赤く染まった空から
溢れ出すシャワーに打たれて
流れ出す 浮かび上がる
一番弱い自分の影
青く滲んだ思い出隠せないのは
もう一度同じ日々を
求めているから

出典: 空の青さを知る人よ/作詞:あいみょん 作曲:あいみょん

赤い空というのは、夕焼け空を思わせます。

単純に夕方の時刻とも考えられそうですが、それとはまた別に比喩のようにも感じられます。

「青く滲んだ思い出」は青空のような感じもしますし、青春輝いていた頃の過去かもしれません。

夢を抱いていた日々も過ぎ去り、現実を知って絶望という夜が見え始めるのが今の状況なのでしょう。

そんな空から「シャワー」が降ってきます。

お天気雨か、雲の切れ間から差し込む夕日の光でしょうか。

それに打たれることで、主人公は自分の弱さを見出しました。

今の状況に対して弱気になった自分が、体から滲み出たかのようです。

そうしてしまうほど、主人公はかつての輝かしい過去をもう一度過ごしたいと思っています。

もう一度夢を見ていたあの頃に戻りたいのでしょう。

その思い出は、冒頭の恋愛と関係あるのでしょうか。

真っ暗になってしまった今

かつて抱いていた夢に挫折を感じかけている主人公。

好きな人もいて夢もあって、充実している人生に見えますが実際はそうではありません。

恋をしている人とも一緒になれず、かつての思い出ばかり振り返ってしまっています。

その呼び方も好きじゃなかった筈なのに

全然好きじゃなかった
ほら、あの呼び方 漫画の主人公みたいで
全然好きになれなかったんだ
それなのにね
今も似た言葉に身体が動くよ
皮肉な思い出なのさ

出典: 空の青さを知る人よ/作詞:あいみょん 作曲:あいみょん

1番と同じく、これは昔の記憶でしょう。

主人公にはあだ名か何かがあって、周りの人からその名前で呼ばれていたようです。

しかし主人公自身は、その呼び名が気に入らなかった様子。

その上理由が「漫画の主人公みたい」だからというのです。

真っ直ぐで素直な主人公みたいなのは嫌だったのでしょうか?

恋愛も好きにはなれなかったようですし、あまり素直じゃない子供だったのでしょうね。

ですが、それも今となってはそのあだ名に似たような言葉に気分が高揚してしまうになりました。

恋する相手が、似たようなあだ名で自分を呼んでいるのかもしれません。

今と昔のギャップに、主人公は自嘲しています。

八方ふさがり

何回も右往左往してみても
暗すぎて何も見えない
そうかい まだ隠れているのかい
飛び出しておいで メモリー

出典: 空の青さを知る人よ/作詞:あいみょん 作曲:あいみょん

今主人公がいるのは、右も左も分からない暗闇の中です。

現実を知り、これからどうやって歩んでいけば良いのか分からなくなっていることを表しているのでしょう。

これから活躍している自分も想像できず、お先真っ暗な状態。

好きな人のことがあるから足が動くものの、何も見えないなら無駄にエネルギーを消耗するだけでしょう。

そう、まだ今の自分はかつての夢を忘れたままなのです。

夢を思い出せば、進むべき道も見えてくる筈。

子供の頃抱いていた夢は、この暗闇のどこかに潜んでいます。

悪魔を倒して悪夢を食べる

高く掲げた掌
届く気がしたんだ確かに
回り出す 襲いかかる
悪魔の顔をした奴らが
会いたい人に会えない
そんな悪夢を
雲に変えて 食べてやるよ
悲しくなるから

出典: 空の青さを知る人よ/作詞:あいみょん 作曲:あいみょん

夢を追う主人公の行く手を阻む歌詞でいうところの「悪魔」です。

夢を諦めろという他人や、どうせ自分には無理だという弱い自分。

彼らの言葉は、やがて主人公に「悪夢」を見せます。

夢を叶えられないばかりか、好きな人と一緒にいられなくなるという恐ろしいものでした。

しかしながら主人公は、まるで伝説の生き物である獏のようにその悪夢を食べてやると宣言します。

悪夢を「雲」にしちゃうというのがまた面白い表現ですね。

悪夢のままだとまずそうですが、雲なら綿菓子のようにふわふわで美味しそう。

いっそポジティブに、美味しく頂いてしまった方がお得でしょう。

敵にも悪夢にも負けないと、主人公はそう決意します。

空の青さを知る人とは

曲の最後、タイトルの「空の青さを知る人よ」の意味がついに分かります。

ここまでは恋と夢を中心に歌詞が展開してきました。

一見それらと関係ないように思えますが、タイトルはここからどのように繋がるのでしょうか。