「宝島」というのは、お金や社会的地位のことを指しているのだと思います。

自分を呼んでいるのはそんなものではなく、「誰かの微笑み」。

遠くから、近くから、名前を呼ばれている気がする。

それは知っている人の声かもしれないし、まだ会ったことのない人の声かもしれません。

自分にだけ聞こえるその声は、きっと優しい声音をしていることでしょう。

家族のような絆。友達のような信頼。そして恋人のような温もり。

そういったものを「僕」は感じたはず。

だからこそ、「僕」はただの幻聴かもしれないその声を追いかけます。

優しい声は「僕」をどこに導いているのでしょうか?

未来を信じる気持ち

切り札を隠し持っているように思わせてるカードは
実際は何の効力もない
だけど捨てないで持ってれば
何かの意味を持つ可能性はなくない

出典: 幻聴/作詞:桜井和寿 作曲:桜井和寿

奥の手があるフリを装って、内心では打つ手がないことに焦っている。

そんな様子が伝わってきます。

人生が上手くいくなんて確信もなければ保障もない。

無駄に終わるかもしれないことに時間を費やして、いつか意味が生まれるようにと願うだけ。

カードゲームと人生を重ねて、生きることの難しさを歌っています。

今は価値のないものも、未来ではどうなっているか分からない。

そうやっていろいろなものを捨てられないでいることを愚かだと考える人もいるでしょう。

しかし、未来を信じる気持ちは誰にも咎められません。

信じていたいと思うなら、価値に関わらず大切に持っておくのが良いでしょう。

きっと捨ててしまうよりは後悔しないはずです。

何よりも大切にしたいもの

自分を呼んでいた声が「君」だったと気付いた。

そのとき「僕」は何を思ったのでしょう?

きっと声を追いかけたいという気持ちが、より一層強くなったはずです。

「僕」が何よりも大切にしたいもの。

それは「君」の願いを叶えることだったのかもしれません。

足元もしっかり見て

一歩 また一歩 確実に進む
そんなイメージも忘れずに

出典: 幻聴/作詞:桜井和寿 作曲:桜井和寿

夢から夢へと渡っていく想像もいいけれど、地に足をつけて進んでいくことも忘れずに。

自分にそう忠告しているような歌詞ですね。

どんなに素晴らしい夢を持っていたとしても、足場がしっかりしていなければ叶うものも叶いません。

自分が立っている場所や歩いている道を見失わないで。

焦らずに1歩ずつ進んでいこう。

きっとそれが夢を叶えるための1番の近道になるはずです。

僕を呼ぶ君の声

僕を手招くのは 華やかな場所じゃなく
口下手で 人見知りで ちょっと寂しがり屋の溜息
遠くで すぐそばで 君の呼ぶ声がする
そんな幻聴に 耳を澄まし追いかけるよ

出典: 幻聴/作詞:桜井和寿 作曲:桜井和寿

「僕」を待っていてくれるのは、きっと浮かない顔をした「君」。

栄光の輝きに満ちた未来。そういった場所を目指せないわけじゃない。

だけど、寂しさを抱えている「君」がいるというなら「僕」は迷わずにそちらを選ぶでしょう。

「僕」を呼んでいた優しい声。

それは「君」の声でした。

幻聴のように不確かな声だったとしても構わない。

声を追いかけるのは、ただ「君」の顔が見たいから。

そして、できるなら「君」を笑わせてあげたい。

そんな気持ちで耳を澄ませているのではないでしょうか?

幻聴の正体とは?

「僕」が追いかけつづけた声。

なぜそれを「幻聴」と表現したのか。

ここまで歌詞を考察してきて、ようやくその正体が見えてきました。

追いかけつづける

向こうで手招くのは宝島などじゃなく
人懐っこくて 優しくて 暖かな誰かの微笑み
遠くで すぐそばで 僕を呼ぶ声がする
そんな幻聴に 耳を澄まし
また今日も 夢の橋を渡り追いかけるよ

出典: 幻聴/作詞:桜井和寿 作曲:桜井和寿

この曲は最後まで「追いかける」ことにこだわった歌詞でしたね。

「僕」がいったいどこにたどり着いたのか。

それについては想像を膨らませるしかありません。

きっと「僕」自身、自分がどこにたどり着くかなんて分からないはずですから。

答えがないということは、自由であることと同じ。

好きなように未来を描いて、また夢から夢へと渡っていきましょう。

追いかけた先には「君」が待っている。

「君」の声が聞こえている限り、「僕」が歩みを止めることはありません。