“ネモネア“君はまだ美しいね
まだ触れられずにいた
君は“アネモネ“にもならず

出典: ネモネア。/作詞:泣き虫☔︎ 作曲:泣き虫☔︎

この部分の意味を解釈するのに手がかりとなるのがギリシャ神話のアネモネに関する物語です。

アネモネという花の名前はギリシャ語の風を意味する「anemos」が由来です。

春風を運ぶ西風の神ゼピュロスが引き起こした悲劇が関係しています。

彼は春をもたらす花を準備する役目をしていた妖精アネモネに恋をしてしまったのです。

ゼピュロスには、花と春の女神クロリスという妻がいて、アネモネへの思いは知られてはいけない秘めたものでした。

しかし、クロリスはアネモネが準備した春の花だけ早く咲くことに気付きます。

これは夫である西風の神ゼピュロスが運ぶ風に関係していると感じたクロリス。

夫がアネモネに特別な思いを持っていることを見抜いてしまいます。

アネモネは仕えていた神殿を追い出され、花の妖精の役目も失い毎日傷心して泣き暮らしました。

ゼピュロスは、その哀れなアネモネをの姿に変えてあげることしかできなかったということです。

ネモネアは主人公にとって純粋無垢な存在

ギリシャ神話の話からネモネアの意味について考察します。

ネモネアとはアネモネの逆の状態の人物だと考えてみます。

ネモネアとはゼピュロスに好意をもたれる前、花に変えられる前のアネモネを指しているのではないでしょうか。

ギリシャ神話で神殿に仕えていた妖精のように、美しい姿でいたネモネアと呼べる彼女。

後にギリシャ神話のように惨めな顛末をたどってしまいアネモネの花になってしまったのかもしれません。

ネモネアと主人公が呼ぶ彼女は色恋沙汰と関わりすらなかった純粋な存在だったのではないでしょうか。

この純粋な存在というのは後に主人公と彼女の関係性からも見えてきます。

思い出が消えない夜

思い出の中で彼女は過去の姿のまま

ネモネアとは主人公の過去の恋人のことを指していることがわかってきました。

以降彼女のことをネモネアと呼びます。

最初はグーでパーを出す
君の癖はまだ変わらないみたいだ
ストローの先を噛む
君の癖がまだ消えない消えない夜だ

出典: ネモネア。/作詞:泣き虫☔︎ 作曲:泣き虫☔︎

楽曲MVのように写真や映像を主人公は1人、夜眺めているのでしょうか。

彼女を映した映像の中で、彼女は当時のままです。

今もその癖が残っているのかはわかりません。

だけれど、主人公の思い出の彼女の当時の癖はずっとそのまま記録に残っているのですね。

主人公にとって過去の彼女を見つめ続けるのは良いことなのか、本人ではないので計り知ることは出来ません。

それでもせつなさを感じてしまう場面です。

こっそりハグする方法

君がほっぺのえくぼにキスして
カメラのレンズにピースした
君が僕のポケットでこっそり
ハグして抱きしめた

出典: ネモネア。/作詞:泣き虫☔︎ 作曲:泣き虫☔︎

続く歌詞の中でも、主人公とネモネアの過去の思い出の場面が綴られています。

彼女はカメラを持って撮影している主人公のほっぺにキスして、してやったりという感じです。

おそらく服の前面にある大きめのポケットに手をいれて体をハグのように近付けたのではないでしょうか。

こっそりという表現からそのように感じられます。

触れられない関係性

まだ触れられずにいた

出典: ネモネア。/作詞:泣き虫☔︎ 作曲:泣き虫☔︎

口でなくほっぺのえくぼにキスしたり、ポケットに手を入れて直接触れないハグをしたり。

歌詞では少し距離を取った親密さが描かれています。

2人のスキンシップが限られていたのではと考えさせられますね。

まだ親密に触れられる関係に至る前だったのか、それぞれに何かしらの理由があって叶わなかったものなのか。

聞き手も様々な可能性を思い浮かべることができる余地が残った歌詞となっています。

都合のいい存在?主人公とネモネアの関係性