生き残るのが正義?
突如平穏な学校生活ではじまったバトルロワイヤル。
しかし実際に学校生活が平穏なものだと感じている生徒はそんなに多くないのではないでしょうか。
特に閉塞的な教室内では「コイツさえいなければ」と思うこともあるでしょう。
いじめをしている生徒や教室を我が物かのように振る舞う特定の生徒。
口には出さなくとも「悪」として抹殺されることが望まれている存在でもあるかもしれません。
彼らがいなくなれば教室に平和が取り戻されると考えることも不自然ではないでしょう。
そこで疑問に感じるのはこの争いの目的は「悪」を排除することなのかどうか。
そうともなれば生き残ることは必然的に「正義」を意味することになります。
主人公の真意は「正義」を立証するためなのでしょうか。
相次ぐ脱落者
ちょっと減ったわ 三十名 閉鎖空間教室
緊張が 走って ビリビリきちゃうわ
出典: チュルリラ・チュルリラ・ダッダッダ!/作詞:くらげP 作曲:くらげP
早くも相次ぐ脱落者。
既にクラスメイトの3割ほどは教室から姿を消したようです。
誰も逃げることのできない教室に充満するのはただならぬ緊張感。
「次は自分の番かもしれない」と怯え殺伐さを増す空気の中、主人公は刺激的なゲームを楽しんでいるような印象も受けます。
クラスメイト全員がブラックリスト
今日も 見いつけた!
尻尾出すおばかさん 蹴落とすの
ブラックリストのクラスの皆さん
さァ!さァ!密告だ! 先生に言ってやろ!
狂った頭にメスを入れたげる
さァ!さァ!またひとり消えちゃいました
最後のひとりになるまで 終わらないわ
チュルリラ・チュルリラ・ダッダッダ!
出典: チュルリラ・チュルリラ・ダッダッダ!/作詞:くらげP 作曲:くらげP
まだまだクラス内に残存する彼女の標的であるクラスメイトたち。
彼女の密告で一人、またひとりと教室から姿を消していきます。
最初に姿を消した生徒たちは彼女が動かなくとも抹殺されるような人物であったかもしれません。
しかし表だって目立った悪事を働かなくとも彼女の目からは逃れることができないようです。
なぜならクラスメイト全員が彼女のブラックリストに載ってしまっているから。
その理由はいったいなんなのでしょうか。
いじめを黙認して傍観者となりみて見ぬふりをしたから?
表面上ではいい子を気取って陰口を叩いているから?
自分の意見を言わず常に周りに合わせて自分に被害が及ぶのを逃れる生徒、なにかにつけて告げ口するチクり魔。
自分はみんなとは違うと心の中では周りを見下す優等生...。
言い出したら切りがなさそうです。
狭い教室内はそれらしき悪意がなくとも誰かしらが傷つく世界でもあるでしょう。
なにを「正義」としてなにを「悪」とするのか、その評価も人それぞれです。
でもおそらく、誰がなにをしたのかも彼女には関係のないことかもしれません。
もはや彼女にとってすべてのクラスメイトは自分が生き残るための密告と抹殺の対象でしかないのです。
最後のひとりになったら...
さー、さー、 密告だ! 先生に言ってやろ!
さー、さー、 密告だ! 先生に言ってやろ!
チュルリラ・チュルリラ・ダッダッダ!
チュルリラ・チュルリラ・ダッダッダ!
チュルリラ・チュルリラ・ダッダッダッダッダ!
わたしひとりだけ生き残るため!
出典: チュルリラ・チュルリラ・ダッダッダ!/作詞:くらげP 作曲:くらげP
まるで自分以外すべてを洗脳するかのように繰り返されるフレーズ。
終始ポップで可愛らしく感じられる楽曲の中には確かな狂気が窺えます。
ここではっきりするのは彼女の目的です。
どうやら彼女は「悪」を正すためではなく、自分が最後のひとりになることだけを望んでいるように捉えられます。
最初から彼女はただ自分のみが勝ち残ることを目的としていたのでしょうか。
それとも本当の目的はクラスメイト全員を葬り去ること自体だったのでしょうか。
もしかしたら彼女自身もなにかに洗脳されてしまったのかもしれません。
さァ!さァ!密告だ! 先生に言ってやろ!
あらまあ もう、いないの?クラスメイトはゼロ名
さァ!さァ!抹殺だ! 先生もやってやろ!
最後のひとりになるまで終わらないわ
出典: チュルリラ・チュルリラ・ダッダッダ!/作詞:くらげP 作曲:くらげP
次々と教室から姿を消すクラスメイト。
気付けばもう彼女は最後のひとりになっています。
心なしか余裕すら感じられる言い回しです。
勝利を見事に手に入れた彼女。
しかし彼女の殺戮劇は止まることを知らず、黒幕かと思われていた先生すらも抹殺されてしまいました。
遂に彼女は本当の最後のひとり。
これで楽曲も幕を閉じることになります。
最後まで生き残ることで彼女の「正義」は立証されたことになるのでしょうか。
そしてなにを「正義」とするのか。
その真相は最後のひとりとなった彼女にしかわからないことかもしれません。