表したかのように、廻る和傘を映した冒頭部分。
けばけばしい色合いの照明が演奏するメンバーを彩ります。
合間に映るピエロが掲げるのは、歌詞にも登場する星と月。
そして時計の針を進める仕草は、時代が巡っていく様子を表しています。
「星と月」、そして「時計の針」が何を表すのかは次項で明らかにしていきましょう。
「STARGET」というタイトルに込められたのは
MVや歌詞に登場した「星と月」「時代の流れ」が何を表しているのかについてを見ていきましょう。
それを物語るのは、まず「STARGET」というタイトルです。
「星を捕まえる」という意味が込められたこのタイトルは、「ロックスターになりたい」という想いを表したもの。
「捕まえる」という言葉が能動的で、その想いの強さを感じさせますね。
込められているのはそれだけではありません。
もう一つは「TARGET」という単語。
これは「狙う」という意味が込められていて「自分たちの時代が来るのをずっと狙っている」というメッセージを表しています。