「ライク・ア・ヴァージン」が拓いた時代

マドンナの代名詞的な楽曲

マドンナ【ライク・ア・ヴァージン】歌詞を和訳&解説!意外と初々しい?マドンナの代表曲はどんな内容?の画像

1984年に発表されたマドンナの代名詞的な楽曲ライク・ア・ヴァージン」。

MVなど含めて妖艶な美しさで世界中のリスナーを虜にしました。

まるでヴァージンのようというセンセーショナルなタイトルやサビが印象的です。

しかし歌詞をよく読み解くと一途な恋心が透けて見える初々しいもの。

プロデュースはファンクのレジェンド・ナイル・ロジャースを迎えます。

そのためサウンドはクラブ受けのいいポップスに仕上がっているのです。

世界中でマドンナ旋風が吹き荒れた最初の一撃がこの曲「ライク・ア・ヴァージン」。

今でも現役で活躍するVIP級の音楽家・マドンナの若かりし頃の一番の代表曲です。

それぞれ想い入れがある方が多いでしょう。

昔からのリスナーは過去を懐かしく振り返ってください。

若いリスナーはマドンナ旋風の最初の曲として追いかけてみましょう。

歌詞和訳して解説いたします。

それでは実際の歌詞を見てください。

わびしい日々を過ごした彼女

ついに見つけた新しい愛

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I made it through the wilderness
Somehow I made it through
Didn't know how lost I was
Until I found you

出典: ライク・ア・ヴァージン/作詞: Billy Steinberg Tom Kelly 作曲: Billy Steinberg Tom Kelly

歌いだしのラインであります。

マドンナは自分で作詞作曲をしますがこの曲は提供されたものです。

歌詞を和訳いたしましょう。

「荒れ地のようなわびしい日々を私はどうにかやり過ごしてきたの

私は何とかやり遂げてきたわ

自分がどれほど損なわれていたかさえ分からなかった

あなたに出会うまではね」

マドンナは苦労人として知られています。

彼女の境遇に見合うような歌詞が提供されました。

孤独は人に寂しい思いをさせるものです。

しかし孤独に耐えた人だけが強い意志で生きてゆける傾向があります。

とはいえ孤独に苛まれた心を癒やしてくれる異性に出会うと目の前の世界が一変するでしょう。

主人公の女性は長い間、孤独に生きてきました。

しかし愛する男性と出会って、これまでの自分がボロボロに擦り切れていたことに気付きます。

これから先の自分の人生が輝いて見えるだろう瞬間でもあるのです。

人を変えるのはやはり自分よりも大きな愛との邂逅なのでしょう。

マドンナの苦労が滲む歌詞

地道な努力の末に実る幸せ

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I was beat
Incomplete
I'd been had, I was sad and blue
But you made me feel
Yeah, you made me feel
Shiny and new

出典: ライク・ア・ヴァージン/作詞: Billy Steinberg Tom Kelly 作曲: Billy Steinberg Tom Kelly

主人公の女性の重い嘆きに耳を澄ませましょう。

「私は疲れきっていたわ

未熟だったし

私は失望していて、悲しみに暮れて憂鬱だった

でもあなたは私に感覚を甦らせてくれた

Yeah,あなたは私に輝いていて新しいものを感じさせてくれたの」

過去には何もいいことがなかったのかと心配になります。

若いうちの苦労は買ってでもしろ」なんて無粋な考えや言葉はアメリカの文化に馴染まないでしょう。

しかしマドンナ自身がここまで来るのに多くの苦労をしていました。

売れるまでは本当に必死にあがき続けて、奇しくもこの曲の歌詞で一躍スターダムにのし上がるのです。

長い間、苦しんできた人でしか表現できない失望感を歌い上げて時代のヒロインになってしまいます。

妖艶な美しさで人々を魅了しますが、歌詞の方はこのように案外重い内容であったのです。

典型的なアメリカン・ドリームを達成する前の足掻いていた日々。

マドンナ自身はあまり多くを語りませんが、ブレイク前の苦労話をメディアが暴くのです。

日本でも友だちとの普通の会話にマドンナの話題が上ることがよくあった時代。

今では遠くなった日々ですが、彼女の存在自体がスキャンダラスでした。

しかし下積み時代の苦労も一夜にして報われた印象があります。

歌詞の中では新しい男性との出会いがもたらした幸せが舞い込むのです。

実際のマドンナはこの曲「ライク・ア・ヴァージン」のMVなどがヘビー・ローテーション。

「ライク・ア・ヴァージン」というタイトルそのものにある際どさも1984年の空気に合いました。

日本では皆、歌詞の内容には触れずにタイトルから思い浮かぶ過激さだけが受容されたような気がします。

しかし読んでいただいてお分かりいただけるように非常に地道な努力が実る愛の歌だったのです。

魅力的な人との出会いで世界が一変した主人公。

「ライク・ア・ヴァージン」の大ヒットで世界中から注目を浴びた若きマドンナ。

歌のような人生というよくできたサクセス・ストーリーを体現したのが彼女のすごさでしょう。

時代を変えたメロディと言葉

マドンナ旋風のシンボル的な歌詞

マドンナ【ライク・ア・ヴァージン】歌詞を和訳&解説!意外と初々しい?マドンナの代表曲はどんな内容?の画像

Hay
Like a virgin
Touched for the very first time
Like a virgin
When your heart beats next to mine

出典: ライク・ア・ヴァージン/作詞: Billy Steinberg Tom Kelly 作曲: Billy Steinberg Tom Kelly

舌っ足らずの発音で有名なサビです。

言葉の響き合いが美しく完璧なので原詩を味わってください。

「Hay

まるでヴァージンのようだわ

最初に身体に触れられたときのように

まるでヴァージンのようだわ

あなたの心臓の鼓動が高まるとき

私の心臓もそばにあるの」

ふたつの心臓が重なり合うようなのですから肉感的な愛の表現です。

しかしどこか可愛らしさを感じませんか。

コケティッシュという旧い形容詞があります。

マドンナにはその形容詞がよく似合うのです。

蠱惑的で人を誘い込むような表現で、若い女性アーティストが自らこうした言葉を発することの衝撃。

世界中をあっといわせたのはマドンナが体現するものすべてでした。

MV全盛時代という映像を介したコミュケーションが重要だった時期。

だからこそ人そのものの魅力が大事でした。

本当の人柄など私たちリスナーには分からないことでもあります。

演出されたものこそが真実であるのもショー・ビジネスの基本です。

ただしマドンナは虚飾の人間像に満足した訳ではありません。

その後に様々な言動を介して人間的にも多大な尊敬を集める新世代のスターへと成長します。

肉感的な愛の表現はアメリカはじめ諸外国で少年少女にとっての害悪と見做す反動的な攻撃を受けました。

しかし真の勝者はいつだって勇気があるものです。

マドンナ旋風はアメリカ国内の反動的な攻撃すら追い風にしてしまうのでした。

愛の新時代を拓いた名曲が「ライク・ア・ヴァージン」です。

愛は不滅である