きっかけはもしかしたら「あなた」を好きだという女性が現れたのか、「あなた」に好きな人ができたことかもしれませんね。

「私」は「あなた」に甘えられるのは自分だけであってほしいと思ってしまい、そして自分の気持ちに気づいてしまったのでした。

「私」が苦しいとき、淋しいとき、「あなた」の声を聞きたくなったのは、「あなた」を好きだからじゃないかと。

しかし、その気持ちを肯定してしまったら、今まで繋いできた信頼関係も、友達だからと甘えさせてくれた優しさも全部嘘になってしまう。

この世界の絶対の掟を破ってしまったような、そんな罪悪感に晒される私。

しかし、自覚してしまえば、それも大げさな話ではないのです。

「あなた」に支えられて、「私」は自分を保つことができて、自分という世界を守ることができているのだから。

もしもこの関係性が終わってしまったら、生きていけないとさえ思ったのでしょう。

友達でもいられない、恋人にもなれないけど、側にいてもいいですか?

隣にいてもね 伝えきれない気持ちたちがある
今何見てるの?もう少し近づいていいですか?

隣にいてもね もどかしさ越えられないワケがある
あなたを失くすのが こわくて こわくて…

時々あなたに会いたくてたまらない時がある
今何してるの?電話でもかけてみようかな

いいですか…?

出典: boyfriend/作詞:阿部真央 作曲:阿部真央

好きだから一緒にいたい、一緒にいたいから、隣にいても想いは伝えられないという雁字搦めの心が描かれているのがこの部分の歌詞です。

想いを伝えられず、今日も苦しいままの「私」は、「あなた」が好きだと自覚してしまったことで電話をかけるのにも今までとは違うのでした。

友達と言ってくれた「あなた」を裏切って、好きになってしまった「私」が、彼女でもない「私」が、今まで通り「あなた」に甘えていいのかということですね。

もしも「あなた」が「私」以外の人との恋愛に踏み出そうとしているなら、「あなた」を思えば身を引くべきですよね。

しかし、そうではないなら、もう少しお互いの気持ちをすり合わせてみたほうが...なんて、本当に考えてしまうようなリアルな恋愛が描かれた歌詞

「いいですか...?」という言葉に込められた複雑な感情が切ないですね。

おわりに

「boyfriend」の歌詞を解釈しましたが、いかがでしたか?

「恋」をテーマにしたコンセプトシングル『貴方が好きな私』に表題曲とともに収録された本作。

「貴方が好きな私」は恋人に嫌われないために、本当の自分とは違う自分を常に演じる女性の気持ちを。

「boyfriend」は友情を壊さないために、本当の気持ちを隠す女性の気持ちを描いていました。

この2曲は主人公の女性の性格など設定は全く違います。

しかし、好きな人と一緒にいるために自分の気持ちを隠す女性の苦しみや淋しさが描かれているという点で共通していますね。

そしてどちらの曲にも、正しさだけでは生きられない人間の哀しさのようなものが表現されているように筆者には感じられました。

皆さんはどうでしょうか。

また、この歌詞の主人公となる女性に共感するのか、それとも、愚かだと思うのか...。

いずれにせよ、主人公像を想像させるようなリアリティを生み出すことができる阿部真央さんの歌詞はやっぱりすごいですよね。

2013年と5年前の楽曲ではあるのですが、全く古くならない、恋愛ソングだといえることは間違いありませんね。

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