「あしたてんきになれ」
明るい別れの歌
Yogee New Wavesの楽曲「あしたてんきになれ」。
ギターの効いた明るい曲調が印象的です。
しかし、歌詞に目を転じれば、実はこれは別れの歌。
別れには寂しいイメージが付きまとう中、どうして明るいのでしょうか?
歌の主人公が伝えたいメッセージにフォーカスしながら見ていきます。
MVにも注目!
YouTubeでは、「あしたてんきになれ」のMVも楽しめます。
ポップな曲調と、メンバーたちの楽しそうな表情が明るい気分にしてくれます。
手持ちのカメラで撮ったような、少し揺れる画面も良さの1つといえるでしょう。
オフショットのような気軽さに、心もなごんでしまいます。
「別れよう」という決心
心の真実
嘘をはねのけて
正しさを追うよ ぼくは
出典: あしたてんきになれ/作詞:Kengo Kakudate 作曲:Kengo Kakudate
別れを切り出すのは難しいものです。
いつ言おうか、どういう言葉を使おうかなど、考えてしまうことはいろいろあります。
考えすぎて疲れると、切り出すことそのものが億劫になってしまうことも。
そうなると、惰性でお付き合いを続けてしまうことにもなりかねません。
しかし、その「惰性」の中に好意は存在しなくなっています。
好きではないのに、付き合っている。
それは自分の心に嘘をついていることになります。
主人公は、そうやって恋人との関係を続けてきたのかもしれません。
しかし今、改めて別れを切り出す決心をしました。
ここでの「正しさ」は、自分の気持ちに向き合うということです。
本音と建前
少しだけブルーで
唇は噛み飽きたところさ
出典: あしたてんきになれ/作詞:Kengo Kakudate 作曲:Kengo Kakudate
「Blue」は青色ではなく、少し沈んだ気持ちを表すほう。
好意のあるなしに関わらず、別れを切り出すことに気持ちが重くなっているようです。
「唇をかむ」という表現は、怒りや悔しい気持ちをこらえていることを意味します。
もしかするとここでは、別れを切り出さず黙っていたことも表すかもしれません。
この動作に飽きていることから、口をつぐんでから長い時間が経っているのでしょう。
ここで、多少の気持ちのすりかえが起きていることにも注目です。
上の2行には、主人公の本音と建前が隠されています。
本音は、上の行。
そして建前は下の行です。
主人公の本音としては、別れを告げることに重い気持ちがつきまとっています。
しかし、それを素直には表しません。
「黙っているのに退屈したから、言うね」という、別の事情を持ち出しているのです。
最後まで格好つけていたい、ささやかな抵抗かもしれません。
思い出が脳裏をよぎる
溢れかえる君
出典: あしたてんきになれ/作詞:Kengo Kakudate 作曲:Kengo Kakudate
いざ別れを告げようとした時、主人公は恋人との思い出を振り返ります。
溢れているのは思い出なのです。
お付き合いをしていたということは、一緒に過ごした時間も長いのでしょう。
一緒に出かけたりする中で、思い出が積み重なったのかもしれません。