日本のアニソンに刺激を受けて
洋楽にはない魅力を感じた
デビュー前のナノは、まず来日してからニコニコ動画で、主にボカロ曲などをカバーしたり、英訳して歌った動画を投稿していました。
そこで非常に高い評価を受け、人気もうなぎのぼりになっていき、メジャーデビューを果たしています。
しかし、ニューヨークに生まれ育ったナノが、わざわざ日本にやってきたのは、なんと「音楽をやりたかったから」なのだとか。
音楽ならどんな国でもできますし、日本人から見れば、アメリカの方が余程良い環境で、刺激を受けながら音楽をやれるのではないかと思うかも知れません。
しかしナノいわく、「日本の方がエンタメ色が強い」ように思ったそうです。
アメリカで音楽と言えば、CDの発売やライブなどが中心のようですが、日本ではアニメとのタイアップなど、幅広くて華やかさを感じたといいます。
ネット上に居場所を見つけた
年齢も非公開なため、現在のナノは年齢不詳ですが、まだまだ若いでしょう。
2017年になって初めて素顔を出し、現在では比較的よく見られるようになっています。
5月に発売された、通算4枚目のオリジナルアルバムとなる、デビュー5周年記念アルバム「The Crossing」のPVでは、人気俳優の本郷奏多さんを起用して話題になりました。
知らない人が見たら、「この人がナノさん?」と思うかも知れません。
海外ではやはりYouTubeが非常に多くのユーザーを持っていますが、逆に言うと、ニコニコ動画のようなコミュニティはないということ。
一般のユーザーが自分の音楽を公開して、他のユーザーと交流するというような盛り上がり方は、どうやら日本独自のもののようです。
そこからメジャーの世界に出る人も多く存在しますので、ある意味、特殊な文化に見えたのかも知れません。
そこに心を奪われたナノは、家族を連れて日本に来たといいます。
オーディションなども受けたようですが、あまり芳しい結果は出なかったものの、ナノ本人は自信を失いませんでした。
そしてネット上という場所に自分の音楽の置き場所を見つけたナノは、自分にとってはネイティブな言語である英語で、あえて日本のボカロ曲を英訳して歌ったのです。
中学生の頃から歌手を目指していたというナノは、英語で歌いつつも音楽性は邦楽からの影響を大きく受けていたため、本人としても思いがけず、かえって斬新な音楽ができあがったのでした。
1stアルバムはボカロ曲中心
ボカロ曲中心のアルバムでデビュー
2012年3月に、それまでにニコニコ動画で投稿してきたボカロ曲を中心としたアルバム、「nanoir(ナノワール)」でメジャーデビューを果たしたナノ。
なんと、オリコンチャートで12位を獲得しています。
2012年5月に発売された1枚目のオリジナルシングル曲「Now or Never」では、早々にアニメのオープニング曲としてタイアップを果たしました。
その後も多くのアニメやゲームとのタイアップを進め、2013年2月に、2ndアルバムである「N」が発売されます。
そしてそこに収録されている「Nevereverland」が、極めて珍しいケースとなる、「ライトノベルオリジナルBlu-rayアニメーション」の主題歌として起用されたのです。
アルバム「N」には「Now or Never」も収録されていますが、「Nevereverland」はシングルにはなっていません。
異色のライトノベル『アークIX』
「Nevereverland」が主題歌として使用されたのは、講談社ラノベ文庫から刊行されている、安井健太郎氏のライトノベル『アークIX』の、文庫第2巻の特装版に付属されたOVAでした。
2013年7月に発売され、仕様はブルーレイ・ディスクとなっています。
テレビアニメ化されたわけでもなく、原作小説も2015年6月に発売された第5巻をもって完結していますが、今でも非常に愛されているようですね。
安井健太郎氏は、前作『ラグナロク』で多くの人気を集めましたが、さまざまな理由から未完のままで刊行が中断されてしまいました。
角川スニーカー文庫から、本編11巻、EX(短編)9巻が刊行されていますが、それはもう「ライトノベル」いうジャンルの枠を越えてしまうほどの物語でした。
そのためか、文庫の刊行が停止している現在は、小説投稿サイトにおいて『ラグナロク』のリブート版が連載されています。
そしてその世界観を共有しているのがこの『アークIX』であり、未来的なファンタジー・バトル・アクションなのです。
まずはこの作品のPVをご覧ください。
これだけで作品を読みたくなってしまうような、興味と面白さを感じますね。
小説は全5巻の文庫ですので、比較的入りやすいと思います。
楽曲のPVはアニメとは無関係
PVはオリジナルテイスト
「Nevereverland」のオフィシャルのPVは、ニコニコ動画にもYouTubeにもアップされています。
せっかくOVAの主題歌になった楽曲ですが、PVはオリジナルでニコニコ動画風味。
作画は人気イラストレーターで、原作付き漫画の作画を担ったり、アニメ『正解するカド』ではキャラクター原案を手掛けたりもした、実力派の有坂あこさんが担当しています。
そしてそこに付けられている注釈は、「PV登場人物は空想の世界のキャラクターです。」という一文。
『アークIX』の内容や人物とは無関係です、という意味でしょうか。
では、その気になるPVをぞうぞ。