【諫山実生/月のワルツ】
あなたは普段どんな夢を見ていますか?
いろいろな夢があると思いますが、共通しているのは不思議な世界だということです。
今回紹介する「月のワルツ」は、少女が幻想的な世界に迷い込むところから始まります。
本曲は2004年10月~11月に、NHK「みんなのうた」で放送されました。
その幻想的な世界は放送直後からたくさんの反響があり、今なお多くの人を魅了しています。
不気味ながらも、絵画のように美しいアニメーション。
諌山実生さんの大人びた歌声と、切ないメロディー。
それらが合わさって、一度見たら目が離せなくなる映像作品となっています。
歌に登場する少女は、不思議な世界を楽しむ一方で少し悲しげです。
少女が求めている、確かな愛について紐解いていきます。
歌詞解説スタート
蒼い月
こんなに月が 蒼い夜は
不思議なことが 起きるよ
どこか深い 森の中で
さまようわたし
出典: 月のワルツ/作詞:湯川れい子 作曲:諫山実生
舞台は深い森の中。
少女は夜の森で、なぜか迷子になっています。
頭上で蒼い月が輝く様子は、まるで不思議な世界に迷い込んだことを教えてくれているようです。
英語では蒼い月について、こんな慣用句が存在します。
”once in a blue moon”、日本語に訳すと”滅多に起こらない”。
どうやら少女は、その滅多に起こらない出来事に巻き込まれてしまったようです。
まるで童話の世界
タキシード姿の うさぎが来て
ワインはいかが?と テーブルへ
真っ赤なキノコの 傘の下で
踊りが 始まる
出典: 月のワルツ/作詞:湯川れい子 作曲:諫山実生
まるでルイス・キャロルの「不思議の国のアリス」のようです。
ただ少し違うのは、お茶会ではなくワイン会が始まったとことでしょうか。
またうさぎもチョッキではなく、タキシードを身に着けています。
どちらも大人な印象を持ちますね。
「不思議の国のアリス」は、子どものアリスが不思議な世界に迷い込んでいました。
一方で、こちらは大人が不思議な世界に迷いこんだことを描いているのかもしれません。
タキシード姿のうさぎと踊る場面からも、大人の優雅さが感じ取れます。
月が蒼く光る夜に、浮かび上がる2人のシルエット。
ダンスをする2人の姿を想像すると、何とも幻想的な空間です。
うさぎと王子さま
うさぎと時計
貴方は何処にいるの? 時間の国の迷子
帰り道が 解らないの
待って 待っているのに
出典: 月のワルツ/作詞:湯川れい子 作曲:諫山実生
ここでの「貴方」は先ほどの「うさぎ」のことを指しているように思えます。
「不思議の国のアリス」では、うさぎは常に懐中時計を持ち歩き、時間に追われていました。
少女が時間の国で迷子になっているのも、うさぎについて行ったからなのでしょう。
うさぎを見失った少女は、帰り道が分からないことに気づきます。
王子さまと夢の世界
眠れぬ この魂は
貴方を探し 森の中
「月の宮殿」(チャンドラ・マハル)の王子さまが
跪いて ワルツに誘う
出典: 月のワルツ/作詞:湯川れい子 作曲:諫山実生