色鮮やかな花火は派手なものでも地味なものでも、結局は儚い……という指摘です。
唐突に花火という描写が出てきたのは、やはり映画の物語と関係があるからでしょう。
有村架純さん演じる女性のご主人が突然亡くなった……そんな命の儚さを表現しているようです。
悲しみに沈んで、街が色あせたように見える日々。それでも好きな色に塗ろう!ということ。
つまり前向きに生きていこう!と決心したと考えられます。
走り出すのは誰?
空がモノクロだった
走り出す 風になる
空高く 舞い上がれ
心よ 羽ばたけ
涙の向こう側に
連れて行っておくれ
モノクロのこの空は
もう一度青く塗るよ
出典: カラー/作詞:斉藤和義 作曲:斉藤和義
盛り上がるサビです。走り出すのは、映画で有村架純さんが演じる女性、その心、そして電車。
もちろん映画の物語を外して、それぞれの日常に置き換えてみても共感できる歌詞でしょう。
悲しい出来事があり、涙に暮れ、まるで白黒映画でも観ているかのように、色を失った日々……。
それでもやがて走り出す……ということです。つまりこの歌を聴いているあなたも含まれます。
とくに白黒に見えていたのは空だったわけですね。青く塗り直すという表現が詩的です。
幸せは人気商品?
行列ということは…
大きな世界の片隅で
僕らは同じ夢を見てる
どこにでもあるような幸せを
売る店は今日もどこも行列
出典: カラー/作詞:斉藤和義 作曲:斉藤和義
誰もが思い描く幸せというものは、どれもこれも似たようなものである……という意味でしょう。
ああしたい、これが欲しい、そうなりたい……夢に見る内容は同じようなものばかり。
つまりありふれた幸せは人気商品なので、どの店でも行列ができているということですね。
おもしろい例えです。行列に並んでも、待ち時間は長いでしょう。なかなか手に入りません。
また人気商品なら値段も高そうです。要するに、幸せは価値が高いプレミアアイテム。
在庫処分のバーゲンセールでもあれば誰もが幸せになれるでしょうが、そうはいきません。
笑顔を描く!
泣いていても 笑ってても
欲しいものは 同じだから
微笑んだ顔 そうさその顔
上手くないけど 描くよ
出典: カラー/作詞:斉藤和義 作曲:斉藤和義
だから幸せになれなかったのか~と納得するのは逆!悲しい状態から脱出したいなら……。
幸せや夢は誰にとっても同じようなものだから、どうせなら笑おう!という展開です。
描くのは笑顔!それが映画のタイトルでもある「かぞくいろ」にもつながるのでしょう。
斉藤和義さん自身、絵を描くのは「上手くない」と言っているところも、おもしろいですね。
独創的なイラストを披露されているので、ここでうなずいてしまうのは落とし穴かもしれません。
あるいは映画の物語やアーティストとしてのキャラクターを省いて考えることもできます。
幸せや夢は誰にとっても同じようなもので、手に入りにくいから、せっかくなら笑おう!と。
うまく笑えないときでも、笑顔でいるようにしてみよう!という意味にも受け取れます。
海をオレンジに塗る?
太陽の色?電車の色?
走り出す 風になる
空高く 舞い上がれ
心よ 羽ばたけ
涙の向こう側に
連れて行っておくれ
モノクロのこの海は
綺麗なオレンジに塗るよ
出典: カラー/作詞:斉藤和義 作曲:斉藤和義
印象的なサビが繰り返されます。ただ少しずつ内容が変わっているんですね。そこがポイント!
最初のサビで、塗る場所は空でした。ところが2回目のサビでは海を塗る話になっています。
さらに最初のサビで、塗る色は青でしたが、2回目のサビではオレンジに変わっているのです。
空も海も基本的には青のイメージが強いでしょう。ただ太陽の光に照らされるとオレンジかも。
そういう意味では海をオレンジに塗ってもおかしくありません。また映画の影響も考えられます。
主人公の女性が目指すのは肥薩おれんじ鉄道の運転士。このオレンジをイメージしたのでしょう。
電車が海沿いの線路を走ると、海がオレンジ色になる……という意味かもしれません。
いずれにしても「好きな色に塗る」という歌詞もありましたので、発想は自由なわけですね。