覚悟と信頼
恋人としてとる、主人公の行動
だから負けないで
こころを曲げないで
微笑んだあなたには 別れの覚悟
出典: だってだって噫無情/作詞:畑亜貴 作曲:江並哲志
会う度に彼の死を覚悟しているのでしょうか。
それでも、どうか立ち向かってほしいと願っています。
戦いへの勝利そのものを望んでいるようにはみえません。
彼に生きて帰ってきてほしい。
それが彼女の思いです。
待っててずっと待ってて
瞳が語るのね
思い出の場所で待つわ
いつか帰るその時まで
出典: だってだって噫無情/作詞:畑亜貴 作曲:江並哲志
目は口ほどにものを言うといいます。
3行目、2人が逢引した場所でしょうか。
久しぶりに会った時には思いが溢れて言葉にならないのかもしれません。
短い逢瀬の後、去っていく彼の背中に手を伸ばす情景が浮かびます。
あなたもまた思ってくれていると信じ、私も信じると語る彼女。
言い換えれば、決意の上での信頼です。
心が締め付けられますね。
彼の生き方
どんな明日が見える? そうね希望の明日
止められぬ生き方で進むのでしょう?
ただ一人私は行方を見守る
出典: だってだって噫無情/作詞:畑亜貴 作曲:江並哲志
今実際に希望が見えているというよりかは、将来への願いが込められているとみます。
良い未来は、想い人にとっては戦の勝利かもしれません。
彼女にとっては、先にあった通り今すぐにでも帰ってきてほしい、という気持ちが強いでしょう。
とはいっても、彼が望む勝利までの道を見守る覚悟。
2行目に注目してみましょう。
そう、彼は「強いられて」いるというよりも、戦い続ける生き方を「選んで」いるようなのです。
「幸せ」二重の意味
彼女主観と彼主観
噫無情…
でも世界は幸せを望んでる
だってだって
出会いの意味を感じたいの…噫無情!
出典: だってだって噫無情/作詞:畑亜貴 作曲:江並哲志
1番ではネガティブに表現されていた世界。
2回目のサビでは前向きなワードが繰り出されます。
悲しみは自分の境遇とその時代の状況を重ね合わせているとしました。
ここの幸せも同じ原理だと思われます。
折角巡り合ったのだから、もっとあなたと会いたい。
恋人同士である幸せをかみしめたい。
たとえ性別や立場の違いが私たちを阻んでも。
あなたが遠い場所で自分の生き方を貫き、戦を続けても。
根底の望みは覆りません。
一見矛盾していますが、願いを秘めながら覚悟をしている彼女。
人としての深みがよく滲んでいる、といえるのではないでしょうか。
また、幸せの解釈について、もう1つの可能性も示唆しておきます。
この幸せが彼主観のものだということです。
彼が戦う理由は、世界が幸せを望んでるから。
勝利することで平和が訪れ、民が幸せになるのだと、彼はそう信じているのかもしれません。
歌は4行目へと続きますね。
たしかにこの内容だと「だって」という接続詞にはつながりづらいです。
彼女が語り手のように聞こえるからですね。
しかし実は「だってだって噫無情」というタイトルの時点で、逆説的な効果が用いられています。
2番のサビという地点であえて同じ効果を入れたって不思議はありません。
クライマックス
熱いラスト
噫無情…
この世界は悲しみに満ちてる
それでもいい
出会えたことが喜びなの そうでしょう?
噫無情…
でも世界は幸せを望んでる
だってだって
出会いの意味を感じたいの 噫無情!
出典: だってだって噫無情/作詞:畑亜貴 作曲:江並哲志
繰り返されるサビは激情的。
哀愁さえ漂う冒頭から聴き手の気持ちも随分変わっています。
彼女は彼の無事を願い。
彼は戦の勝利のために。
2人思いあい、また出会える日を待っているのです。