サビの高音のパートでは麻丘めぐみの甘い声がさらに気持ちよく聴こえます。
ファンにしてみれば彼女が自分に甘えているように感じたのではないでしょうか。
”意地悪”なんて言われてしまうと身悶えする人がいたかもしれません。
右ききの人と左ききの人が向かい合って座ったとすると、どこか噛み合わないところが出てきそうです。
同時に同じことをしようとするとお互いの動作がなんとなく鏡を見ているみたいですね。
彼女は左手で何かをやろうとしても当然うまくいかないのです。
意地悪ということは、彼は自分に合わせようとする彼女をからかっているのかもしれません。
彼はそんな彼女が可愛くてしかたがないのだろうなあと想像した左ききの男子は悔しくなるでしょう。
楽しいデートがそろそろ終わりに近づいた頃にチラリと右手の時計を見る彼。
そんなところもああ、やっぱり左ききなんだと感心しながらもちょっぴり寂しい気持ちが湧いてきます。
喜んだりちょっと拗ねてみたり、可愛らしい女の子の気持ちを歌うパートです。
年上の彼と年下の彼女
甘い声で歌う甘い恋
背中にいたずら するときもするときも
ブラック・コーヒー 飲むときも飲むときも
いつでもいつでも彼は 左きき
あなたの真似して みるけれど
わたしの右きき 直せない
意地悪 意地悪なの
出典: わたしの彼は左きき/作詞:千家和也 作曲:筒美京平
左ききの彼は彼女より少し年上なのかもしれません。
いたずらをする彼は子供っぽいけれどブラック・コーヒーを飲む彼は大人っぽいのです。
彼女がコーヒーに砂糖を入れないと飲めないのだったら彼にはまた可愛く見えるでしょう。
この曲全体を通して年上の彼と年下の彼女、という絵が見えてきます。
年上でなければ大人びた同級生ですね。
彼女はいつも彼のことを上目遣いで見ているような気がするのです。
ちょっと甘えたところがありそうな女の子の恋を麻丘めぐみがちょっと甘えた声で歌う。
歌い手の麻丘めぐみと主人公の女の子がリンクしているのです。
この子が”意地悪”と歌ったら
上のジャケット写真の麻丘めぐみを見てください。
こんな可愛い子がちょっと甘えた声で歌うのです。
左ききの男子たちは当然彼を自分に置き換えていたでしょう。
右ききの男子たちは自分の利き手など関係なく彼女の歌を浮き浮きしながら聴いていたのではないでしょうか。
いちばん盛り上がるのは、やはり”意地悪”と麻丘めぐみが可愛らしく歌うところです。
サビに盛り上がるセリフや言葉を持ってくるのはヒットする歌謡曲には大切なことだと思います。
メロディーは当然として、歌詞も歌って気持ちいいいことが歌謡曲には重要なのです。
ミステリアスな魅力
違和感が恋へと変わる?
短い手紙を 書くときも書くときも
誰かに電話を するときもするときも
わたしのわたしの彼は 左きき
出典: わたしの彼は左きき/作詞:千家和也 作曲:筒美京平
彼が手紙を書いている相手も電話をしている相手も誰だか分かりませんが、彼女はそれを見ています。
見られてはいけない相手ではないにしても、なんともオープンな人ですね。
隣に座って彼の左手と顔をチラチラと見比べながら少し嫉妬している彼女の姿が見えるようです。
彼女にはもう彼のこと以外目に入っていないのでしょう。
”左きき”が彼女にとっては魅力的なポイントなのです。
最初はあれ?と感じたはずの”左きき”はだんだんと彼女にとってミステリアスな魅力へと変わっていきます。
なにか違うなというある種の違和感が恋へと変わっていったのかもしれません。
そう考えれば自分が持っている他の人と違うところも、場合によっては魅力的に映る可能性があるのです。
自分は変わっているとか少数派だとか悩んでいる男子も下を向く必要はありません。
違いは個性だと考えて自信を持てば、だれかが「私の彼は○○○」と言ってくれるかもしれませんよ。
麻丘めぐみと同期のアイドルたち
郷ひろみ「言えないよ」
麻丘めぐみと同じ72年にデビューしたアイドルの記事をご紹介します。
まずは郷ひろみです。
デビュー曲「男の子女の子」のタイトル通り、女の子かと見紛うばかりの美少年でした。
アイドルとして突っ走ってきた彼が大人の男の魅力を漂わせるようになった頃の曲が「言えないよ」でした。
この曲の魅力について歌詞を読み解きながら解説されていますので、是非読んでみてくださいね。
郷ひろみ『言えないよ』が切なすぎて共感したという人続出!?気になる歌詞の意味を徹底解剖! - 音楽メディアOTOKAKE(オトカケ)
郷ひろみさんの数ある楽曲の中でも、特に人気があるのが「言えないよ」というバラードです。「好きだけど告白できない」という、もどかしくて切ない恋心が歌われていて、共感する人が続出しています。そんな「言えないよ」という曲の魅力について、郷さんのプロフィールと共に歌詞を徹底解剖します!