あなたが僕を待っている
暗くて寂しいブルー・シャトウ

出典: ブルー・シャトウ/作詞:橋本淳 作曲:井上忠夫

その豪華な宮殿のような屋敷で、今も女性は男性が訪れてくれるのを待っています。

女性の待つ、宮殿の回りには照明などありません。

森の中の一軒家です。周囲が暗いのは当然でしょう。

しかし、周囲の暗さからかくる以上に、この宮殿からは寂しさが伝わってきます。

主人公の男性が抱く思いも同じです。

最愛の彼女がそこにいるのに、この何とも言えないはかなさはどこからくるのでしょう。

来る日も来る日も、男性はそう思わずにいられないのです。

そのような状況を踏まえつつ、曲はテンポよく2番にいきます。

2人の思いはかなわないのか?

身分の違う2人…

この曲は、非常にリズミカルでテンポもよく、聴く人に元気を与えるかのような曲調です。

しかし、歌われている歌詞の内容は正反対。

全くもって、ハッピーエンドを迎えられそうにない歌詞が続きます。

そんな思いを抱かせるのが2番の歌詞となります。

きっとあなたは紅いバラの
バラのかおりが苦しくて
涙をそっと流すでしょう

出典: ブルー・シャトウ/作詞:橋本淳 作曲:井上忠夫

彼女が住む宮殿には、周囲を真っ赤なバラが覆っています。

まるで、外界との接触を拒むかのように辺り一面を覆っているのです。

そしてバラには、ご存知のように鋭いトゲが無数についています。

歌詞に登場してくる無数のこのバラは、宮殿内に何とも言えない芳香を漂わせているのです。

しかし、この甘い香りと無数のトゲは外界との境界の印。

一切の侵入者を許さない自然の防壁なのです。

それを知っている女性は悲しみに瞼を濡らします。

恋い焦がれているあの人との逢瀬を現実にできない残酷さに。

バラの城壁

夜霧のガウンに包まれて
静かに眠るブルー・シャトウ

出典: ブルー・シャトウ/作詞:橋本淳 作曲:井上忠夫

男性の方も、この事態には気づいています。

何度か、女性に会いに行こうとして宮殿のすぐそばまでボートでやってきました。

しかし、絶望的ともいえる鉄壁のバラの城壁が望みを絶ったのです。

そして彼女が住んでいる青い宮殿は、今日もひっそりと湖の先にたたずんでいます。

空気の冷たさを防ぐかのように、深い霧がうっすらと宮殿全体を覆っています。

今日も何事もなかったかのように、夜の静寂に包まれる彼女がいる宮殿。

何としでも、行きたいのにそれができない男性のもどかしさ。

この2番の短い歌詞の中に、男性の彼女への思いがいやというほどあふれているのです。

 

近くにあって遠い場所

甘い香りが胸をしめつける

きっとあなたは紅いバラの
バラのかおりが苦しくて
涙をそっと流すでしょう
夜霧のガウンに包まれて
静かに眠るブルー・シャトウ

出典: ブルー・シャトウ/作詞:橋本淳 作曲:井上忠夫

3番の歌詞は、2番の歌詞の繰り返しになります。

よって、歌詞自体は非常に短い歌詞となるわけです。

歌詞の繰り返しは、その部分の強調を狙っています。

女性にとったら、綺麗に咲き乱れてくれるバラがかえって涙を誘うのです。

せっかく、愛している彼が岸部まで来てくれてもこのバラが行く手を遮ってしまいます。

バラのトゲは、いかなる者も傷つけずにはおかないでしょう。

そんなバラが幾重にも張り巡らされているのですから、女性の思いは絶望的なのです。

だから、甘いバラの香りがかえって恨めしくなり、涙を誘ってしまうのです。

どうして、私は身分の違う家に生まれてしまったのか?

毎夜、バラを眺めては絶望に打ちひしがれるのです。

 

青い宮殿に異常はなし

深い森の奥の湖にひっそりとそびえる青い宮殿。

そこには、愛してやまない男性の訪問を今か、今かと待ちわびる女性がいます。

しかし、そんな思いも空しく、今日も男性は現れません。

宮殿は、いつものように夜霧に包まれ、暗闇の中に消えていきます。

熱い思いを包み込んだ、女性の願いを知らないかのように。

そして行くに行けない主人公の男性のはかない思いを、歌詞は短くなぞります。

歌の最後は、青い宮殿を繰り返して叫んで終わってしまいます。

男性の願いは、果たして叶えられると気が訪れるのでしょうか?

それは、この歌詞の中では触れないで終わってしまうのです。

身分が生んだ許されない愛

謎多き、男女の出会い