YUKI【わたしの願い事】

YUKI 25枚目のシングル

YUKI【わたしの願い事】歌詞を徹底解釈!散々な人生で何を願う?正直に生きてこそ見える世界がある!の画像

老若男女問わず、国民のカリスマ的存在であるアーティスト・YUKI

キュートなルックスと歌声から時折みせるセクシーな一面で、人々の心を惹きつけてきました。

2019年6月までに33枚のシングルをリリース。

今回はその中から、25枚目のシングル【わたしの願い事】をご紹介しましょう。

アルバム「FLY」とシングルコレクション「すてきな15才」にも収録されている、この楽曲

Wikipediaでは、以下のように記載されています。

タイトル曲は、綾瀬はるか主演映画『映画 ひみつのアッコちゃん』主題歌として書き下ろされた。YUKIはこの曲について、「脚本と映画を見てからの曲作りでした」「世界を変えるのではなく自分を変える。笑いじわで一杯の大人が増えれば良いですね」と述べている。

出典: https://ja.wikipedia.org/wiki/わたしの願い事

この楽曲はバックの音楽が控えめで、YUKIがやわらかく歌い上げるミディアムチューン。

そんなサウンドの中で綴られている言葉からはYUKI自身の人生観が伝わってきます。

大人になるってどういうこと何だろう。

素敵な大人って何だろう。

自分がなりたい大人って何だろう。

そんな風に、私たちを「大人」という言葉についてとことん向き合わせる楽曲となっています。

『映画 ひみつのアッコちゃん』って?

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2012年に公開された、綾瀬はるか主演の映画 ひみつのアッコちゃん』

この映画は、赤塚不二夫による同名の漫画の誕生50周年を記念して制作されたものです。

あらすじは以下の通り。

パパが買って来てくれて、ずっとお気に入りだったコンパクトの鏡を、落として割ってしまった小学5年生・10歳の加賀美あつ子(アッコ)。割れた鏡を、庭に埋め、「鏡のお墓」を作った。その日の夜、鏡の精を名乗る男が現れ、アッコに、とある物を渡す。それは、なりたいものになれる魔法のコンパクトで、アッコはオトナに変身。だが、この秘密を誰かに知られたら、二度と魔法は使えないという。

出典: https://ja.wikipedia.org/wiki/ひみつのアッコちゃん#実写映画

主人公のアッコが大人の世界で生きることになる、このストーリー。

中身は子供なのにアッコは会社で働き、恋もする…。

現実ではあり得ないファンタジーによって、子供からの視点で大人の世界が可視化されます。

楽しいこともたくさんある大人の世界。

けれど、大人ならではのズルさや葛藤もそこにはあるのです。

【わたしの願い事】では、そんな世界に飛び込んだアッコの気持ちを表現しています。

それでは歌詞を解説していきましょう。

みなさんも自分がどんな大人になりたいか、考えながら見てみてください。

大人の世界での戸惑い

ずる賢さも時には必要?

さんざん雨に打たれても 強くなりたいわ
だいたいいつも決まって びしょ濡れのままだけど
だんだんわたしは眠くなって 空を飛んでる 夢の中
毎回変な怪獣に追われても 上手く逃げられない
そうお似合いよ 地図を片手に右往左往して
誠実な果物だけじゃあ 大人になれないの?

出典: わたしの願い事/作詞:YUKI 作曲:Agree2

ここでは、映画の主人公アッコが大人になった時の戸惑いが表現されています。

中身は子供なので、仕事で失敗して怒られたり馬鹿にされたりもしたのでしょう。

アッコみたいな状況でなくとも、この戸惑いはみなさんも感じたことがあるのではないでしょうか。

子供の頃は失敗しても大人たちが「頑張ったね」と褒めてくれていたのに…。

大人になると結果がすべてだと言われ、要領が悪いと周りから冷ややかな目で見られることも。

4行目の「怪獣」とは、そんな意地悪な大人たちをイメージしているのでしょう。

アッコはそれに負けないように何とか試行錯誤して生き抜こうとしています。

子供の頃って大人の世界がやけにキラキラして見えませんか?

かっこよくて、好きなものが買えて、素敵な人と恋愛もできて…。

アッコもきっと子供の頃は大人という存在に憧れを抱いていたのだと思います。

けれど実際に大人になってみたら、1つの疑問が浮かぶのです。

自分を馬鹿にする人たちみたいにずる賢く生きるのが正しいの?

もし、みなさんが子供にそう聞かれたらどう答えるか…少し考えてみましょう。

子供の頃の自分

I wish ここに集まって歌う小鳥より 自由に飛びまわれ
I wish 海原滑るあの魚のように 大きく踊る
鏡の中で笑いころげる あの日のわたしが見える
花のように咲き 花のように待つ
それが願いです
ワタシノ ネガイハ

出典: わたしの願い事/作詞:YUKI 作曲:Agree2

このサビでは、アッコが子供の頃の自分を思い出している時の気持ちが表されています。

1〜2行目はその例え。

友達と目的もなく走り回ったり、騒いで遊んだり…。

ところで「箸が転んでもおかしい年頃」という言葉を知っていますか?

これは何気ない状況でも馬鹿みたいに笑える、10代後半の女性を表しています。

アッコは10歳の設定ですが、その頃から20代になる頃までは同じように無邪気なもの。

けれどその先はくだらないことで笑えなくなり、周り縛られて不自由になってしまいます。

アッコはそんな「成長」ともいえる状況に切なくなり、彼女の中に1つの願いが生まれるのです。

それは、花のように生きること。

花はそこに咲いているだけ。他に咲いている美しい花と自分を比べず、ただ凛と咲いているのです。

そこでジッと、自分の命が終わるまで待っています。

誰も傷つけず、時には誰かがそれをみて癒されたり、元気をもらったり…。

人間もそんな風に生きられたら、穏やかな世界になりそうです。