いかがでしょうか。
ギターをかき鳴らす阿部真央の姿、とってもかっこよかったですね。
彼女の芯の強さや、揺るがない意志の強さをひしひしと感じられるMVだったと思います。
カメラを真っ直ぐに見つめる彼女の目から、筆者は視線を逸らすことができませんでした。
余計な装飾を一切加えず、歌声と歌う姿だけを映した映像。
筆者はこの実直さが大好きです。みなさんはいかがでしたか?
チャーミングな笑顔が素敵な彼女ですが、こういうきりっとした表情も美しかったですね。
また、注目ポイントはなんといってもその”躍動感”。
「19歳の唄」は5thシングルですが、それ以前の楽曲はポップ寄りなものが多かったように感じます。
反して、同曲は混じりっ気なしのTHE・ロックナンバー。
初期から聴いていたリスナーにとっては、ちょっと衝撃的だったかもしれませんね。
このように、阿部真央は1枚のアルバムのなかでも様々な表情を見せてくれるアーティストでもあります。
みなさんは、どんな阿部真央が好きですか?
”同世代に響く”歌詞が話題に。
「19歳の唄」は、阿部真央自身が19歳のときにつくられた楽曲だそう。
19歳というと、ちょうど彼女がデビューした年齢でもあります。
高校を卒業して、すぐにデビューとなった彼女。
不特定多数の目に触れること、次回作へのプレッシャー、人からの評価……。
それらを受け止めるには、彼女はあまりに若かったと思います。
一気に大人の世界に足を踏み入れ、変化に対応していくことの難しさ。
それはおそらく、筆者が想像できるようなものではないと思います。
歌詞に注目してみると、その当時、彼女が抱えていたであろう苦悩やジレンマが綴られていました。
いまは18歳から「成人」になると法律が変わってしまいましたが、それはあくまで机上の話。
19歳という年齢は、子供というには成熟し、大人というにはまだ未熟な、とても不安定な時期だと思います。
多感な年齢だからこそ、悩まなければいけないこともあったと思います。
その子供でもあり大人でもある、”19歳”のリアルな心情が、同世代のリスナーには響くものがあるでしょう。
歌詞を徹底考察!
19歳は、”自由”を手にした
息をしているのか 否かも理解(わか)らぬ日々に
手に入れた自由を 持て余し流されてる
何を求めたのか 何処に行きたかったのか
手に入れた安らぎの中で ごまかし目を背けてる
出典: 19歳の唄/作詞:阿部真央 作曲:阿部真央
記事の中盤で、19歳のときに書かれた曲であるとご紹介しました。
2行目の”手に入れた~”とは、年齢から考えて”高校卒業”のことを表しているのだと思います。
学校という狭い世界の秩序の中で生活する高校生は、確かに不自由な部分も多いですよね。
18歳でその世界から卒業し飛び出したのは、あまりにも広い世界。
不自由な場所にいるときは、”自由”というものが無条件で”良いもの”に思えます。
しかし、実際に手に入れた”自由”は、19歳という年齢にとっては、大きすぎるものだと気が付きます。
3行目の歌詞からは、かつて思い描いていた”自由”との差に戸惑っている様子が窺えます。
4行目の”安らぎ”とは、おそらく阿部真央がデビューして得た名声や居場所を指していると思います。
高校時代に作っていた楽曲や自分の才能が認められ、デビューを果たすことができたという事実。
このことを、彼女は”安らぎ”と歌ったのだと思います。
思い描く自分と、現実の自分
幾度も夢見ていた世界で歌うのは
おそらくこんな僕ではなかった
終わったりしない衝動 止まったりしない鼓動
未だ信じてたいのに 見失いはじめてんだ
出典: 19歳の唄/作詞:阿部真央 作曲:阿部真央
ずっと、歌手になることを夢見ていたのでしょう。
高校を卒業して、デビューという夢を叶え、手に入れたシンガーとしての居場所と名前、そして自由。
全て手に入れたはずなのに、歌詞の中では苦悩が歌われています。
2行目の”こんな~”というフレーズは、彼女の理想とする自分と、現実の自分のギャップに苦しんでいるように感じられます。
3行目の歌詞では、彼女の中にある”衝動”、つまり理想や願望が存在していることを綴っています。
4行目では、それに対して十分な行動ができていないことのジレンマが歌われています。
何時逃げ切れるのか 何時になれば終わるのか
ただこなすような日々の中で そればかりを探してる
失うものなんて未だ何ひとつ無いのに
守りに入り始めてる僕を 壊して
出典: 19歳の唄/作詞:阿部真央 作曲:阿部真央
2行目の歌詞からは、毎日をこなすことだけに精一杯で、自分が本当にやりたいことをできていない姿が窺えますね。
19歳で、”自由”を手に入れたはずなのに。今の自分はやりたいことすらまともにできていない。
では、なぜできていないのか?それは3行目以降の歌詞で歌われています。
3行目”失うもの~”というのは、実績と解釈できると思います。
若いときだからこそ、失敗してもある程度なら許されるし、何にでもトライできるはずなのに。
それなのに、足踏みして先に進めない自分がいる、と4行目では歌っています。
おそらく、ここにはプライドや恥といった感情があるのではないでしょうか。
誰もが失敗や惨めな思いなんてしたくありません。
してしまったら、これまで積み上げてきた実績も信頼も失ってしまうから。
挑戦するのが怖い、変わるのが怖い。きっと、誰もが思うことでしょう。
しかし、失敗が受け入れられるのは、若いうちだけだと思います。
大人になればなるほど、背負うものが増えてしまうから。
そうわかっていても、踏み出せない。ジレンマですよね。
この部分は、同年代のリスナーにはすごく共感できる歌詞ではないでしょうか。
まだまだこれからなのに
満たされ始めてしまった僕を罵って
見失ってる僕を 壊して
終わったりしない衝動 止まったりしない鼓動
未だ信じさせててよ 未だ終わらせたくないよ
未だ終わらせたくないよ
出典: 19歳の唄/作詞:阿部真央 作曲:阿部真央
”満たされ~”という部分には、自分に対する甘えもあると思います。
「これでいいや」「これくらいでいいや」という、甘え。
彼女は、そんな自分をしっかり自覚したうえで悩んでいます。
これじゃだめなんだと、自分の中の悪魔と天使で戦っているようにも見えますね。
4行目の”未だ信じさせて~”というのは、おそらく自分自身に語りかけているのだと解釈しました。
自分で自分の嫌な部分をたくさん見てしまって、未熟な自分に気付いてしまって。
でも、奥底にはまだ確かな次への”衝動”があるし、心臓の”鼓動”、つまり稼働力も止まってはいない。
つまり、まだ自分は動ける、やりなおす余地がある。
だから、そこで止まらないで。そんな自分への喝が4行目~5行目の歌詞だと思います。
先に進むのも怖い、でもこのままでいるのも嫌だ。
そんな葛藤と闘う、19歳のリアルな心情が綴られた歌詞でしたね。